令和3年10月所信表明(第10回ニセコ町議会定例会)

1.はじめに

 私は、平成21年(2009年)10月9日ニセコ町長に就任以来、町議会議員のみなさま、並びに町民のみなさまのご指導とご支援をいただき、これまで数多くの事務事業に取り組むことができました。このことは、これまで先人のみなさまが長年築き上げてこられた歴史と、町民のみなさまの主体的なまちづくり活動の成果であり、今日のニセコ町のまちづくりが進みつつある現況を顧みて、この12年間の温かなご支援に心から感謝を申し上げる次第でございます。

 また、新型コロナウイルスの感染収束が見通せない状況の中で、地域経済の減速、生活疲弊を乗り越え、感染予防対策、ワクチン接種をはじめ、様々なまちづくり活動、町政の推進にご尽力いただいているみなさまに厚く感謝を申し上げます。

 さて近年は、国の各種の権限や財源を地方自治体に移管し、地域のことは住民に身近な基礎自治体である市町村で決める。そのことによって、政治のダイナミズムの発揮と、地方の活性化により国の発展を目指すという「地方分権の流れ」が大きく停滞をし、「地方創生事業」を初めとする様々な事務事業における国の支援メニューが増大・細分化し、これに伴う国の地方への関与が拡大しつつある状況となっております。
 そしてこの結果として、国の補助・交付金の効率的な導入による町の財政負担の軽減、最小化を目指す本町にとっても、国や関係機関から補助交付金等を受けるための計画策定やこれらの関連事務は、増大の一途を辿っているところであります。
 このような状況の中で、多くのまちづくり推進の諸事業に挑戦し、実行できましたことは、住民の付託に応え、果敢に仕事に取り組んでいるニセコ町役場職員一人ひとりの意欲的な仕事に負うところであり、各部局、各行政委員会の職員、並びに町民のみなさまとともに、身近なまちづくりを担っている関係各位に厚く感謝を申し上げる次第です。

 この度、町民のみなさまのご支援を賜り、無投票で4選を果たさせていただくことができたましたことに、改めて感謝申し上げますとともに、町長としての12年間の経験と、これまで培ってきたネットワークを活かし、ニセコ町の価値をさらに高めるべく専心努力していく覚悟でございます。
 

2.これからの目標

 私は、これからの新たな4年間に、ニセコ町総合計画の目標である「将来にわたって持続可能な、資源と経済が循環する『環境創造都市ニセコ町』」を次世代により良く、引き継ぐことができるよう、具体的な事務事業を着実に推進していく所存です。

 先ず、ニセコ町の多様な人々の力と豊かな資源を活かし、次の将来像と目標を持ち事業を推進してまいります。
 将来像は、次の三つです。
  1.「資源と経済が循環するSDGs未来都市ニセコ」
  2.「人の力が発揮され笑顔が広がる心温かなニセコ」
  3.「町民のみなさんが自ら考え行動する元気なニセコ」
 そして、これらを具現化するため、次の10の目標を持ち仕事に取り組みます。

1.信頼される農業のまち
 「国営農地整備事業による生産性の向上を図るとともに、スマート農業を推進し、安全安心なクリーン農業のニセコをつくる。」

2.活力ある経済システムのまち
 「観光と農業や商業が連携し、地域経済が循環・自律する、住む人と暮らしに優しい、共感資本社会のニセコをつくる。」

3.水環境を保全するまち
 「森林を育て活かし、水道水源や地下水を保全、地球環境負荷を低減させる『環境モデル都市ニセコ』をつくる。」

4.子どもの人権が大切にされ、安心して子育てができるまち
 「子どもの教育環境の更なる充実と、遊び場や居場所を拡充し、子育てしやすいニセコをつくる。」

5.高齢者を大切にするまち
 「高齢者のみなさんを敬い、孤立しないよう支え合う、心温かなニセコをつくる。」

6.地域の保健医療を守るまち
 「健康を保ち、安心して住み続けられる医療・福祉が充実したニセコをつくる」

7.災害への備えを怠らないまち
 「消防・救急・災害への対策を整え、いのちと暮らしを守るニセコをつくる」

8.お互いを尊重し、相互扶助の輪が広がるまち
 「頑張る人を応援しまちを盛り上げる、多様性に富んだ楽しいニセコをつくる。」

9.雇用の場を増やし、暮らしを守るまち
 「ものづくりや地元産業を育てるとともに、ニセコのまちづくりに共感する企業の誘致に努め、雇用と暮らしを守るニセコをつくる。」

