令和7年度 町政執行方針
さて、世界ではウクライナへのソ連の軍事侵攻から3年が経過し、今なお悲惨な戦争が後を絶たず「世界平和」を揺るがす状況となっています。また、アメリカでは、国際協調に否定的なトランプ大統領が就任し、地球環境負荷の拡大への懸念も増しています。こうした将来への不安が広がる世界の中にあって、昨年「日本原水爆被害者団体協議会」がノーベル平和賞を授賞したことは、「核のない恒久世界平和を願う」我が国にとって、大変喜ばしいことでした。
しかし、国内に目を転じると昨年1月の能登半島地震や大雨災害などの復興が道半ばであり、未だ全国で被災された多くのみなさんが避難生活を送られていることに胸が痛むところです。
我が国においては、急速に進む少子化により、2008年の12億8百万人をピークとして、毎年100万人ペースで人口が減少、2100年には6,300万人にまで減少することが見込まれており、2024年の出生数は72万人と過去最低を記録、人口減少抑止対策はもはや猶予のない緊急課題となっています。
加えてわが国においては、東京一極集中が止まらずさまざまな地域や都市間での格差が拡大の一途をたどっています。こうした東京一極集中を止める一助として、1988年、今から37年も前に「多極分散型国土形成促進法」が制定されています。その後、1990年にも首都機能の移転が国会で議論された経緯はありますが、今日、未だ東京圏への人口集中を止めることができていない状況となっています。
また、政治のダイナミズムを発揮し、活力ある地方を創ることにより国の豊かさを享受することとして進められようとしていた「地方分権」が近年は忘れ去られ、わが国においては逆に中央集権的機能が拡大しつつあることは誠に残念なことであります。今後においては、国民主権社会を再構築し、地方の自律を進める「地方分権の推進」が、わが国にとって大変重要であるとの訴えを市町村長が連携する各種組織の中から国の関係機関、政府に届けていきたいと考えています。
国民生活においては、物価が高騰し世帯所得が減少するという大変厳しい暮らしぶりで、生活における世帯間格差が拡大している実態となっており、厚生労働省の国民意識調査でも「生活が苦しい」との回答が59.6%と公表されているところです。
こうした内外の厳しい経済環境ではありますが、人口減少が続いてきた本町においては、住民基本台帳人口で今から35年前の平成2年(1990年)の4,483人を最小に、以後横ばいから微増状態に転じ、5,100人台まで人口を回復させることができました。町税においても平成21年(2009年)の予算額は6億9百万円でしたが、本年度の当初予算額では10億2千万円を計上することができ、さらに、公債費比率の減少を含め、財政のさらなる健全化へと転換することができました。このことは、人口の増加や観光関連施設の立地、農業基盤の整備、企業誘致による雇用環境の拡充など、町民のみなさま、町議会議員各位、並びに事業者のみなさまのご尽力によるものと厚く感謝を申し上げる次第です。
本町では、昨年大雨による小規模な災害などはありましたが、甚大な災害もなく、国営農地再編整備事業をはじめとする諸事業を着実に進めることができました。また、環境面でも昨年5月に本町が申請した「豪雪寒冷地域での脱炭素モデル普及促進による重点対策加速化事業」が環境省により採択されるなど、本町のカーボンフリー社会移行への大きな弾みとなっているところです。
本年度予算の編成にあたっては、国の地方財政計画との整合性を図るとともに、現石破政権が掲げる「地方創生2.0」という地方重視予算配分の方針にのっとり、地方創生等関連補助金を最大限活用することとしています。
さらに、本町においては大変重要な過疎法が、令和3年に「過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法」として議員立法で新たにスタートをしました。幸い本町においては、町議会議員各位や関係者の多大なる要請活動と、総務省をはじめとする国関係者のご理解をいただいたおかげで、新過疎法の適用自治体となることができましたが、次回の法改正においては人口が増加しているわが町の特性から適用除外となることが明らかとなっています。
