三浦綾子『母』と演出家・守分寿男の仕事

 北海道・旭川を拠点に、キリスト者としての信仰を投影した『氷点』や『塩狩峠』などの作品を生み出した小説家・三浦綾子[1922年(大正11年)~1999年(平成11年)]。三浦の『母』は、有島記念館がある後志地域ゆかりの小説家・小林多喜二[1903年(明治36年)~1933年(昭和8年)]の母親である小林セキの口を通し、多喜二の生涯、そして小林家やセキ自らの波乱に富んだあゆみを語る作品です。

 この『母』の芝居を軸として、多喜二の生涯に迫った映像ドキュメンタリー作品に『いのちの記憶』2008年・HBC制作・平成20年度文化庁芸術祭テレビ部門大賞受賞)があります。この作品の構成と演出とを手掛けた守分寿男[1934 年(昭和9年)~2010年(平成22年)]は、北海道放送(HBC)にてテレビドラマ草創期から演出家として活動。守分は、絶えず北海道でしか制作できないドラマ作品―「北のドラマ」―とは何かと一貫して自らに問い続け、その時代の社会的状況にも目を向けながら作品を生み出し、高い評価を得ています。また、三浦原作の『羽音』(1969年)も演出し、互いに親交を深めていました。

 守分は、代表作である『幻の町』(1976年)のほか、『わかれ』(1967年)、『あかねの空』(1980年)、『コスモス』(1981年)、『悠々たる天』(1984年)など多くの作品を後志地域を舞台に演出しており、後志ゆかりの演出家でもあります。

 本展では、三浦綾子の作品『母』と、三浦作品の映像化や後志にゆかりのある作品を演出した守分寿男に焦点をあてます。同時に2012年から有志により整理作業が続けられている守分寿男旧蔵資料を守分家の協力を得て展示し、北海道映像史において重要な位置を占める守分の仕事を振り返ります。

関連事業

朗読と音楽の調べ―三浦綾子『母』とカンテレの音色

[日時]2017年2月26日(日曜日) 13時開始
[料金]参加費無料(要観覧料)
[出演]安藤千鶴子(音声表現講師/元・北海道放送アナウンサー)
あらひろこ(カンテレ奏者)

守分寿男作品上映会「いのちの記憶」

[日時]2017年3月5日(日曜日) 13時開始
[料金]参加費無料
[解説]長沼修((株)札幌ドーム社長/前・北海道放送社長/プロデューサー)
[協力]北海道放送

開催期間

2017年 1月28日(土曜日) ~ 10月9日(月曜日・祝日)

会場

有島記念館 小ギャラリー

料金

常設展観覧料のみで鑑賞可

アクセス・交通案内

有島記念館
〒048-1531 北海道虻田郡ニセコ町字有島57番地
電話番号:0136-44-3245
FAX番号:0136-55-8484

このページの情報に関するお問い合わせ先

ニセコ町有島記念館
TEL:0136-44-3245
FAX:0136-55-8484