大崎和男 鉄道写真展 「峠」

大崎和男 鉄道写真展 「峠」

 大崎和男(北海道新得町在住)は、新得機関区などで鉄道機関士を勤め、明治期から1966年に新線に切り替えられるまで、北海道随一の難所と言われた狩勝峠を擁する旧根室本線など、十勝管内各路線に乗務をしてきました。その傍ら、鉄道の動力近代化に追われ、消え去って行く運命にあった蒸気機関車の姿を北海道各地に追い求めて記録し、写真集や個展で発表しています。大崎の作品には、常務環境の厳しさなど機関士としての視点が込められているほか、鉄道や狩勝峠への愛着、生活の手段として鉄道を利用する人々などへも目線が向けられています。

 近年、日本各地では「鉄道遺産」の再評価と保存活動に光が当てられています。ニセコ町には、「旧新得機関区転車台」、「簡易軌道跡」などの鉄道遺産があります。また、当町を横断する函館本線「山線」(長万部-小樽間)は、本州・道南と道央以北を結ぶ大幹線として、明治期に建設され、北海道の開拓を支えた歴史を有しています。この「山線」は、その名の通り山間部を貫き、オタモイ、稲穂、倶知安、目名といった峠などが点在する難所でした。これらの峠に挑み、人々を魅了したC62型蒸気機関車重連が牽引する「急行ニセコ」や、1988年から7年間にわたり復活運行した「C62ニセコ号」の勇姿から、「ニセコ」の名前は多くの鉄道ファンの心の中に記憶されているのではないでしょうか。
 大崎が在住し、所属していた新得機関区を擁した鉄道の町・新得町とニセコ町とは、鉄道路線の「峠」という共通項を持ち、同時に「旧新得機関区転車台」という「モノ」でもゆかりがあります。

 本企画展では、大崎和男が撮影した写真の中から、「峠」をキーワードとして作品を厳選しました。函館本線「山線」を走るC62重連「急行ニセコ」、D51牽引の普通列車、何気ないタブレットの収受の光景、狩勝峠旧線の眺望や喘ぎながら急勾配を登る姿、往時の新得機関区転車台など、当時の記録としても貴重な作品を紹介します。

 この企画展を契機として、当町の鉄道遺産の存在が広く知られるとともに、また狩勝峠旧線をはじめとする十勝圏の鉄道遺産との連携が広がることを願ってやみません。   
(敬称略)

ニセコ町鉄道遺産
「旧新得機関区転車台」「殖民軌道跡」

 「旧新得機関区転車台」は、北海道随一の難所と言われた狩勝峠の急勾配を登るための機関車が多数配置された旧新得機関区で1957年から使用され、道東と道央の物流を陰で支えていました。同区廃止後の1990年、「C62ニセコ号」のニセコ延長運転に備えて、当町に移設されましたが、同列車の運行終了後の1995年からは眠りについています。また、この転車台に沿う道路は、当町と真狩村を1950年代後半まで結んだ殖民軌道跡です。

チラシ

展示会期

2013年10月5日(土曜日)~2014年2月2日(日曜日)
午前9時00分~午後5時00分(入場は午後4時30分まで)

休館日:毎週月曜日及び年末年始(月曜日が、祝祭日及びその振替休日の時はその翌日)

会場

二セコ町・有島記念館 小ギャラリー 

料金

入観料のみで鑑賞可

作家紹介

大崎和男(おおさき・かずお)

大崎和男(おおさき・かずお)
 1939年(昭和14年)、北海道清水町生まれ。
 国鉄・JRにて十勝管内の機関士などを勤めた後、退職。在職中より、写真、絵画、造形など幅広いアート活動を行い、各地で個展を開催。新聞などに連載記事を執筆するほか、『大崎和男写真集SL』などの作品集も出版。
 現在、新得町で鉄道関連の資料を収集・展示している「大崎ミュージアム」を主宰し、鉄道遺産の継承に尽力している。自由美術協会、北海道美術協会、日本写真作家協会などの会員。新得町在住。

主催

ニセコ町・有島記念館

イベント

ニセコ町鉄道遺産現地見学会「旧新得機関区転車台と簡易軌道跡を巡る」

日時:2013年11月4日(月曜日・祝日) 午後12時30分~午後1時
参加費:無料(申込不要)
集合:ニセコ駅前ロータリーに12:30(雨天決行)

大崎和男講演会「ニセコと十勝を結ぶ鉄道遺産、そしてアート」

日時:2013年11月4日(月曜日・祝日) 午後1時45分~午後3時
講師:大崎和男(画家・旧新得機関区乗務員) 
聞き手:持田誠(帯広百年記念館学芸研究員)、伊藤大介(有島記念館学芸員)
参加費:無料(申込不要。展示観覧の場合は要観覧料)

アクセス・交通案内

有島記念館
〒048-1531 北海道虻田郡ニセコ町字有島57番地
電話番号:0136-44-3245
FAX番号:0136-55-8484

このページの情報に関するお問い合わせ先

ニセコ町有島記念館
TEL:0136-44-3245
FAX:0136-55-8484