3:計画はどんな内容か。3-2-1

3-2-1:ニセコ町の水環境はどのような状態か?

(1)水源地のようす

 ニセコ町は観光宿泊施設が多く、給水人口当たりの給水量は全道平均より高くなっていますが、反面、水道普及率は83.3%(平成12年度)で全道平均96.1%(平成10年度)より低い水準にとどまっています。
 ニセコ町内には、12箇所の水源地がありますが、その多くは湧水(8箇所)あるいは地下水(3箇所)で、表流水を水源にしているのは1箇所だけです。ニセコ町の湧水あるいは地下水は本来人工処理が一切必要ない水質ですが、水道法によって滅菌のみの処理をおこない、おいしい水を提供しています。
 水源地周辺は全般的に森に囲まれ、水源地から流れる川は水質も良好で、良好な水質に生息する水生昆虫が観察されます。しかし一方で、水量は全体に減少傾向にあります。

(2)自然が生きている河川のようす

 ニセコ町を貫流する尻別川は、手つかずの自然蛇行が残る一級河川全国No.1の清流です。平成12年度の清流全国ランキングでも、BOD75%値が0.5mg/lと、平成11年度に続いて2年連続で全国1位となっています。
 尻別川に注ぐ多くの支流のうち、東山から曽我にかけて流れる滝の沢川や、小花井から宮田にかけて流れるルベシベ川、蘭越町との境界を流れる昆布川など自然状態の多い河川では、水質は概して良好で、豊富な水生昆虫やイワナ、オショロコマなどの魚類も生息しています。
 流域から多少の汚濁物質が流入しても、生態系による浄化機能によって良好なBOD値が維持され、水生生物の生息にも大きな影響が見られません。
 しかし、河畔周辺の樹木が随所で伐採されていたり、ゴミの不法投棄や廃車の放置が見られます。また上流部に大きな落差工があって魚類が遡上できない状態になっているなど、河川流域の状況は必ずしも良好とは言えません。

(3)護岸工事がなされた河川のようす(例:カシュンベツ川、黒川)

 カシュンベツ川などコンクリートによる護岸工事が施された河川では、自然河川であれば機能する汚水を浄化する機能が著しく低下します。そのため、流域から流入する生活排水や農業用排水などによる環境負荷が、そのまま水質の悪化に影響を与えています。
 特に河床のコンクリート張りは、川魚の産卵場所や水生昆虫の生息場所を奪うことから、河川の生態系に悪影響を及ぼし、水質浄化機能の低下を招いています。黒川など、一部の河床に手を加えない側面だけの護岸河川では、河床は次第に自然の姿を取り戻します。しかし、河床に石を敷くと、渇水期には魚類が回遊できないところもあります。
 また、周辺が山地に囲まれて急傾斜が多いことから、ある程度の落差工は必要となりますが、高い落差が多いので回遊魚が遡上できず、自然の物質循環を妨げています。

(4)廃棄物による水環境への影響のようす

 尻別川水系の流域には水田が広がり、河岸段丘台地の緩斜面には畑地や市街地、ホテルやペンションが広がっており、このような土地利用は河川流域にさまざまな影響を与えています。
 影響の主な物は、農業用排水や農産加工業による排水、家畜の糞尿、不法投棄された各種の廃棄物、そして処理されないまま付近の川に排出される生活排水や生活廃棄物など、さまざまな環境負荷が指摘されます。
 特に農業廃棄物や生活廃棄物は、沢地や自宅敷地などに埋立廃棄あるいは投棄してきた歴史があり、水系に少なからず影響を与えていると思われます。また、近年増えている廃棄物の不法投棄は、水質悪化のみならず、生態系への悪影響も招いています。

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