重点政策の展開

重点となる6分野の政策展開について申し上げます。
 

1 持続する地域経済の確立へ

 ニセコ町の豊かな自然環境を生かした内発的産業の育成に努め、農業、観光業、商工業の連携と地域に賦存するエネルギーの利活用と経済の域内循環を推進します。また、まちづくりの理念を共有し、共感できる企業、大学、研究機関等との多様な連携により、地域経済の自律に向けた取り組みを進めていきます。

(1)農業と酪農業の振興

 世界的なコロナウイルスのまん延やロシアのウクライナ侵攻により社会情勢の不安定な状況が発生し、それらを起因とした国際輸送の混乱等から、原油、飼料、肥料、資材の高騰に加え、水稲の経営安定化対策の縮小、てん菜の生産調整など、農業(酪農)経営を取り巻く状況はますます厳しさ増しており、世界情勢に適応した取り組みの強化や各農業者の営農スタイルの転換が迫られています。
 
 現在、国は世界的食糧情勢の変化に伴い、食料安全保障上のリスクの高まりや地球環境問題、海外市場の拡大などに対応するため、制定から20年を経過した、食料・農業・農村基本法の改正に向けての検討を進めるとともに、令和3年(2021年)に公表した「みどりの食糧システム戦略」を、国の農業政策の柱として取り組むこととしています。
 
 町では、こうした国の農業政策を踏まえ、クリーン農業の推進、循環型農業の取り組みを継続し、土づくりを基礎とした輪作体系の確立に取り組む一方、経営のリスク分散を考慮した計画的な営農を進めるため、関係機関の協力を得て、本町に適した農業生産のあり方を検討していきます。あわせて、本町農業の特徴である多品目生産を可能としている技術力を基に、観光リゾート地としての強みを生かした販路の確保も重要と考えています。

 しかしながら一方では、農業従事者の高齢化とともに、従前の人材不足に加えて、地域観光産業における賃金上昇の影響による雇用費用の高騰などが顕著であり、これらの人材確保対策とあわせて、農作業軽減機械等の導入も重要となってきています。このため、安定的な外国人研修生の受け入れやJAようていエリアでの連携した労働力の確保対策にも配意して人材確保対策を進めていきます。
 本年も農業の経営環境の整備や経営の体質強化など、国の制度を活用しつつ、ニセコ町にふさわしい農業が持続するよう支援をしていく所存です。
 
 令和5年度も引き続き、「国営緊急農地再編整備事業」を核として、優良農地の保全に努め、「みどりの食糧システム戦略」の取り組みを進めつつ、環境に調和した安全で安心な「クリーン農業」の推進、農地の利用集積、農業基盤の整備、収益性の高い営農の促進、担い手育成対策、6次産業化の推進などの事業を実施し、農家所得の向上に向けた取り組みを推進していきます。また、多様性のある持続可能な農業を行うため、イエスクリーン米栽培支援制度の継続とともに、完熟堆肥助成、緑肥作物の奨励などの土づくり対策、観光と連携した地場産品の地域ブランド化対策、6次産業化支援、新たな栽培技術の導入支援などに引き続き取り組んでいきます。

(2)観光の振興

 令和4年度(2022年度)においては、感染力の強い変異型の新型コロナウイルスによる第7波の到来もありましたが、全国旅行支援などの事業が開始されたことにより、徐々に本町へも観光客が戻りつつありました。また、ニセコリゾート観光協会が、着地型旅行整備事業の一環としての教育旅行の受け入れを強化したことにより、町内の宿泊客数が大きく回復しており、海外からの観光客数も徐々に回復しつつあります。

 令和3年度(2021年度)から町では、グローバルサスティナブルツーリズム協会(GSTC)基準に即した、持続可能な観光地域づくりの取り組みに着手していますが、この取り組みの結果、国際的な認証機関であるグリーンデスティネーションズが主催する「世界の持続可能な観光地トップ100選」に京都市などとともに、一昨年から2年連続で選出されました。また、国連世界観光機関(UNWTO)による“世界における観光地の優良事例”として「ベスト・ツーリズムビレッジ」を令和4年度(2022年)に受賞しています。このような一連の取り組みが評価されて、昨年10月に「観光庁長官表彰」を自治体で唯一受賞する栄誉を得ることができました。

