令和5年度 町政執行方針

 本町は、明治34年(1901年)11月に真狩村から分村独立、元町に戸長役場を置き、令和3年(2021年)11月で120年の歩みを重ねることができました。120年の式典をこの年に開催予定でしたが、新型コロナウイルス感染の拡大などの影響で、120年記念式典は数度の延期の後、縮小開催を決定させていただきました。こうした経緯を経て、本年2月に「ニセコ町開町100周年記念式典挙行」以降の20年間を対象として、まちづくりにご尽力を賜りました自治等功労者のみなさまへの簡素な「感謝状贈呈式」を開催し、120年の区切りとさせていただきました。
 これまでの町民みなさまのご支援のお陰で、人口は、平成2年(1990年)の4,483人を最少に、近年は微増状態が続き、5,000人前後を推移する状況となりました。加えて、優良企業のニセコ町への進出もいただくなど、町税収入も3億円ほどの増加をみることができました。こうした結果、全国の926町村中、個人住民税の増加率が全国第7位、法人税の増加率が全国第11位、また起業立地数が全国第6位となり、子どものいる世帯の移住数(教育移住)においては、北海道の町村で第1位とのデータが日本経済新聞社から公表されているところでございます。

 さて、世界を襲った新型コロナウイルスの感染は、感染の終息を見ることなく、感染症との付き合いを続けざるを得ない「ウイズコロナ」の時代へと突入しています。本町でも、令和2年(2020年)2月25日「新型コロナウイルス感染拡大に伴う危機管理対策本部」を設置し、これら対策に取り組んで3年が経過しています。この間、町民のみなさま、町議会議員各位のご理解とご協力を賜り、感染予防や経済対策、生活支援などさまざまな対策を講じて今日に至ることができました。飲食や宿泊事業など、観光関連事業経営者、従事者のみなさまのご心労は大変なものがあったものと思います。昨年末からの感染予防の緩和ムードの中で、本町への観光入込数が回復しつつあるなど、明るい兆しが少しずつ見え始めたことは喜ばしいことと感じています。
 また一方では、昨年、ロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始、世界を大きく不安に陥れるとともに、世界の食糧危機を惹起、燃料や各種資材の高騰など、世界経済への甚大な悪影響を及ぼし、いまだに残虐非道の愚かな戦争犯罪行為を続けているところです。こうした経済不安やパンデミックから抜け出せない現況など、私たちの暮らしは、大きな生活や日常不安の中にありますが、将来を見据え、本町の各種計画の推進を念頭に柔軟にまちづくりの緒事業に取り組んでまいります。
 
 一昨年および昨年の町政執行方針で、私たちを取り巻く今日の社会は、現在、三つの解決しなければならない大きな課題に直面していると申し上げさせていただきました。一つ目は経済合理性優先の社会から人々の尊厳を大切にする「共感資本社会」づくりへの転換、二つ目は拡大し続けている暮らしにおける格差の是正、三つめは「地球環境負荷の低減」と「気候変動対策」ですが、これらについては、総合計画を基本に自治総合戦略、環境モデル都市アクションプラン、SDGs未来都市計画によって、取り組みを進めつつあります。

 新年度においても、持続する生活基盤の整備とともに、有島武郎の遺訓「相互扶助」の理念が息づくまちとして、「子ども医療費の無料化」をはじめとする、子育てしやすい環境の拡充とともに、今日の町を築いてこられたご高齢のみなさまが、安心して暮らすことのできるまちづくりに努めてまいります。
 また、これまで進めてきた企業の誘致につきましては、本町のまちづくりに共感し、ニセコ町の環境創造都市の理念にあった「良質な企業」を前提として誘致活動を強化してまいります。

 なお、これまで国に対して要請をしてきた「所有者不明土地」について、その所有権を希望する自治体に移管することを可能とする法整備や自治体が指定する水資源保全地区での開発を自治体が規制できる法制の樹立について、引き続き国に対して要請していきます。加えて、ニセコ町においては、水道の導水管、給水管の耐震管への切り替えなど、将来のリスクの軽減を図るための水道施設の整備について、国が進める国土強靭化政策の一環として支援制度の拡充、または創設を行うよう提言をしていく所存です。

 また、昨年から多くの関係者と取り組んできた「健康と省エネルギーに資する住宅改修への国の助成」については、国の関係省庁において住宅の省エネ改修を予算化する方向で現在調整が進んでおり、本町においても連動して住宅等における高気密・高断熱、省エネ化に向けての取り組みを進めていく予定です。また、道の駅の再整備に関しては、全国道の駅連絡会などを通じて国への支援制度創設を引き続き行ってまいります。
 
 令和5年度(2023年)においても、町民のみなさま、町議会議員のみなさま、そして自治のプロフェッショナルである役場職員の英知を結集し、「日本国憲法」と「ニセコ町まちづくり基本条例」の理念を大切にして、諸課題を先送りすることのないよう町政を進めていく所存でございます。

 続いて、予算執行の基本的な考え方についてご報告させていただきます。

 

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