過疎法の地域指定に基づく過疎債は、元金と利子の償還金の7割を交付税参入されるもの、言い換えると過疎債は、年次償還の補助金としての性格を持つもので、この過疎地域指定の適用がなされない場合は、ほとんどの建設事業や投資的事業が不可能になることが想定されています。また併せて、本町のまちづくりに不可欠で毎年活用している「過疎ソフト事業」の枠も無くなることとなります。ほとんどの新たな事務事業はできなくなるとの覚悟を持つ必要があり、現過疎法が終了する令和12年度までの間に次世代に残すべき生活基盤を整備あるいは再整備しておくことが、未来の世代に対する大きな責務であるものと考えています。本予算においては、将来必要な事業のため、有利な起債枠の将来に向けた確保との自治体経営の視点もあることをご理解いただきたくお願いします。
こうした中長期の財政戦略を考慮しつつ、本年度の予算編成を行ったところです。
予算編成における基本的な理念としては、1.「経済合理性優先の社会」から人々の尊厳を大切にする「共感資本社会」づくりへの転換、2.拡大し続けている暮らしにおける格差の是正、3.「地球環境負荷の低減」と「気候変動対策」の従前の3つの課題に加え、本年は、小中学校給食費の無償化の試行や子育て環境、教育環境の拡充に努めること、命と暮らしを支える水道基盤の整備促進、国民健康保険会計における子育て世帯への負担軽減などに重点を置き予算編成を行っています。
新年度においても、住宅不足や交通の利便向上への対策とともに、有島武郎の遺訓「相互扶助」の理念が息づくまちとして、子どもから今日の社会を築いてこられたご高齢のみなさままで、安心して暮らすことのできるまちづくりに努めてまいります。
また、これまで進めてきた企業の誘致につきましては、本町のまちづくりに共感し、ニセコ町がこれまで理念としてきた「小さな世界都市ニセコ」、「環境創造都市ニセコ」、そして現在の「こども未来共創都市ニセコ」の理念に沿い、ともにニセコ町のまちづくりに参加する「良質な企業」であることを前提に誘致活動を継続してまいります。
なお、これまで国に対して行ってきた「所有者不明土地」については、その土地の所有権を希望する自治体に移管する法制度の確立、デジタルノマド・ビザにおいては「ビザの適用期間」の延長、水道耐震化改修等水道施設への補助交付金の抜本的な拡充、そして、本年から新たに「計量法の改正」について、要請活動を強化してまいりたいと考えています。
令和7年度(2025年)においても、町民のみなさま、町議会議員のみなさま、そして自治のプロフェッショナルである役場職員の英知を結集し、諸課題を先送りすることのないよう町政を進めていく所存です。
続いて、予算執行の基本的な考え方についてご報告させていただきます。
しかし、国内に目を転じると昨年1月の能登半島地震や大雨災害などの復興が道半ばであり、未だ全国で被災された多くのみなさんが避難生活を送られていることに胸が痛むところです。
我が国においては、急速に進む少子化により、2008年の12億8百万人をピークとして、毎年100万人ペースで人口が減少、2100年には6,300万人にまで減少することが見込まれており、2024年の出生数は72万人と過去最低を記録、人口減少抑止対策はもはや猶予のない緊急課題となっています。
加えてわが国においては、東京一極集中が止まらずさまざまな地域や都市間での格差が拡大の一途をたどっています。こうした東京一極集中を止める一助として、1988年、今から37年も前に「多極分散型国土形成促進法」が制定されています。その後、1990年にも首都機能の移転が国会で議論された経緯はありますが、今日、未だ東京圏への人口集中を止めることができていない状況となっています。
また、政治のダイナミズムを発揮し、活力ある地方を創ることにより国の豊かさを享受することとして進められようとしていた「地方分権」が近年は忘れ去られ、わが国においては逆に中央集権的機能が拡大しつつあることは誠に残念なことであります。今後においては、国民主権社会を再構築し、地方の自律を進める「地方分権の推進」が、わが国にとって大変重要であるとの訴えを市町村長が連携する各種組織の中から国の関係機関、政府に届けていきたいと考えています。
国民生活においては、物価が高騰し世帯所得が減少するという大変厳しい暮らしぶりで、生活における世帯間格差が拡大している実態となっており、厚生労働省の国民意識調査でも「生活が苦しい」との回答が59.6%と公表されているところです。