 世界的に注目が高まりつつある“持続可能な観光地”として、国内外での認知度を高め、ニセコ町が旅行先に今後も選ばれ続けるために、令和3年度(2021年度)に策定した「観光振興ビジョン」に基づき取り組みを進めるとともに、持続可能な観光地としての環境を整えるための財源として、「宿泊税」の導入を進めていきます。また、昨年から、国に対して要請している「デジタルノマド・ビザ」の創設提言も引き続き行っていく所存です。
 
 倶知安町、蘭越町とともに、広域で取り組んでいる「ニセコ観光圏」については、地域内交通の将来像、エリア内事業の推進体制や温泉地の活用など、多くの共通課題を解決・実践する場となるよう連携して取り組みを進めます。
 
 ニセコハロウィンなどの地域振興イベントへの支援、重要な観光資源である温泉の活用促進、自転車を活用した夏季の魅力アップなど、今年度も引き続き、ニセコ地域や羊蹄山麓などの関係自治体や民間組織と連携しながら取り組みを進めていきます。

 また、観光客が安心できるスノーリゾート地として維持するためには、安全対策が重要であり、雪崩事故防止対策である「ニセコルール」の運用を各スキー場や国立防災科学技術研究所などの関係機関と協力して実施してきているところです。町では、雪崩調査所の人材育成を支援するなど、積極的に冬山の安全対策を進めており、今後とも「ニセコルール」が持続発展していけるよう、倶知安町や各スキー場、関係機関などとともに、雪崩調査所に対して支援を強化していきます。
 
 昨年度に基本設計を実施した「道の駅ニセコビュープラザ」の再整備については、現在、国に対して、道の駅の再整備等に特化した財政支援制度の創設を強く要望を行っています。今後、この財源確保や現在国土交通省において検討されている高速道路のインターチェンジの状況なども勘案して、総合的に整備等の判断をしてまいります。

(3)商工業の振興と労働対策

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、地域経済が大きく疲弊し、特に商工業事業者への影響は大きく、加えて慢性的な人材不足により、事業活動に困難が強いられています。町ではこれらの厳しい状況も踏まえ、移住促進施策と連携して、国が制度化した「特定地域づくり事業協同組合制度」の導入にチャレンジしたいと考えています。また、令和4年度(2022年度)に制定した「中小企業等振興条例」に基づき、商工業振興の中核組織であるニセコ町商工会活動を支援するとともに、国や金融機関などと連携した「ビジネスセミナーの開催」や「起業相談窓口の運用」などの小規模起業支援を継続し、多様な事業者の育成による地域の活力の向上を目指します。
 
 本年も、引き続き、企業誘致活動を積極的に推進し、地域内で不足する事業体の確保や域内経済循環の持続性を基本として、その拡充を目指していきます。
 また、綺羅カード会が実施する「キッズカード事業」への支援を継続し、地域商店と消費者、観光事業者との接点を増やして地域内での消費拡大に努めます。さらに、ふるさと納税が地域の経済活性化に結び付くよう、「e旅納税」や新共感地域通貨「ニセコeumo」との早期の連携、運用が可能となるようその取り組みの支援を行います。

 消費者対策については、不当な勧誘などにより町民のみなさまが苦しむことがないよう、ニセコ町を含む近隣7町村で設置している「ようてい地域消費生活相談窓口」の機能が、より発揮されるよう相談活動の拡充とPR、啓発活動を推進していきます。

2 誰もが健やかに笑顔で暮らせるまちづくり

 町民のみなさまが、健康で心豊かに生活できる社会を創るため、保健、医療、福祉、子育て、教育などの諸課題の解決に向けて、「相互扶助」を基本として、将来を見通しての総合的な視点で各種の取り組みを進めます。

