第2次ニセコ町行政改革大綱(平成16年3月)

第1.基本的考え方

1.行政改革の必要性

 本町では、平成8年7月に策定した行政改革大綱に基づき、住民参加の促進、事務事業の見直しによる経費の削減、民間委託の積極的な導入、計画的な職員数の削減など、各種の施策に取り組み一定の成果を収めています。
 しかしながら、最近の地方自治体を取り巻く環境は、地方交付税の削減、小規模自治体の機能を奪いかねない市町村合併の推進など、その厳しさは過去に経験のないものです。わたしたちは、地域の自治を守り、今後も住民が安心して暮らしていけるようこの困難を乗り越えていかなければなりません。
 こうした厳しい状況を踏まえ、従前の手法による経費の削減や事務事業の見直しではなく、住民と行政が知恵を振り絞り、行政の抜本的な改革を行うため、「ニセコ町行政改革大綱」を策定します。

2.行政改革の進め方

 この大綱の計画期間は、平成16年度から平成20年度までの5年間とし、前大綱に引き続きいて実施します。
 また、推進状況については、住民の代表者からなる「行政改革推進委員会」に報告し、助言を得るものとします。

第2.行政改革の推進事項

1.開かれた行政システムの確立

 地方分権が進み、それぞれの特色を生かした地域づくりが行われています。この地域づくりを進めるためには、住民参加(自治)が重要となります。住民参加を推進するためには、行政が持つ多くの情報を「共有」することが必要です。
 また、情報化技術の進歩により、自宅などから行政情報を取得したり、公共施設利用の申込みや申請などの行政サービスを受けることが可能となってきています。本町では、これらの手法を積極的に活用し、開かれた行政システムの確立を図ります。
(1)わかりやすい行政の推進
 情報は、「共有」されることと共に「わかりやすさ」も大切な要素となります。多くの住民から理解を得られるものでなければ、情報として役に立ちません。本町では、住民への説明責任を果たすため「共有」と「わかりやすさ」を考慮した施策の実施に努めます。
(2)電子自治体の実現
 通信技術を使用した「電子自治体」は、時間や距離の制約を排することが可能となります。この通信技術を用いた仕組みが住民サービスに寄与するのか、費用対効果はあるかなどを十分に検討し、その導入を進めます。
(3)地域の情報化
 本町を含む地方の町村では、都市部と比べ情報通信基盤の整備が遅れており、住民が取得できる情報に格差が生じています。情報の格差は、地域経済、教育に大きな影響を与えますので、本町の地勢に適合した通信基盤の方式を検討し、格差の解消に努めます。
 また、電話回線を使用して提供しているそよかぜ通信の代替として、新たな情報共有手段の検討を行います。
(4)個人情報の保護
 通信技術の進歩により多くの便利なサービスを受けることが可能となりましたが、同時に不正アクセスなどによる情報漏えいの問題が起きています。本町では、厳格な情報管理と運用を行っていますが、行政情報システムにおいてこのことが適切に行われているかを評価する外部監査の導入を検討します。
(5)窓口サービスの向上
 住民サービスを向上させるため、窓口の集約化や休日における住民票の発行などその可能性を検討します。

2.財政の健全化

 景気の後退による税収の減少、先行きが見えない地方交付税の削減など自治体の財政は非常事態に陥っています。特に地方交付税の大幅な削減は小規模自治体の存続を危うくしています。この状況を打破するためには、予算規模を縮小するしかありません。しかし、行政では、民間企業の不採算部門を整理するように切り捨てることができないサービスがあります。どのようにすればそのサービスを確保することができるのか、どの程度までなら提供することができるのか、またそこに無駄はないのかなどを個別具体に検討し、収支の均等が図れるよう財政規模の圧縮を図ります。
(1)計画的な財政運営
 財政の健全化を図り、限られた財源の中で最大限の公共サービスを提供できるよう予算の執行については、長期的な視点を持った運営が必要となりますので、多面的に検討した財政計画を策定し、計画的な財政運営を行います。
(2)財政指標の公開
 町の財政状況を正確に把握し、財政運営が適正に行われているのかを客観的に評価することが重要となります。現状を正しく知っていただくため、効果的でわかりやすい手法を用いて資料を作成し、その情報を公開します。
(3)事業評価の検討
 限られた財源の中では、要望のあるすべての事業を行うことはできません。事業の優先度を明確にし、予算に応じた事業の選択が必要です。事業の優先度は明確な基準により定められなければなりませんので、これらの仕組みを検討します。
(4)税・使用料等の適正収納
 税金や公共料金などについて、多様な支払い方法を検討し、住民サービスの向上を図ります。
 また、滞納を解消するための収納対策を行い、収納率の向上に努めます。