こうした内外の厳しい経済環境ではありますが、人口減少が続いてきた本町においては、住民基本台帳人口で今から35年前の平成2年(1990年)の4,483人を最小に、以後横ばいから微増状態に転じ、5,100人台まで人口を回復させることができました。町税においても平成21年(2009年)の予算額は6億9百万円でしたが、本年度の当初予算額では10億2千万円を計上することができ、さらに、公債費比率の減少を含め、財政のさらなる健全化へと転換することができました。このことは、人口の増加や観光関連施設の立地、農業基盤の整備、企業誘致による雇用環境の拡充など、町民のみなさま、町議会議員各位、並びに事業者のみなさまのご尽力によるものと厚く感謝を申し上げる次第です。
本町では、昨年大雨による小規模な災害などはありましたが、甚大な災害もなく、国営農地再編整備事業をはじめとする諸事業を着実に進めることができました。また、環境面でも昨年5月に本町が申請した「豪雪寒冷地域での脱炭素モデル普及促進による重点対策加速化事業」が環境省により採択されるなど、本町のカーボンフリー社会移行への大きな弾みとなっているところです。
本年度予算の編成にあたっては、国の地方財政計画との整合性を図るとともに、現石破政権が掲げる「地方創生2.0」という地方重視予算配分の方針にのっとり、地方創生等関連補助金を最大限活用することとしています。
さらに、本町においては大変重要な過疎法が、令和3年に「過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法」として議員立法で新たにスタートをしました。幸い本町においては、町議会議員各位や関係者の多大なる要請活動と、総務省をはじめとする国関係者のご理解をいただいたおかげで、新過疎法の適用自治体となることができましたが、次回の法改正においては人口が増加しているわが町の特性から適用除外となることが明らかとなっています。
過疎法の地域指定に基づく過疎債は、元金と利子の償還金の7割を交付税参入されるもの、言い換えると過疎債は、年次償還の補助金としての性格を持つもので、この過疎地域指定の適用がなされない場合は、ほとんどの建設事業や投資的事業が不可能になることが想定されています。また併せて、本町のまちづくりに不可欠で毎年活用している「過疎ソフト事業」の枠も無くなることとなります。ほとんどの新たな事務事業はできなくなるとの覚悟を持つ必要があり、現過疎法が終了する令和12年度までの間に次世代に残すべき生活基盤を整備あるいは再整備しておくことが、未来の世代に対する大きな責務であるものと考えています。本予算においては、将来必要な事業のため、有利な起債枠の将来に向けた確保との自治体経営の視点もあることをご理解いただきたくお願いします。
こうした中長期の財政戦略を考慮しつつ、本年度の予算編成を行ったところです。
予算編成における基本的な理念としては、1.「経済合理性優先の社会」から人々の尊厳を大切にする「共感資本社会」づくりへの転換、2.拡大し続けている暮らしにおける格差の是正、3.「地球環境負荷の低減」と「気候変動対策」の従前の3つの課題に加え、本年は、小中学校給食費の無償化の試行や子育て環境、教育環境の拡充に努めること、命と暮らしを支える水道基盤の整備促進、国民健康保険会計における子育て世帯への負担軽減などに重点を置き予算編成を行っています。
新年度においても、住宅不足や交通の利便向上への対策とともに、有島武郎の遺訓「相互扶助」の理念が息づくまちとして、子どもから今日の社会を築いてこられたご高齢のみなさままで、安心して暮らすことのできるまちづくりに努めてまいります。
また、これまで進めてきた企業の誘致につきましては、本町のまちづくりに共感し、ニセコ町がこれまで理念としてきた「小さな世界都市ニセコ」、「環境創造都市ニセコ」、そして現在の「こども未来共創都市ニセコ」の理念に沿い、ともにニセコ町のまちづくりに参加する「良質な企業」であることを前提に誘致活動を継続してまいります。
なお、これまで国に対して行ってきた「所有者不明土地」については、その土地の所有権を希望する自治体に移管する法制度の確立、デジタルノマド・ビザにおいては「ビザの適用期間」の延長、水道耐震化改修等水道施設への補助交付金の抜本的な拡充、そして、本年から新たに「計量法の改正」について、要請活動を強化してまいりたいと考えています。
令和7年度(2025年)においても、町民のみなさま、町議会議員のみなさま、そして自治のプロフェッショナルである役場職員の英知を結集し、諸課題を先送りすることのないよう町政を進めていく所存です。
続いて、予算執行の基本的な考え方についてご報告させていただきます。
このページの情報に関するお問い合わせ先
- ニセコ町役場
- TEL:0136-44-2121
- FAX:0136-44-3500