(1)子育て支援

 次代を担う子どもたちが安心して遊び学び、保護者がいきいきと子育てできる環境づくりを教育委員会と連携しながら進めていきます。

 また、本町は日本ユニセフ協会と「子どもにやさしいまちづくり実践自治体」としての覚書を締結していることを生かし、まちづくり基本条例第11条に基づく「子どものまちづくり参加」の取り組みを継続するとともに、本年も子どもたち一人ひとりが可能性を伸ばし健やかに成長できるよう、子どもの人権に配慮して取り組みを進めます。

 子育て環境の整備では、18歳までの全ての子どもたちの医療費について、無料化を継続し、今年度から新たに国の出産・子育て応援交付金制度による伴走型相談支援と経済的支援を行います。妊娠届出時から3回の面談を行うほか、妊娠時と出産時にそれぞれ5万円の給付を行い、妊婦や子育て家庭が安心して、出産、子育てができる環境の整備と経済的な支援を行います。

 その他、子どもの健康診断や母子保健事業、未熟児医療などについても、引き続き実施をしていきます。
 

(2)高齢者、障がい者の福祉

 高齢者や身体などに障がいをお持ちの人が、住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう、「第8期後志広域連合介護保険事業計画」、「第8期高齢者保健福祉計画」や「第3次障がい者基本計画・第6期障がい福祉計画」に基づき、福祉の充実を図っていきます。
 ニセコ福祉会が運営する「高齢者グループホーム・きら里」とケアプラン(介護支援計画)の作成等を行う「居宅介護支援事業所」に対し、運営費の一部を補助します。また、ニセコ福祉会の経営健全化へ向けて、経営改善を目的とした分析調査を昨年度に行っており、今年度は改善に向けた取り組みをニセコ福祉会と協力して進めます。

 「地域包括支援センター」では、関係機関との連携を図りながら、課題を抱える高齢者への支援を行うとともに、健康維持のための予防事業を実施します。また、年々増加する認知症患者の対応を担う「認知症初期集中支援チーム」においては、認知症専門医の指導のもと、認知症の人やその家族に対し、初期の支援を包括的かつ集中的に行い、自立生活のサポートを継続します。
 地域活動支援センター「ニセコ生活の家」については、障がいをお持ちで、かつ、日中活動が困難な人をサポートするための中核的な役割を担う施設であり、地域の支えやコミュニティによる「地域生活支援事業」が円滑に進むよう、福祉関係機関と連携のもと、運営費の一部を支援します。

 地域福祉の増進、高齢者福祉サービスの提供、増加傾向にある認知症の相談業務を担う「町生活サポートセンター」の開設など、福祉の推進組織として重要な活動を担っている「社会福祉協議会」の運営支援を行います。また、令和6年度(2024年)からスタートする「高齢者保健福祉計画」と「障がい者基本計画・障がい福祉計画」の策定に向けての作業に着手をします。

(3)健康づくり

 健康づくりについて、「第3次健康づくり計画」に基づき、食生活、運動、こころの健康、歯の健康や生活習慣病に関する事業を中心に実施していきます。

 予防接種事業では、子どもへのワクチン接種を継続し、一般の接種については、風しん抗体検査などを引き続き実施、今年度から新たに「帯状疱疹予防接種」への扶助を開始します。また、子宮頸がんワクチンについては、定期接種(中学1年生から高校1年生)とキャッチアップ接種(高校2年生から26歳)を継続して実施し、今年度から9価ワクチンも扶助の対象とします。

 健康診断事業については、健診受診率の向上のため、特定健診や各種がん検診を受診した人への綺羅ポイントを付与する事業を新たに実施し、健康教室や講座を開催するとともに、町民のみなさまのご協力を得て実施している「エキノコックス駆除対策」も継続して行います。

(4)国民健康保険事業、医療制度

 国民健康保険は全道の医療費推計などを基に、北海道が、ニセコ町で必要とされる国民健康保険税の総額と税率を示し、町ではこれにより「保険税率」を決定しています。令和5年度(2023年度)の税率は、所得割が0.91%減、均等割が4,491円増、平等割が3,415円減となっており、賦課限度額は国の制度に合わせ2万円を増額しています。また、国民健康保険での特定健診についても、受診した人に対し綺羅ポイントを付与し、少しでも受診者が増加するよう努めてまいります。

