ニセコ町環境基本条例(案)

前文

 ニセコ町は、東に羊蹄山、北のニセコアンヌプリ及び南の昆布岳に囲まれ、清流尻別川が町の中央部を流れています。わたしたち町民は、この豊かな自然の恵みと水循環に支えられて、農業や観光を中心とした産業を育んできました。
 しかし、これまでの大量生産・大量消費・大量廃棄社会は、ニセコの自然環境に大きな影響を与え、誇るべき水循環の環にほころびも見受けられます。
 今こそ、わたしたちの生活がこの自然環境に支えられてきたことを再認識し、壊れかけた環をもう一度直す取組みが必要です。
 わたしたち町民は、水循環と物質循環の保全をとおして、地域の生活文化を守り育て、美しい景観が織り成す自然環境と調和した経済社会を持続させることにより、住むことに誇りが持てるまちを築くためにこの条例を制定します。

目的

(目的)
第1条 この条例は、ニセコ町の良好な環境を保全し創造する(以下「環境保全等」という。)際のわたしたち町民の責任を明らかにし、ニセコの自然生態系や地域の生活文化(以下「環境文化」という。)を守り育てることを目的とする。

この条例の位置付け

(条例の位置付)
第2条 この条例は、ニセコ町まちづくり基本条例に規定する分野別基本条例のひとつとして、環境保全等に関し必要な事項を定める。

環境理念(基本的な考え方)

(環境理念)
第3条 環境保全等は、町民が環境に関する情報の共有とまちづくりへの参加を通じ、安全で健康かつ快適な環境を享受する権利の実現を図るとともに、良好な環境を将来の世代へ引き継ぐことを目的として展開しなければならない。
2 環境保全等は、ニセコが育んできた豊かな水循環の保全を基盤に物質循環と合わせ、環境文化を将来にわたって守り育てることを基本としなければならない。
3 環境保全等は、人と自然との共生を基本として、環境への負荷軽減と持続的発展が可能な社会を築くため、すべての者の自主的かつ積極的な取組みによって行われなければならない。
4 環境保全等は、地域の環境が地球全体の環境と深く関わっていることを認識し、地域を越えた協力のもとに推進されなければならない。

環境方針

(環境方針)
第4条 町は、前条に掲げる環境理念の実現を図るために、地域特性に即した次に掲げる基本方針に基づき、環境保全等に関する取組みを推進しなければならない。
(1)水循環の保全活動をとおして、豊かな環境文化を守り育てること。
(2)ごみゼロ社会を目指し、持続発展可能な社会づくりを進めること。
(3)地球規模の視点から環境保全に取組むこと。
(4)町民、コミュニティ、事業所など多様な参加による環境づくりを進めること。
(5)快適かつ安全な住環境及び生活環境づくりを進めること。

環境基本計画

(環境基本計画の策定)
第5条 町は、本条例に基づく環境保全等に関する取組みを推進するため、環境基本計画を定めなければならない。
2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1)環境保全等に関する目標
(2)環境保全等に関する長期的な取組みの大綱
(3)環境保全等に関する計画的かつ具体的な取組み事項
(4)計画の進行管理に関する事項
3 環境基本計画は、その計画期間をおおむね10年間とする。ただし、社会経済情勢の変化等に伴う計画の見直しを妨げない。
4 環境基本計画の策定においては、ニセコ町まちづくり基本条例第25条に基づく町民参加を基本としなければならない。

(環境基本計画の管理)
第6条 町長は、環境の実態及び環境保全等に関する取組みの実施状況を明らかにするため、環境基本計画の進行状況を年に一度とりまとめ、これを公表しなければならない。
2 前項のとりまとめにおいては、ニセコ町まちづくり基本条例第25条に基づく町民参加を基本としなければならない。

責任と義務(役割・行動基準)

(行動原則)
第7条 本条例に定める環境保全等の活動は、環境理念と環境方針に従って行動しなければならない。

(町民の責任と義務)
第8条 町民は、日常生活に伴う環境への負荷軽減に努めなければならない。
2 町民は、自ら環境保全等に積極的に努めるとともに、町が実施するこれらの取組みに協力しなければならない。
(住民団体の責任)
第9条 住民団体は、環境保全等の活動に際し、住民参加の体制整備、情報の提供及び活動機会の充実に努めなければならない。
(事業者の責任と義務)
第10条 事業者は、自らの事業活動に際し、環境への負荷軽減に努めるとともに、自然環境の保全に必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
(町の責任と義務)
第11条 町は、その活動において廃棄物の発生を抑制するとともに、環境への負荷軽減に資する原材料、役務などを率先して利用しなければならない。
2 町は、町民等が行う環境保全等に関する事業又は活動に協力しなければならない。
(旅行者等の責任と義務)
第12条 通勤、通学または旅行などで本町に滞在する者は、第8条に定める町民の責任と義務に準じ環境保全等に努めなければならない。