3.事務事業の整理見直し

 従前から事務事業の見直しにより経費の削減を行っていますが、あらためてすべて一から見直し、極限まで経費の削減を行います。また、直接的な費用の削減だけではなく、事務処理の方式、必要性なども再検討し、総合的な経費削減に努めます。
(1)徹底した事務経費の削減
 既成の事務処理方式を一から見直し、通信技術を活用した電子決裁の導入や事務事業の委託など新たな視点を持って経費の削減を行います。
(2)補助金等の削減
 補助金検討委員会からの答申に基づき補助金の整理統合を行うほか、補助年数に期限を設けるなど効果的な執行を行います。
(3)民間委託等の積極的な活用
 民間企業等への委託は、その事業の効率性を考え、従前より管理業務などについて行われていますが、今後は事務事業についてもその効果を検討し、積極的に委託を行います。
(4)選挙事務の見直し
 現在、町内には9つの投票区がありますが、地域の再編などにより投票区ごとの有権者数に大きなばらつきが生じています。投票者の実情を考慮しながらも経費の節減を図るため、投票区の再編を行います。
 また、選挙事務に係る費用の多くは人件費であるため、選挙当日の事務従事者に対する手当の支給方法を検討するなど、経費の節減に努めます。
(5)幼稚園・保育所、小学校の統合
 本町では、幼稚園と保育所をそれぞれに運営していますが、町内での出生率は年々減少してきており、幼稚園では入園者が募集定員に満たない状況となっています。両施設の機能を維持しつつ、効率的な運営を行うため、幼稚園と保育所の一元化を図ります。また、小学校についても地域の実情や意見を伺いながら統合の検討を行います。
 
(6)広域行政の推進
 広域での事務事業の実施は、町が単独で行うより効率的でありますが、現在の広域行政の仕組みでは、必ずしも期待通りにならないことが懸念されます。本町では、広域化の今後の可能性を見出すため、これまでの形にとらわれない新たな広域の仕組みについて検討を行います。
(7)町立高校の将来像の検討
 高校の地域における意義や今後の運営方針について、長期展望に立って検討を行います。
(8)町内循環バスの適正な運行
 地域の公共交通機関として定着してきている町内循環バス「ふれあいシャトル」について、その運行経路や料金などを住民の利便性に配慮しながらも事業の効率性を検討し、適正な運行に努めます。

4.効率的な組織・機構の確立

 社会情勢のうねりは年々その速度を速め、また複雑化しています。この「流れ」に対応できない組織は、生き残ることができないのが現状です。このことは、自治体においても例外ではなく、従前の考え方にとらわれることなく、柔軟に対応できる組織が必要です。本町では、あらゆる「枠」にとらわれることなく、必要に応じた体制がとれるよう組織の改編を進めます。
(1)柔軟性、即応性を持った組織・機構の構築
 住民の目線に立ち、住民にわかりやすい組織づくりを行うと共に、内部、外部からの意見を柔軟に取り入れ、随時組織の改編を行います。
(2)公営企業化の検討
 簡易水道会計・下水道会計については公営企業化を検討し、費用の明確化、関係経費の縮減を図ります。

5.職員管理の適正化

 地方分権により職員には、今まで以上に高い法制能力や高度なコミュニケーション能力が求められています。組織を活性化させるためには「元気」な職員が必要となります。そのためには、資質の高い人材を確保すると共に、職員意識を喚起するための研修や職務実績を評価する仕組みが必要です。
(1)定員の削減
 行政組織の簡素化は、経費削減を行うために必要なものです。人員の削減については、定員適正化計画を策定し、行政サービスとのバランスに配慮しながら計画的に実施します。
(2)人事評価制度の導入
 組織を活性化させ、業務効率を高めるためには、職員研修を充実させるとともに個々の職員が持てる能力を最大限に発揮させることが重要です。職員の意識を喚起させる手法として、職務実績を適正に評価し、待遇に反映させる仕組みを検討します。
(3)給与等の適正化
 業務の実態を踏まえて、諸手当の整理統合や廃止を行います。
(4)職員倫理の向上
 職員は、公共の仕事に携わっていることを強く自覚すると共に、不正には厳しい態度で望むという意思を明確にするため、倫理規定の策定を行います。また、外部からの委員を含めた賞罰等に関する委員会の設置を検討します。

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