(5)地域医療の確保

 地域医療、救急医療の確保、精神医療などの倶知安厚生病院の赤字を補填するため、病院所在地である倶知安町を中心に羊蹄山麓町村と運営費等の支援を行い、あわせて、倶知安厚生病院の改築整備についても、関係町村と連携して整備費用を負担します。
 また、町民のホームドクターとして重要な役割を担っていただいているニセコ医院については、平成25年度(2013年度)に導入したCT装置とX線装置の保守点検費用の一部を、協定に基づき支援をします。

3 環境に優しいニセコの創造

 豊かな自然や景観が、私たちの暮らしと経済基盤を支える本町にとって、自然と調和した、持続可能な社会を築くことが、ニセコ町の価値を高め、自律したまちづくりにつながっていくものと考えています。
 農業と観光を主産業とし、住むことが誇りに思えるまちづくりを進めるリゾート地として、地球環境負荷の低減、脱炭素社会の実現と気候変動に対応しつつ、あわせて地域経済循環社会構築へと、その両立を図っていきます。
 

(1)自然環境の保全と環境対策

 ニセコ町の美しい自然環境を大切にしつつ、自然に調和した暮らしを維持するため、第2次環境基本計画、                 地球温暖化対策実行計画などに基づき、「環境創造都市ニセコ」の実現に向けた取り組みを進めます。
ニセコアンヌプリ山麓周辺をはじめとして、観光施設等の開発計画が今後も予定されていますが、ニセコの自然や風景と調和し貴重な財産を守り育てるため、国定公園法、準都市計画、景観条例や地下水保全条例などの制度を適正に運用し、「秩序ある開発」への誘導を図っていきます。
 
 廃棄物処理対策については、羊蹄山麓7町村が連携して可燃ごみの固形燃料化処理を倶知安町の民間事業者に業務委託していますが、今後、観光客の入込の回復に伴い、ごみ量が増加することが予想されています。
 町では、ごみの減量化と分別排出の徹底を図るため、令和2年度(2020年)から、スマートフォンなどで利用できる「ごみ分別アプリサービス」の運用を行っていますが、引き続き、分別排出の周知をこまめに行うとともに、近年、ごみ処理経費が増大し、町の財政負担が増大の一途となっていることから、事業系廃棄物を中心として、ごみ処理料金の改定についての検討を開始します。

 し尿処理については、羊蹄山麓環境衛生組合羊蹄衛生センターにおいて 処理をしていますが、現在の施設は築50年が過ぎ、施設の損傷が激しいことから、令和11年(2029年)に新施設の稼働を目指し、各種計画策定などの準備を進めることとしています。
 

(2)自立型省資源社会への転換

 町では、「環境モデル都市」、「SDGs未来都市」として、環境負荷の低減と地域の活性化の両立を目指し、将来にわたり持続可能な暮らし、まちづくりに向けた取り組みを進めてきました。平成30年(2018年)には「世界首長誓約/日本」に署名し、令和2年(2020年)には「気候非常事態宣言」を行い、令和3年(2021年)には「再生可能エネルギー事業の適正な促進に関する条例」と「自転車の適切な利用を促進する条例」を制定しました。本年度は、環境政策を推進するため、「第3次環境基本計画」、「脱炭素行動計画」、「地方公共団体実行計画」を策定し、あわせて、省エネルギー性能の高い建物を普及させるための条例の早期制定を目指します。
 

(3)「株式会社ニセコまち」との連携

 平成30年(2018年)に国からSDGs未来都市として選定され、その中核事業であるNISEKO生活・モデル地区「ニセコミライ」の取り組みを進めています。本年度は、省エネルギー・高気密高断熱での木造集合住宅として賃貸住宅の建築工事が行われる予定で、令和6年(2024年)3月の完成を目指しています。これらの光熱費を抑え、除雪や管理の負担が少なく、健康で暮らしやすい快適な生活環境の実現に向けたモデルとなる取り組みを支援します。
 また、環境を基軸とした多様な連携の促進、脱炭素・地域活性化の推進を図り、持続可能なまちづくりを「株式会社ニセコまち」とともに進めます。
 

