授業風景(広報誌特集)

ここでは、2018年6月号広報誌の特集ページをご紹介します。取材:広報広聴係 坂口

ニセコの教育と国際化を考える

もっと知りたい
「北海道インターナショナルスクール・ニセコ校」

集合写真

特集について

外国人移住者の増加が順調なニセコ町。移住するにあたって、英語による子供への教育はとても重要な要素。その中核的な存在である北海道インターナショナルスクールニセコ校ですが、意外とその素顔が知られていないのではないでしょうか?どんな子供たちがいて、どんな先生がいるのか、どんな教育が行われているのか?今回はその活動内容に焦点を当ててみました。
 

HIS Niseko が設立された経緯

元気な子供たち

そもそも、インターナショナルスクールというのは、日本全国にどれほどあるのでしょうか?運営主体はさまざまですが、アメリカンスクールやブリティッシュスクールなどを含め、仙台、所沢、筑波、東京12校、横浜2校、名古屋、神戸3校、京都、大阪2校、広島、福岡、札幌、そしてわがニセコ町で、合計28校あります(JCIS調べ)。すべて政令都市など日本を代表する大都市ばかりである中、わずか人口5千人の町にインターナショナルスクールがあるのは、特異であるといえます。
平成24年(2012)1月に北海道インターナショナルスクールニセコ校(以下、HIS Nisekoという)は開校しました。ニセコ町は、設置について当初、旧宮田小学校舎を念頭においていましたが、他の施設との交流など立地条件を勘案し、旧ニセコ幼稚園舎に約6千万円をかけ国際交流施設として改修、議会の承認を得て、校舎をHISへ無償貸与することとしました。
誘致の背景は、1.海外からの観光投資と定住外国人の増加があること、2.これに伴い外国人による教育環境の充実を望む声があがっていたこと、3.HIS札幌校に進出の意向があったことなどがあげられます。町としても、「小さな世界都市(当時の総合計画)」として、1.働きやすく定住しやすい環境を提供すること、2.ニセコ小中学校の生徒を中心とした町民にさまざまな文化的刺激があること、3.国際交流の新たな展開を創造していくニセコ町のまちづくり方針など、うまく合致したことが誘致の大きな要因となりました。

1995年1月から2018年4月までのニセコ町の人口推移

外国人と日本人の人口推移

どんな授業をしているの?(HIS Nisekoの場合)

 日本の学校で義務教育を受けたものであれば、誰でも日本の学校の授業を実体験として知っています。HIS Nisekoではどんな授業をしているのでしょうか?

クラス構成

HIS Nisekoにはホールと教室が3つあります。Milepost1(通称Mp1。11人 5歳から7歳児)、Mp3(6人 8歳から11歳児)、Early Years(通称EY。10人 3歳から4歳児)という3つのクラスに分かれ、違う学年の生徒が共通の課題やテーマに基づき、助け合いながら授業を受けています。(*Mp2は生徒数の関係で両クラスに寄せられていますが、札幌校にはあります。)先生と児童、児童と児童が常に会話しあったり、5歳の児童にもどんどん人前でプレゼンテーションをさせます。

Mp3の授業風景

IPCという国際教育カリキュラム

学習指導要領のようなもの?

どんな教科書を使っているのでしょうか?実は、日本の小学校で配付される文部科学省で指定されているような教科書や、国語、理科、社会といった体系的な科目は、HIS Nisekoにはありません。基本的にはノートと筆記用具、タブレット端末などを利用し授業を受けます。基本科目として、「International Primary Curriculum」(通称:IPC)、「Singapore Math」(シンガポール数学(*1))、「Reading」(読み)、「Writing」(書き)があります。

Mp1の授業風景

IPCというのは、2000年に開発された比較的新しい初等教育カリキュラムです。日本の義務教育を受けてきたひとにとっては想像しにくいですが、世界には「国際教育ブランド」というものが複数あり、IPCはその中のひとつとして、世界98カ国、2,000校で採用されています。
具体的にいうと、芸術、地理、歴史、ICT&コンピューティング、音楽、体育、科学技術、国際の9つの科目のための学習目標が掲げられており、130以上のテーマ別の学習単位があります。例えば「Freeze it!」という学習方法では、物質が固体から液体へ、液体から気体へとなぜ変化していくのか、ということを学びます。いわば理科ですね。では、理科でよいではないか、と思うところですが、テーマは似ていても学習するプロセスが違うようです。

EYの授業風景

(*1)シンガポール数学とは、シンガポール教育省が開発したフレームワークで、学生成績の国際評価の上位に一貫してランクインしている国、シンガポールで使用している教授方法とカリキュラムを指します。米国へ導入して20年が経過し、数学教育への一定の成果をあげています。

ELLという個人レッスン

HIS Nisekoの授業はすべて英語で行われます。生徒たちの英語力にはばらつきがありますが、英語力を補完し、安心して授業に早く馴染めるよう、「English Language Leaner」という個人レッスンが別途用意されています。

ニセコ町との交流やイベント活動

rice

ニセコ小学校でのドッジボール交流

HISは、地域との交流を積極的に行っています。ニセコ小学校とは年2回、お互いの学校を行き来して、体育やIPCに関係したプログラムを行い、近藤小学校とは、田植えや稲刈り体験を一緒にしています。また「あそぶっく」では、英語の本を用いて定期的な「読み聞かせ」を行っており、どなたでも英語に触れられます。ニセコ町役場の国際交流員4名が定期的にHISにお邪魔し、中国語やドイツ語といった多言語での「読み聞かせ」も行っています。
10月に行われるニセコハロウィンなどのイベントにも参加し、町民の皆さんと一緒に町を盛り上げてくれています。

札幌校での運動会。ラジオ体操ではなく、手裏剣ダンス?

 また、札幌校との交流活動も盛んです。運動会などは合同で行いますが、日本の運動会とは随分勝手が違うようです。選手宣誓も校長先生の挨拶もなく、プログラムなどのしおりもなく、突然スタートします。準備運動も日本ではラジオ体操ですが、ユニークなダンスで体をほぐします。

このページの情報に関するお問い合わせ先

企画環境課広報広聴係
TEL:0136-44-2121
FAX:0136-44-3500