荒川好夫写真展 「北海道 冬」~蒸気機関車C62 栄光の記録~

 荒川好夫氏は、1946年(昭和21年)に東京に生れます。少年時代より鉄道模型や鉄道写真に親しむ日々を過ごしてきました。東京写真短期大学(現・東京工芸大学)卒業後の1968年(昭和43年)からは、日本国有鉄道(国鉄)本社広報部の専属カメラマンとして、国鉄の広報及び宣伝用写真撮影に従事します。

 この時期は、新型車両の特急網の整備など全国的な鉄道ダイヤの白紙改正となった「ヨン・サン・トオ」改正[1968年(昭和43年)10月]、動力近代化に伴う蒸気機関車の引退など、国鉄を取り巻く状況が大きく変わり始めた時でもありました。荒川氏は、このような歴史的な出来事を、1987年(昭和62年)の国鉄改革による分割民営化に至るまで、カメラを通してフィルムに記録してきました。また並行して、1971年(昭和46年)には、鉄道写真ライブラリーとして有限会社レイルウエイズグラフィック(RGG)を設立。日本を代表する鉄道写真家として、全国の鉄道風景を追いながら、現在に至ります。

 本展では、荒川氏が1971年冬に函館本線小樽-長万部間[通称・山線]に、日本最大の蒸気機関車「C62形」が重連(2両)でけん引する急行「ニセコ」を追った作品57点を主としています。荒川氏は、C62形が所属していた小樽築港機関区の出区から、オタモイ峠、稲穂峠、倶知安峠、目名峠という急勾配・急曲線が連続する隘路を経て、長万部に至るまでの山線を走る急行「ニセコ」を追います。

 荒川氏の視線は、本州連絡の重責を担う列車を定時運行させようと極寒の中で奮闘する鉄道職員、その一方で温かい車内でくつろぐ乗客、そして、白い雪原を驀進するC62重連がけん引する急行「ニセコ」を重層的に捉えています。これらの作品は、単なる鉄道車両を撮影した作品群ではなく、急行「ニセコ」を巡る1つのドキュメンタリーとして、見る者を魅了することでしょう。また、そこには失われた鉄道や生活風景が存在し、当時の時代の匂いを感じさせる貴重な記録ともなっており、郷愁を感じさせてくれるのではないでしょうか。

 このほか、本展では、荒川氏が撮影したニセコ駅を巡るある1日の記録、羊蹄山麓各線で活躍した鉄道車両の写真もあわせて紹介いたします。

 本展に展示する作品は、すべて銀塩プリントです。荒川氏は現在もフィルムにこだわり続けて、撮影を続けています。デジタル全盛の今だからこそ、改めて銀の粒子の美しさも体感していただきたいと思います。
 11月1日~3日までの間、現在講評開催中の「荒川好夫写真展」ご来場者の方、1日あたり先着15名様に荒川先生特製のしおりをプレゼントいたします。

ポスター、はがき

展示会期

2014年9月12日(金曜日)~2015年2月22日(日曜日) 
2014年10月15日~11月30日の間は、特別展示室から小ギャラリーへと場所を変更します。
展示作品に大きな変更はございません。

料金

常設展観覧料のみ

アクセス・交通案内

有島記念館
〒048-1531 北海道虻田郡ニセコ町字有島57番地
電話番号:0136-44-3245
FAX番号:0136-55-8484

このページの情報に関するお問い合わせ先

ニセコ町有島記念館
TEL:0136-44-3245
FAX:0136-55-8484