(4)林業の振興

 森林は、町の基盤である自然環境や景観を構成する大切な地域資源であり、住民の暮らしに「豊かさ」をもたらしてくれる存在です。美しい景観を維持し、未来につないでいくためにも、計画的に整備することが必要であり、木材に付加価値をつけて経済を循環させ、地域ぐるみで森林づくりに取組む必要があります。

 本年度は、令和3年度(2021年)に町の森林づくりへの基本理念と方向性を示した「ニセコ町森林ビジョン」に沿って、将来世代へ引き継ぐための具体的な森林づくり進めるために立ちあげた会社を支援し、町の豊かな森林資源を町民に伝え、利活用ができるよう、人材の育成・研修や木育の取り組みに努めます。また、ニセコ町森林整備計画やその他の施策と調整を図り、森林の持つ多面的機能が持続的に発揮されるよう林業振興の取り組みを進めるとともに、民有林整備の促進と町有林での植栽事業、作業路の整備などの管理に努めます。

4 豊かな心と個性ある文化を育む

 教育委員会や関係機関との連携を密にしながら、子どもが健やかに成長できる教育環境づくりを進め、多様な文化、スポーツ活動が、町民のみなさまの主体的な行動によって展開されるよう支援に努めます。
 

(1)教育環境の充実

 教育は、「第5次町総合計画」、「ニセコ町教育大綱」、「町教育振興基本計画(後期施策)」に沿って、教育委員会が取り組む事業を支援していきます。

(2)文化とスポーツの振興

 誰もが気軽に文化活動への参加やスポーツに親しむことができるよう、令和2年度(2020年)からスタートした「第7期社会教育中期計画」に沿って、社会教育、社会体育の諸事業を支援していきます。また、「冬季北海道札幌オリンピック・パラリンピック」招致活動については、北海道並びにMICE協定を締結している札幌市の要請に基づいて協力をしていきます。
 

(3)コミュニティ活動と国際交流の推進

 人々のコミュニティ活動や交流の場として中央倉庫群の役割は大きく、今後とも、気軽にくつろげる居場所として、また、町の地域振興とテレワークの拠点として多くの皆さんが利用しやすい施設となるよう、指定管理者を支援していきます。

 集落再編により整備した地域コミュニティセンターについては、各地域コミュニティセンターの設備の改善を順次実施していきます。また、西富地区町民センターについては、西富周辺地区におけるコミュニティ活動や防災時の拠点としてのほか、より多くの皆さんが利用できる施設となるよう取り組みます。

 国際交流員(CIR)による交流事業は、これまで現役を含めた20人の外国人スタッフが活躍し、町民との文化交流、外国人向けの観光案内、誘客や町の広報媒体の多言語化のサポートを担うなど、幅広い国際交流活動を行っています。本年度は、一般財団法人自治体国際化協会(CLAIR)の支援を受け、国際交流員5人を配置し、多文化共生への理解の促進と、各種の国際交流事業を実施していきます。
 

5 安全で安心な暮らしを支える

 町民のみなさまや来訪される方々が、安心して暮らし、過ごすことができるよう、防災対策の充実強化、生活基盤、社会基盤の総合的な整備に引き続き取り組みます。

(1)防災・危機管理対策

 近年、自然災害が頻発化し、全国各地で甚大な被害が発生しており、町では、「ニセコ町地域防災計画」、「町強靭化地域計画」、「町事業継続計画(BCP計画)」などに基づき、自治体としての危機管理体制を確保しつつ、防災関連備品の整備をはじめとする防災、減災対応機能の向上を図ってきました。本年も、自治会の協力を得て自主防災組織づくりに取り組むとともに、防災訓練を実施します。
 また、原子力防災対策については、「地域防災計画・原子力防災計画編」に基づき、国、北海道、関係自治体などと緊密に連携し、引き続き町民のみなさまへの情報の提供に努めます。