10.公正で効率的な自治体経営を実践するまち
 「情報の共有化を進め、自由闊達にチャレンジでき、未来に持続するニセコをつくる」
 

3.主な事務事業の推進

 これまで多くの町民みなさまの参加のもと策定した「第5次ニセコ町総合計画」、「第2次ニセコ町環境基本計画」、「ニセコ町自治創生総合戦略」など、町の諸計画に沿って町政を進めるほか、令和3年度(2021年度)町政執行方針及び令和3年度各会計予算に基づいて、事務事業に取り組んでまいります。
 

4.自治体経営と広域連携

 平成19年(2007年)の地方自治法改正により、自治体のトップマネジメントの仕組みの改正を受け、より効率的で迅速な自治体経営を進めるため、組織内の権限の事務委任等の導入を強化、責任の明確化や効率化に努め、旧来型の縦割り・前例主義からの脱却を引き続き進めてまいります。

 また、各基金の有効利用と国や関係機関における各種補助交付金の活用の最大化などの積極的財政運営によって、本町の財政基盤は好転しつつあります。
 今後とも、財政の安定的な伸展と自治体経営の効率化、住民負担の軽減のため、国が推進する自治体DX(デジタルトランス・インフォメーション)の導入を図ってまいります。

 また、まちづくりのプロフェッショナルとして働く職員の研修の拡充や職員の福利厚生にも配意し、職員が相互に助け合う明るい職場づくりと、役場が町民のみなさまから愛され、気軽に相談できる町民みなさんの「自治機構」としての役割の強化を進めてまいります。

 今後とも、他の先駆的な自治体や企業、大学等の研究機関などとの多様な協力・連携を強化し、未来に持続するようまちづくりを進めてまいります。
 

5.基本理念

 私は、ニセコ町が日本のみならず世界から信頼される「食糧基地を有するリゾート地」として発展するためには、SDGs(=持続可能な社会資本整備)を強力に進めるとともに、乱開発を防止し、優れた景観と環境との調和による「賢明な開発(ワイズユース)」が必要だと思っております。

 将来に亘って、環境を守る「適切な規制」がある自治体には、「良質な投資」が行われるとの考えをこれまで述べてまいりました。ニセコ町を「市場の草刈り場」にはしないこと、目先の利益や収入増に踊らされることのないこと、このような考えを持ちつつ、一方では、税収をはじめとする自己財源比率を高めることなどの「持続する財政政策」、「適正な開発誘導」に配意し、将来を俯瞰した財政運営を引き続き進めてまいりたいと考えております。

 ニセコ町は、北に国定公園の「ニセコアンヌプリ」、東に国立公園の「羊蹄山」、そして南には植生豊かな昆布岳が美しい山並みを描き、まちの中央を「清流日本一に輝く」1級河川「尻別川」が流れる、自然環境と景観に恵まれたまちです。
 こうした豊かな自然を享受する中で、楽しく毎日を過ごす町民の方々の暮らしぶり、そして、今日の町民のみなさまの自然と共生する「ライフスタイル」そのものが、ニセコ町の大きな魅力であると考えております。

 美しい農村景観の佇まいとともに農地の基盤整備が進みつつある農業や、多くのみなさまのご尽力で伸展しつつある観光も、自然や生活環境における「水」や「食」などの「安全」・「安心」があってこそ、人々から信頼され、そして、ニセコ町が持続していく基盤となるものと確信をしております。

6.おわりに

 これからも引き続き、子育て環境の拡充、次代を担う子ども達への支援、そして、「1.資源の循環、2.エネルギーの循環、3.地域経済の循環」の三つの循環を大切に、「子どもの笑顔が輝く元気なまちづくり」の実現に向けて取り組みを進めてまいります。 
 
 私は、ニセコ町長として、高い理想を掲げ国民主権に立脚した「日本国憲法」を遵守するとともに、「ニセコ町まちづくり基本条例」の理念の実現に向け、引き続き「公正・スピード・思いやり」を行動指針とし、ニセコ町の豊かな価値を未来に引き継ぐため、最善を尽くしていく決意でございます。

 町議会議員のみなさま、町民のみなさまのご指導・ご支援を心からお願い申し上げ、新たな任期にあたっての「所信表明」とさせていただきます。

令和3年(2021年)10月20日

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