方針4 循環型のニセコ産業を育てます(2)

(2)地域に密着した、元気あるニセコ農業をつくる

現況と課題

(1)農業・酪農経営の安定化

 市場価格の変動が著しい今日、自己完結型のニセコ町の農業経営は極めて厳しい状況にあります。また、後継者不足、高齢化等で農用地の遊休化も懸念されています。したがって、経営の複合化や担い手の確保、生産・出荷体制の効率化、農用地の有効活用等により、農業経営の安定化を進めることが求められます。
 酪農は、貿易自由化や乳価の低迷で、厳しい経営を強いられていることから、効率的な生産体制と環境に配慮した酪農経営の安定化が求められます。一方、交流人口が多いという地域性を活かした多様な販売手法や加工化による農畜産物の付加価値を高める取り組みが行われており、一層の発展が望まれてい

(2)農村環境の向上

 農村集落においては、計画的な上下水道を始めとする生活環境の改善を図っています。今後もニセコ町の豊かな自然を生かした快適な農村環境の整備を引き続き進める必要があります。また、農村集落については、地域合意を前提とした計画的な集落再編と活動拠点施設の整備を進めていますが、集落の活動が活性化されるよう地域リーダーの育成も急務の課題となっています。

(3)環境に配慮した農業・林業への転換

 「人・作物・地球に優しい地域農業」の確立がニセコ農業の生き残る術の一つと考えられています。したがって、環境に配慮した、安全な農畜産物の生産を進める必要があります。また、森林は木質資源の供給ばかりでなく、国土の保全や水源かん養、文化・教育的利用等の公益的機能があることから、森林の健全化を維持し持続可能な森林経営を推進することが求められます。

(4)農業・農村基盤の整備

 ニセコ町は、周囲を山岳に囲まれた波状傾斜の丘陵盆地を形成しています。その中にあって農用地は、小区画・傾斜・排水性に課題があり整備率は低い状況です。また、今日の農業者におかれている厳しい状態から、整備費用の経営圧迫が課題となっています。

今後の取り組みの方向性

(1)地元住民や他産業との連携による新たなニセコ農業の展開

 地元住民や観光、商工業と連携し、市場の拡大や農産物の高付加価値化を図ります。
 そのため、他産業と連携した消費者ニーズへの対応や地産地消の仕組みづくり等を進めます。

(2)持続的なニセコ農業の推進

 収益性が高く安定したニセコ農業の確立を図ります。そのため、高収益作物への取り組みや地域ぐるみでの担い手育成、経営の効率化等を進めます。また、林業では現在取り組んでいる「北の森」づくりをさらに促進していきます。

(3)環境と調和したクリーン農業の展開

 ニセコ町の恵まれた自然条件を生かしながら、安全で良質な農畜産物の安定的供給を図ります。そのため、土づくりや農業用廃棄物の適正処理、安全で良質な農産物の低コスト化を進めます。

(4)ゆとりと潤いのある農村集落の再生

 ニセコ町の自然を生かした「ゆとり」と「潤い」を実感できる快適な農村環境づくりを進めます。そのため、田園景観の保全や集落の再編成及び生活環境、活動拠点の計画的な整備を推進します。

(5)農業・農村基盤整備

 ニセコ町の立地条件を最大限に生かしながら、環境に配慮しつつ地域農業を取りまく生産基盤、生活環境の一体的な整備促進を図ります。

主な具体的取り組み

(1)収益性の高い農業の確立

  • 高収益作物(町振興作物)の振興支援
  • 広域JAの機能化と産地体制の整備
  • 農業ビジネス起業化の支援
  • 直売対応の充実と加工施設の導入

(2)多様でゆとりある農業経営

  • 大規模経営体(スーパー経営体)での農用地利用集積の促進、先進的な機械や施設の導入推進
  • 複合経営体での機械銀行の活用、適正な労働配分
  • 集約経営体では、パートバンクの活用、農地流動化と広域施設の活用
  • 制度資金の効率的な運用
  • 農業法人化・協業組織化の推進
  • 多様な農業ビジネス起業化の支援
  • うれる米づくり対策への支援、栽培協定の導入
  • 直売部門など家族内の役割分担
  • 農業塾や認定農業者制度を活用し、企業的経営感覚の醸成
  • 三バンク(機械・人材・農地銀行)の機能化の推進
  • 農産物販売促進活動の推進
  • 需要に見合った計画的な乳生産及び経営の体質強化
  • ET技術を活用し、良質乳牛の組織的な育成の促進

(3)地域ぐるみの担い手対策

  • 中学、高校と連携した担い手の育成環境と応援態勢の整備
  • 町及び道の農業者育英資金制度・新規就農資金制度・青年農業者研修制度の活用
  • 認定農業者制度の推進強化
  • 地域リーダーの育成や中核的農業者の研鑽のため、21世紀農業塾の創設
  • 主に女性等の活躍の場として、加工化・直売・ファームイン等起業化を支援

(4)活力ある農村集落の再生

  • 屋敷回りの施設配置(農家生活改善資金の活用)の整備
  • 生活道路の計画的な維持管理
  • 簡易上水道の整備
  • 生活排水環境の整備
  • 地域活動拠点の計画的整備(コミュニティセンター等)

(5)農地の有効利用と機能化

  • 土地利用に係る計画を総合的に把握した「土地利用計画」の樹立
  • 遊休農地を活性化する機関の設置と機能化を検討

(6)環境と調和したクリーン農業の実践

  • 科学的診断に基づく施肥対応・病害虫の発生予察と防除の普及
  • 農薬の安全使用と適正な管理の啓発
  • 堆肥センターの設置と有機物増投の実践
  • 土地改良の計画的推進
  • ニセコ町クリーン農業認証制度の検討
  • 広域JAによるリサイクル推進体制の整備
  • 地域循環農業を展開し、クリーンなイメージを生かした生産と加工販売の展開
  • 酪農ヘルパー制度の導入で、ゆとりある労働の確保

(7)林業の活性化

  • 森林の役割啓発(「国土の保全と水源のかん養」「環境の保全と文化の創造」「木質資源の循環利用」)
  • 町森林整備計画に基づいた造林や育林等の保全・整備
  • 土砂の流失や崩壊の防止等、災害から生活を守る対策
  • 森林公園の整備や森林づくり体験を進め、森林理解を促すと共に森林指導者の育成
  • 「100年の森構想」に基づく「ニセコ森と緑の会」活動の推進
  • 林業者の経営改善を図る資金融資の検討
  • 森林作業員就労の長期化・安定化のための奨励金の支給等、森林労働力の確保
  • 木材・木製品の利用促進や新製品開発等、木材産業の体質強化

(8)農業・農村基盤整備の促進

  • 自然環境に配慮した整備方針の検討
  • 計画的な生産基盤整備の促進「区画整理、明暗渠排水、農道整備」
  • 生産基盤と生活環境基盤の総合的な整備事業の検討

このページの情報に関するお問い合わせ先

ニセコ町役場
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FAX:0136-44-3500