カトウタツヤ展「1500CC」-有島記念館若手作家展6-

_このたび、当館では「有島記念館若手作家展 6」として「カトウタツヤ展 1500CC」を開催いたします。

カトウタツヤ「レッドソファ」

_当館が顕彰する有島武郎は、大正期を代表する白樺派の小説家であるとともに、明治期の北海道における美術史にも大きな足跡を残しています。1908年(明治41年)、東北帝国大学農科大学(現・北海道大学)美術同好会・黒百合会の創設に関与します。武郎は同会個展では自ら描いた絵画作品などを発表するほか、美術雑誌としての側面を持つ『白樺』同人でもあることから、後期印象派の複製絵画やロダンの彫刻作品を展示紹介し、北海道をはじめ日本の美術振興に寄与しています。
_この黒百合会展で武郎の絵画作品に深い感銘を受けたのは、若き日の木田金次郎です。これをきっかけに、2人は親交を持ちます。そして、木田は武郎の励ましを受けながら、郷土・岩内の自然と対峙して孤高の画業をきわめていきます。また、この武郎と木田との出会いをモデルとして、武郎の小説『生れ出づる悩み』が発表されました。
_当館では、このような武郎の美術振興や若手芸術家を応援した精神を継承して事業を行うことで、作家の想いを現代に具現化しています。1989年からは、中高生を対象とした「有島武郎青少年公募絵画展」を開催してきました。また、北海道を軸に活動している35歳以下の芸術家を対象とし、2010年から隔年で「平成の『生れ出づる悩み』コンテスト」を木田金次郎美術館(岩内町)と北海道開拓の村(札幌市)とともに開催し、若手芸術家の発表機会を提供しています。このコンテストは、作品に加え、芸術家の悩みも審査対象とし、審査員が応援したい芸術家を選出する異色のコンテストです。そして、おおむね50歳以下で旺盛な若手作家の活動を紹介する「有島記念館若手作家展」シリーズを2013年から開催してきました。
_カトウタツヤ[1982年(昭和58年)・札幌生まれ]は、高校時代から絵を描きはじめ、金沢美術工芸大学に進学。そして、京都など北海道とは異なる文化的基盤の中で仏教画などに触れたことが、現在の作風に影響を与えているといいます。このことは、抽象的な背景と具象的な人物という構成にもみてとれます。また、近年は「神話」を自らが構築し、その世界観を作品に投影させる「墓守(死)の島」シリーズにも着手するほか、作品をTシャツに刷り込み、これを実際に着用した人を彩り、そしてその時点で作品としての作品の完成とみる試みなどの活動を行っています。この展覧会を通して、カトウの多様な作品世界や幅広いカトウ自身の活動について知っていただき、さらに応援していただけるようになれば幸いです。
_最後になりましたが、この企画展の開催にあたり、出品作家のみなさまをはじめ、多くの方々にご協力を賜りました。ここに厚く御礼申し上げます。(敬称略)

ポストカード・ポスター

開催期間

2017年 3月18日(土曜日)~ 7月14日(金曜日)

会場

有島記念館 特別展示室

料金

常設展観覧料のみで鑑賞可

アクセス・交通案内

有島記念館
〒048-1531 北海道虻田郡ニセコ町字有島57番地
電話番号:0136-44-3245
FAX番号:0136-55-8484

このページの情報に関するお問い合わせ先

ニセコ町有島記念館
TEL:0136-44-3245
FAX:0136-55-8484