施策(取り組み)

(水循環の保全)
第13条 町は、水源地、河川、湖沼、湿原などの環境保全に努め、健全な水循環と安全な水の確保のために必要な対策をとらなければならない。
(生活排水の適正処理)
第14条 町民及び事業者は、生活または事業に伴う排水処理を行うときは、水環境への影響を軽減するよう努めなければならない。
2 町は、町民及び事業者が行う前項の活動に対し、情報の提供及び必要な支援に努めるものとする。
(森林・里山の保全及び育成と利活用)
第15条 町は、人と自然とが共生できる緑豊かな環境を形成するために、森林、里山及び緑地の保全、緑化の推進その他必要な取組みに配慮しなければならない。
2 町は、森林、里山の保全及び育成にあたっては、天然林の実態把握と保全、不伐地域の指定など必要な取組みに配慮するものとする。
3 町民及び事業者は、前2項の取組みに協力するとともに、大規模伐採を避けるよう努めるものとする。
(クリーン農業の推進)
第16条 町は、安全な食料を生産するため、肥料及び農薬の適正な使用及び低減など環境にやさしい持続可能な農業の促進に努めなければならない。
2 町は、農業から生ずる廃棄物の適正な処理並びに循環的な利用に配慮しなければならない。
3 町民及び事業者は、前2項の取組みに資する農業技術の導入に努めるものとする。
(河川の自然生態系・水質保全)
第17条 町並びに河川管理者(以下「町等」という。)は、河川の自然生態系及び水質の維持向上に努めなければならない。
2 町等は、河川改修等に際しては、河川流域の自然生態系の把握とともに、自然に配慮した工法に努めるものとする。
(町民の親水活動推進)
第18条 町は、町民が水と親しむ活動を進めるため、情報の提供及び必要な支援に努めるものとする。
(廃棄物の削減及び効率的なエネルギー利用)
第19条 町は、環境への負荷軽減のため廃棄物処理の適正化を推進するとともに、町民や事業者による廃棄物の減量化、資源の循環的な利用並びにエネルギーの有効活用の促進に努めるものとする。
2 町は、町が行う施設の建設及び維持管理その他事業に際しては、廃棄物の減量化、資源の循環的な利用及びエネルギーの有効活用など環境への負荷軽減に努めなければならない。
3 町民及び事業者は、前2項の取組みに協力するとともに、家庭及び事業所における省エネルギーに配意しなければならない。
(地球環境の保全)
第20条 町は、町民、事業者及び町がそれぞれの役割に応じて環境保全に資するための行動の指針を定め、その普及に努めるとともに、これに基づく行動を促進するものとする。
(景観の保全)
第21条 町は、ニセコの美しい景観を守り、つくり、育て、快適で潤いのあるふるさとを形成するために、必要な対策を講ずるものとする。
(環境学習の推進及び人材育成)
第22条 町は、環境保全等について、町民、事業者及び住民団体が理解を深め、その活動が促進されるよう教育及び学習の推進を図るものとする。
2 町は、環境保全等に取組む人材の育成に努めなければならない。
(施設整備)
第23条 町は、環境保全等に関する次に掲げる施設整備を推進するため、必要な取組みに努めるものとする。
(1)下水道、廃棄物処理施設その他良好な環境を維持・保全するための施設
(2)多様な野生生物の生息環境の保全、適正な水環境の形成及びその他環境保全等に資する施設
(3)公園、緑地等の整備、その他緑空間に親しむための施設
(経済的負担)
第24条 町は、環境保全等について必要な対策を講ずる場合、その経費の一部を受益者の負担とすることができる。
(生活環境整備)
第25条 町は、健康で安全かつ快適な生活環境の確保に資する環境づくりのために、必要な対策を講ずるものとする。

連携

(町外との連携)
第26条 環境保全等に際しては、町内外のより多くの知恵や意見を積極的に活用するよう努めるものとする。
(国・他自治体等との連携)
第27条 町は、環境保全等に関する必要な広域的取組みについて、国及び他の自治体等と協力してその推進に努めるものとする。
 附則
この条例は、公布の日から施行する。

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