一般会計の状況

1 コロナ禍に対応しつつ、攻めの経済を維持

(1)農業と畜産業の振興(農政関係)

1.環境と調和した安全で安心な農業の推進
 町では、安心な農業の確立を目指すため、良質な食料の安定的な生産、供給をはじめ、国土や環境保全、美しい農村景観の形成などに取組み、町民の健全な暮らしを支えるとともに、食品加工や観光など幅広い産業と結び付きつつ、地域の基幹産業として重要な役割を果たしています。地域と共生した多様性のある持続可能な農業を推進するため、消費者に安心をもたらす農業の実現を目指し、土づくりを基本と考え、地域有機物を活用した「クリーン農業総合推進事業(イエスクリーン栽培補助)」、「完熟堆肥流通促進事業」、「緑肥作物奨励事業」、「土壌診断事業」や「残留農薬対策」などを継続して実施します。さらに、地域の環境保全に効果のある営農活動を実践されている生産者団体についても、「環境保全型農業推進交付金」の事業を継続し、活動を支援していきます。

 中山間地域などにおける農業生産条件の不利を補正するため、農業生産活動を継続して行う農業者に交付される「中山間地域等直接支払交付金」や農地の維持と地域資源の質的向上を図る共同活動に交付される「多面的機能支払交付金」の事業を継続します。

2.収益性の高い地域農業の確立と農業と観光の連携
 高収益作物の導入やクリーン農業や有機農業の実践による高付加価値化、農産加工、直接販売による6次産業化や商工観光者と連携した地産地消戦略など、創意工夫を生かした多様な取組みを行いつつ、安定的な経営の確保を図ります。
 また、消費者に評価を得ているニセコ産の飯米の販売促進と併せて、ニセコ町産の酒造好適米を活用した「蔵人衆」、「蝦夷富士」などの消費拡大に加え、幼児から高校生までの生産体験などを行い、地産地消や食育の推進を図ります。

 畑作では土づくりを基本にした適正輪作を進め、計画的な作付けと安定生産に務め、重点作物の選定や新規導入作物の産地化を推進します。

 酪農については、飼料高騰などの外的不安要素を減らすため、自給飼料生産基盤に立ち返るともに、個体の育成、良質な生乳の生産や家畜改良の促進などによる乳用牛の資質の向上を図り、畜産クラスター事業の推進をはじめとする酪農ヘルパー制度の運営、乳牛資質向上対策の支援、家畜伝染病対策などを引き続いて実施し、良好な畜産環境の維持に努めます。堆肥センターは、JAようていが指定管理者となり、施設の運営をしていますが、近年酪農家戸数の減少や自家利用の増加により、原料となる牛糞の搬入量の減少が続き、厳しい経営を強いられています。また、施設の老朽化も進んでおり、施設維持のために、計画的な機器更新の検討を継続して進めます。

 今後も安定した生産へ向けて、引き続き経営や適正な施設管理を行うための環境整備も含め、施設の将来見通しや経営内容の見直しを行いつつ、町の土づくりの根幹となる良質完熟堆肥の供給を維持します。
町集約草地は、採草地牧区の飼料生産性の向上のために草地更新を実施するほか、補修などを行い、維持管理に努めます。
 町では、農業経営の安定化を図るため、肥料への高騰対策として、国の助成に準じ、その一部を補填します。
 
3.多様でゆとりある地域農業の確立と人材活用
 基幹作物の安定生産と重点振興作物の定着による収益性の高い地域農業の確立を目指し、国営緊急農地再編整備事業を推進します。農業生産基盤の近代化を推進するとともに、農地中間管理機構を通じて認定農業者や新規就農者への農地の利用集積を行い、計画的な農地保全の取組みを支援します。

 町、JAなどの関係機関で構成する地域農業再生協議会では、米や畑作物、水田活用等各種直接支払交付金の申請などの経営所得安定対策を担っています。農業経営の体質強化においては、企業的な思考の経営管理能力を高めるため、認定農業者による先進的な経営展開や法人化の取組みを推進します。 

 戸数の減少した集落のコミュニティの再構築のため、地域住民の合意形成を基本とした集落の再編成を推進し、地域活動の活性化を促します。
 
4. 地域ぐるみの担い手確保
 農業従事者不足や高齢化の進行に伴い、耕作放棄地化する恐れのある農地が存在しています。令和7年3月に向け、現在実施している「ニセコ町人・農地プラン」を基に「ニセコ町地域計画」の策定を進めることとなります。地域の中心経営体となる担い手への農地集積を加速化させるため、農地の規模拡大に取り組む農業者や農地集積に協力する農業者を支援します。併せて、青年の就農意欲の喚起と就農後の定着を図るため、新規就農予定者や青年経営継承者を対象とした給付金事業を実施し、就農しやすい環境を構築し、地域農業を担う優れた人材の育成確保に努めます。