 一昨年から利用を開始した防災センター機能を有する役場庁舎は、防災対策の拠点として町民のみなさまの安心と安全な暮らしに貢献するとともに、気軽に利用することができる親しみやすい庁舎となるように配意していきます。
 消防については、羊蹄山ろく消防組合と連携を図りながら消防力の強化に努めるとともに、ニセコ支署消防庁舎の新築整備のための実施設計を行います。

(2)情報基盤の充実

 コミュニティFM「ラジオニセコ」は、災害時における情報提供の手段として大きな役割を果たしており、令和4年(2022年)11月には、難聴エリアの解消を目指し、民間ホテル事業者の協力を得て、ラジオ送信設備を移設することができました。本年度は、災害時における被災情報など町民のみなさまの生命と財産の確保に不可欠な情報をより確実に提供するため、役場庁舎に予備送信所を整備するための調査に着手し、令和6年度(2024年度)中の完成を目指します。
 今後も行政情報をはじめ、町内の各種団体、観光イベント、ニセコルールにおける雪崩事故防止情報など、「聴くだけじゃない、出るラジオ!」として町民から愛されている「ラジオニセコ」の運営を支援していきます。

(3)住環境の整備と定住促進

 これまで、慢性的住宅不足を緩和するため、民間賃貸住宅に対する建設費への補助、省エネ住宅改修、耐震改修への補助や公営住宅の長寿命化などに取り組み、住環境の整備に努めてきました。今年度は、国の補助制度を活用し、公営住宅中央団地5号棟の長寿命化型複合改善工事を実施し、あわせて、株式会社ニセコまちが実施するニセコミライの集合住宅整備に対して支援をします。
 

(4)道路交通網の整備

 町道については、整備後に相当な年数が経過している路線が多いため、舗装の劣化や防護柵などの破損が進んでおり、「町道路維持個別施設計画」に基づき、財源となる起債等の活用を図りながら維持管理に努めます。本年の町道の整備は、「町道役場前通歩道整備実施設計」、「町道元町四線通改良舗装工事」、また、橋梁では、昨年に続き「橋梁長寿命化点検委託業務」や「町道真狩川沿線小川橋補修工事」を行います。冬期間の除雪については、町民のみなさまの協力を得ながら、冬道の安全確保に努めていきます。

(5)地域交通の確保

 地域住民の生活や地域の観光などを支える持続可能な交通体系を構築するため、本年、公共交通政策のマスタープランとなる「町地域公共交通計画」を策定します。高齢者、通学生や観光客などの利便性の向上を図るほか、北海道新幹線札幌開業後の交通ネットワークも見据えた、公共交通の維持と確保に努めます。また、平成31年度(2019年度)から実施してきた「助け合い交通」への支援や「ニセコ周遊バス」の運行については、事業内容を拡充して継続します。

 北海道新幹線札幌開業に伴い、並行在来線となる函館本線の「長万部と小樽間」の地域交通の確保方策については、令和4年(2022年)3月の北海道新幹線並行在来線対策協議会後志ブロック会議で、「バス方式」とすることの確認がなされました。今後も、北海道とJR北海道やバス運行会社での協議の内容が分かり次第、適宜お知らせをし、利便性の向上が図られるよう配意していきます。
 また、計画段階評価が行われている北海道横断自動車道の「蘭越―倶知安間」の計画路線やインターチェンジなどがどのように決定されるのかに留意し、国に情報の早期提供を要望していきます。
 

(6)空き家対策

 令和4年(2022年)に見直しをした「町空き家等対策計画」に基づいて、高齢者のみの世帯の住宅や別荘等の空き家が、今後、増加することが予想されることから、空き家を出さない予防対策の強化策の検討を進めていきます。

(7)上下水道

 水道事業では、令和2年度(2020年度)から水道管路施設の更新事業や施設の老朽化対策を講じており、市街地区の配水管更新工事については引き続き進めていきます。また、本年度は、宮田地区の配水管更新工事を、市街地区では新たに水量、配水施設の拡張を行うための実施測量設計を行います。

