ルピシアグループ代表 水口博喜 会長

取材:広報広聴係 坂口
 ニセコでのライフスタイルに価値を見出したルピシアグループ代表の水口会長は、食品加工を担う株式会社ルピシアグルマンを東京代官山から「移住」させてしまいました。さらには、水口会長自身も東京にあった自宅を引き払い、夫婦ともどもニセコ町へ移住。ニセコ町が土地を用意し、子会社の本社移転とグループ代表の移住にもつながった企業誘致としては、過去にない成功例といえるかもしれません。水口会長のこの原動力は何だったのでしょうか?どうしてここで事業をしようと思ったのか、インタビューしてみました。
インタビューは再生後2分28秒からスタート
https://youtu.be/9ChT4Zy6ooo

ニセコ町元町で食品加工工場が稼動

従業員募集中!

 倶知安町樺山にある「ヴィラルピシア」は、紅茶で有名な株式会社ルピシアが運営するレストランであることは周知のことと思います。7年前からスタートし、今ではあのケネディ元駐日大使も立ち寄るほどの知名度があります。ルピシアとはどのような会社でしょうか?
 ルピシアホールディングス(グループ売上高120億円)傘下に紅茶の製造小売・輸入会社、食品加工会社、法人向け卸会社の3社を有し、140店舗、1,300名を超える従業員を抱え、400種類以上の紅茶を扱っています。海外にもメルボルン、ハワイ、パリなどに拠点を有しています。
 従業員のうち約7割は女性社員であるといい、女性の発言権が非常に強い会社だそうです。
 当社は、毎年複数都市で、「グランマルシェ」という催事を開催しています。今回札幌では、3日間で約1万人の来場がありました。横浜や大坂などでは、会場も来場者も札幌の3倍程度だといいます。会場ではジャズのセッションなども催され、肩と肩がぶつかり合うほどの混雑ぶり。世界各地の紅茶が陳列され、飲み比べた上で、購入できるようになっています。同じダージリンでも春摘み、夏摘み、秋摘みとあり、各コーナーの専門の担当者が紅茶のいろはを説明してくれます。
 会場設営も大変ユニークで、通常パーティションや電気配線設備などは、専門の業者に委託するものですが、女性社員がほぼ自賄いで設備するそうです。

札幌のコンベンションセンターで開催されたグランマルシェ

食品加工工場では何を作っているのでしょうか?

ウド
ルピシアグルマンの工場は、紅茶を中心とした「食品」を手がけています。紅茶にあうクッキー、野菜、肉、燻製、ドライフルーツなどを生産する多品種加工工場です。ヴィラルピシアや40万人を抱えるオンラインストア向けの生産を請け負っています。

都会に住まないとビジネスができないという理由はもうない

「私は十数年前からニセコへ来ていて、そのうち外国人がたくさん来るようになり、町の様子がだんだんと変わってきた。国際化が進み、普通の田舎ではなくなった。また、光通信など情報インフラが高速化して、世界中どこにいても、テレビ会議もできるし、場所を問わなくなった。さらにローコストキャリアなど低価格な飛行機も頻繁に飛ぶようになり、移動コストも随分と安くなった。こうなると、都会に住まないとビジネスができないという理由がもうありませんよね。」

四季のない都会ではアイディアは沸かない

「人間は誕生して以来、ずっとニセコのような自然の中で暮らしてきた。人間が都会に住むようになったのは、最近のことであって、都会に住むこと自体がむしろ不自然だと思う。だから人間のDNAはニセコのような暮らしに適していて、四季のない東京に住んでいては、自由な発想はできないし、いいアイディアも出ないと思うのです。」

工場裏に従業員社宅を整備

ビール工場と野菜茶工場の計画

キクイモ
 そんな当社が現在の敷地内に、ビール工場と野菜茶工場の計画をしています。野菜茶とは例えば、ごぼうやとうもろこし、玉ねぎの皮、沖縄産のモリンガ、韃靼そばなどを乾燥させ焙煎するもので、この分野のマーケットが急拡大を続けています。当社は、ニセコ町では見向きもされなかった「キクイモ」に注目し、商品化しようとチャレンジしています。すでにニセコ町内の農家2戸と全量買い取り契約をし、栽培に着手しています。(「キクイモ」は、ニセコ町では「豚いも」と古くから呼ばれ、繁殖力が強い「雑草」として農家から嫌われていた。)

JRニセコ駅内「茶房ヌプリ」黒カレーの商品化

地域商品を全国展開

みなさんご周知の黒カレー。28年間愛されてきた深い味に水口会長が惚れ込み、お店の味わいをそのままに商品化。当社の月刊誌に掲載し、40万人に上るオンライン会員向けに発信したところ、すぐに在庫がなくなり、生産が追いつかないほどの人気ぶり。味を損なわないために、あえてレトルトを避け、「冷凍便」としていることも秘訣だとか。
 「水口会長にヌプリのカレーをルピシアで商品化したいと言われた時は、本当にありがたい話だと思いました」と話すのは、茶房ヌプリを経営する松田裕子さん。「カレーのレシピをルピシアのシェフに渡して、途中私も何度か味見をしながら商品を作りました。非常に手間ひまをかけて作ってくださって、食べた時の甘さを出すためにじっくり玉ねぎを炒めて作られています。完成した商品はお店のカレーよりおいしいんじゃないかと思うくらい」。
 「水口会長は本当にニセコへの思いが強い人。ニセコが好きだということがすごく伝わってきます。会長は、これからさまざまなものをニセコから発信していきたいという思いを持っていますが、私もそのことには大賛成です。私もできることはどんどんお手伝いしたいと思っています」。
 水口会長は、今後も町内の企業やお店と共同で発信していくことに意欲的です。このような取り組みが町にとっても良い経済効果をもたらすことは言うまでもありません。

「茶房ヌプリ店長」松田裕子さん

定期雑誌

ニセコ町の新たなディスティネーション(観光の目玉)へ

 水口会長は、いずれは宇都宮と滋賀にある工場を残して、東京代官山にある本社そのものもニセコ町に移してしまおうという希望を持っています。景観を損なわない開発、上下水道などのインフラの問題、従業員の確保など、課題は多く残りますが、野菜茶工場など地域の農産物を活かした事業、「茶房ヌプリ」との地域産品の共同開発・商品化など、ニセコ町の地域経済にとっては、プラスに寄与するものと思います。ビールは工場だけではなく、飲食ができる「見せる工場」となれば、今後、ニセコ町のディスティネーション(観光の目玉)となっていきそうですが、皆さんはどのようにお考えになるでしょうか?
食品工場

このページの情報に関するお問い合わせ先

企画環境課広報広聴係
TEL:0136-44-2121
FAX:0136-44-3500