 町独自の施策として、新規就農資金への支援、農業青年会活動の支援などを実施し、能力を発揮し、活動できる環境づくりに努めます。また、国営緊急農地再編整備事業の実施に併せて、町、農業委員会や農地中間管理機構が連携して、耕作放棄地の解消や意欲ある担い手への農地集積が円滑に進むよう、取り組みを推進します。
 
5.農業と観光・商業が連携した地域産業の創造
 農業、商工業、観光業は、常に密接な関係であり、より円滑に観光事業者と商工事業者と連携し、地場産品を幅広く提供していきながら、地域ブランド化へ向けた取組みを積極的に推進します。また、緑肥作物の栽培による景観形成を今年度も積極的に支援します。
 地産地消、食育、食文化交流などの取組みの推進し、農業者と多様な事業者が連携し、商品開発、販路開拓や新たなビジネスモデルの構築などが進められるよう、農畜産物の高付加価値化や6次産業化に必要な機械、施設の整備やソフト事業を支援し、地域と共生する多様性のある持続可能なニセコの農業を推進します。
 
6. 農業委員会の取組み
 国は、人と農地の問題解決に向けて、「人・農地プラン」を法定化するなどの取組みを進めていますが、農業委員会として、その役割を的確に果たしていくことが求められています。
 現在、町では「足腰の強い農業の実現」を目指し、農地の基盤整備やスマート農業の導入による農作業の効率化、負担の軽減や人手の確保などの施策に取組みを進めており、農業委員会としても、農地の保有、利用の状況、農地所有者の利用の意向などを的確に把握し、「優良な農地の保全と適正な利用の調整」を図ります。

(2)観光の振興(商工観光関係)

1.宿泊税の導入検討
 宿泊税の導入を進め、持続可能な国際リゾート地としてブランド価値の向上、環境モデル都市やSDGs未来都市づくりのための取組みを推進させるための財源として確保していきます。今後、宿泊事業者との情報共有や意見交換を行いながら関係機関との調整を行い、導入に向けて手続きを進めます。
 
2.世界に「選ばれる」持続可能な観光地づくり
 新型コロナウイルス感染症による世界的なパンデミックは、観光産業にも深刻なダメージを与えており、観光のあり方そのものが大きな転換期を迎えています。ニセコ町では、昨年度に策定した観光振興ビジョンに基づき、観光版SDGsといわれるGSTC(持続可能な観光地づくり)の取組みを進め、その推進役としてニセコリゾート観光協会の体制強化や人財の集積を継続して行うとともに、国の制度を活用し、民間企業からの人財を派遣していただき、より専門的なノウハウの蓄積を推進します。
 
 また、観光施設の改修等に活用できる国の補助制度「地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化事業」の活用を見据えて観光施設のとりまとめを行い、地域一体となった持続可能な観光地域づくりを推進していきます。また、ニセコエリアの広域で機能するDMO(ニセコプロモーションボード)とは、連携を進めつつ、将来のニセコ地域の方向性などについて、引き続き協議を進めます。
 
3.観光需要の回復と観光客誘致
 新型コロナウイルス感染拡大が世界に広まり、ニセコ地域においても訪日外国人客の来訪が大幅に減少しましたが、世界的な新型コロナウイルスへの対応の変化や日本国政府による感染防止の水際対策の緩和により、徐々に回復しつつあります。観光リゾート地として需要の回復に取組みつつ、より安全性の高い国際リゾート地であるという情報提供に努めます。

 また、MICE、着地型旅行整備や教育旅行の受入も引き続き取組みを進めます。今年度、北海道で開催されるアドベンチャートラベル・ワールドサミット2023にも参画し、冬期以外のニセコの魅力の認知度向上を図り、季節間で来訪者の偏りがみられる傾向の平準化を図ります。
 
4.観光案内、情報発信の充実
 観光案内においては、観光客の意向をしっかりと聞き、的確な情報提供をすることが大切です。町の玄関口でもある「ニセコ駅」や「道の駅ニセコビュープラザ」に観光案内所を設置し、引き続き多くの人にニセコ地域を楽しんでもらえるような観光案内を行います。