 農業集落排水事業を含む下水道事業については、施設の適切な更新と維持管理を行うため、「下水道事業ストックマネジメント計画」と「農業集落排水施設最適整備構想」に基づき、国の補助事業を活用した下水道施設機械電気設備などの更新工事を進めます。
 また、これまで特別会計で行っている農業集落排水事業については、令和5年度(2023年度)より、下水道事業の中に統合して事務の効率化を図ります。また、令和5年度末(2023年度末)までに特別会計から公営企業会計への制度移行が義務化されているため、条例改正などの緒手続を進めることとしています。

6 未来を見据えた行財政の基盤づくり

 「町総合計画」、「自治創生総合戦略」などの各種計画に基づく事務事業を実施するとともに、町が保有する行政財産と資源の有効活用を図り、効率的でかつ効果的な自治体経営基盤の確立に努めます。
 

(1)総合計画によるまちづくりと行財政運営

 平成24年(2012年)に策定した「第5次ニセコ町総合計画」「環境創造都市ニセコ」については、令和5年度(2023年度)で終了することから、本年、計画期間を令和6年度(2024年度)から令和17年度(2035年度)の12年間とする「第6次ニセコ町総合計画」を新たに策定します。町政運営における最上位の計画として、ニセコ町のまちづくりの理念や将来に向けて、目指す姿を明らかにするための計画とするとともに、「健全財政」を持続するものとなるよう配意します。

(2)まちへの共感、関係人口の拡大(ふるさと納税)

 自治創生総合戦略に掲げた関係人口の拡大を図るため、「ふるさと住民票」の活用をさらに広く周知するとともに、寄付者の想いが地域へとつながり、魅力あるまちづくりに展開ができるよう、情報発信と交流に努めます。

 昨年11月に、旅行者がスマートフォンなどで寄付することができ、返礼品として、町内の加盟店で利用できる電子通貨「NISEKO eumo(ニセコユーモ)」を受け取ることができる旅行者向け「ふるさと納税(e旅納税)」が運用を開始しています。この仕組みは、SNS機能によって、地域とのコミュニケーションが図られることが特徴であり、この制度を広め、まちの取り組みに共感してくれる関係人口の拡大とふるさと納税の拡充に努めます。
 

(3)自治創生の推進

 令和2年(2020年)に策定した「第2期自治創生総合戦略」に基づき、各種事業を進めた結果、現在のところは概ね想定規模の人口で推移しつつありますが、今後の人口減少社会への対策と地域経済の循環への取り組みの強化を進めていきます。また、まちづくりの担い手として、地域おこし協力隊の配置を拡大するとともに、隊員の定住や起業活動を支援し、あわせて、集落支援員制度の活用も図っていきます。
 さらに、持続可能なまちづくりを進めるため、株式会社「ニセコまち」や新たな森の会社との多様な連携を進め、企業版ふるさと納税などによる関係人口の拡大に努めます。

(4)計画的な公共施設管理

 「公共施設等総合管理計画」や「個別施設計画」に基づき、計画的な維持修繕、類似施設の統廃合、長寿命化、施設管理の見直しや廃止の検討などに努めます。また、町が保有する資産は、売却や貸付などの有効活用を検討し、町の財政の健全性の保持に努めます。施設整備では、「ライフサイクルコスト」と「持続性」を重視し、施設のコンパクト化や統合なども含め、国の諸支援制度を最大限活用しつつ、将来を見据えた社会基盤の整備を進めます。

(5)広域行政の推進

 広域行政については、税の滞納整理、国民健康保険、介護保険、行政不服審査会に関する事務を行っている「後志広域連合」の機能がより発揮されるよう検討を進めます。また、「羊蹄山ろく消防組合」や「羊蹄山麓環境衛生組合」においては、共通経費などの負担が増加しており、構成町村と連携して負担の増加やそのことが恒常化しないよう協議を進めていきます。








 
 今年度もこれまでと同様、私の基本姿勢である「公正、スピード、思いやり」の行動原則を柱に、次代を担うこどもたちへの投資、子育てしやすい環境の拡充を図り、「1.資源の循環、2.エネルギーの循環、3.地域経済の循環」という、ニセコ町が将来に亘って自律し、持続していくための3つの循環による「子どもの笑顔が輝く元気なニセコづくり」に努めていきます。
 

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