 また、ホームページ、SNSなどのインターネットメディアによるプロモーション動画配信など、より効果的な情報発信を行います。観光パンフレットやマップについては、ペーパーレス化を見据えつつ、環境にも配慮した、より現代の要請に合った効果的な方法により情報発信を行うことを検討します。
 
5.雪山の安全確保
 ニセコ地域では、スキー場コース外の新雪を楽しむ人たちが多いため、行政やスキー場など関係機関が連携して「ニセコアンヌプリ地区なだれ事故防止対策協議会」を設置し、スキー場の安全対策を進めています。協議会では、全国初となる「ニセコルール」を制定し、冬山の雪崩事故防止対策に取り組んでいます。ニセコ地域では、過去に雪崩により多くの人命が失われており、過去の教訓をもとに、取組みの強化を図っています。令和3年度シーズンからは、「ニセコルール」の中に、ヘルメットとビーコンの装着を強く推奨することを明記しました。

 町では引き続き「ニセコルール」を持続可能なルールとするため、運営や人材育成に対し、支援していきます。また、関係団体などと連携し、安全確保のための課題整理や必要な制度の整備へ向けて検討を行います。
 
6.観光施設の適切な維持管理と再整備の推進
 ニセコ駅前温泉「綺羅乃湯」は、経年劣化による設備の更新などが必要となっており、指定管理者と連携を密にしながら、町民や観光客のみなさまへの影響を最小限に抑えられるよう、計画的な設備更新を行います。また、五色温泉インフォメーションセンターなどの観光関連施設についても適切な管理、運営に努めます。

 「道の駅ニセコビュープラザ」の再整備は、昨年度に基本設計を策定し、限られた敷地や条件の下で、防災機能の強化や効率的な動線、滞留スペースの確保などを考慮し、現施設の課題を解消するとともに、公共施設として環境にも人にも優しい道の駅となるよう、検討を進めてきました。再整備にかかる国の補助金制度の創設を国に要望しつつ、実施設計や工事着工などの時期を見直し、新たな施設建設後の管理と運営に向けた検討を進めていきます。
 
7.広域観光連携の推進
 ニセコ町、倶知安町、蘭越町の3町が、平成26年(2014年)に国から「ニセコ観光圏」の認定を受け、地域の魅力づくりに取り組んできました。
「ニセコ観光圏整備計画」に基づき、国内外からの観光客の増加を図るとともに、受入れ環境の整備向上に努めます。

(3)商工業の振興と労働対策

1.商工業の振興による地域経済の活性化
 昨年度に制定しました「ニセコ町中小企業等振興条例」に基づき、持続的な中小企業等の支援をはじめ商工業の振興を推進していきます。特に、ニセコ町商工会は、町内の経済活動を支える中心的な役割を担っており、町では商工業振興事業補助により総合的に活動を継続支援します。

 起業などを目指す人たちに対して、大学等の機関が持つ専門的知識を身に着けることができるよう、新たなビジネスチャンスにつなげる取組みを推進します。また、昨年度まで55件以上の実績がある「にぎわいづくり起業者等サポート事業補助制度」をより活用しやすくできるよう見直しを行い、継続していくとともに、複数の町内事業者が連携協力して行う新規のソフト事業を支援する仕組みを創設し、地域の多様な連携を通じて地域の魅力の向上につなげていく取組みを行います。一方で、町全体の課題である慢性的な人材不足対策として、国が制度化した「特定地域づくり事業協同組合制度」の活用を見据えた雇用促進施策と連携した人材確保の仕組み作りを検討していきます。

 綺羅カード会に対しては、綺羅カード事業において、引き続き加盟店や利用者の増加に努め、子育て世代により町内消費を拡大させる「キッズカード事業」の支援を行います。
 七夕の夕べ花火大会、綺羅キラ市など、商工事業者や地域の有志が主体となって実施する事業の支援を拡大し、地域経済の活性化に努めます。
 
2.新たなビジネス、起業の支援
 民間企業による事業拡大や新規事業の増加など、観光事業のみならず、さまざまな業種において投資や経済循環が活発化しています。特に、小規模ビジネスは、転業や起業が行いやすく、地域ニーズへの対応や魅力向上に貢献しています。町では、ニセコ町商工会と連携して、引き続きワンストップ相談窓口を設置します。また、地域金融機関、小樽商科大学などと連携しながら、ビジネススクールの開催など、積極的に起業の支援を行います。
 
3.企業等の誘致
 近年、開発や企業進出などの相談がありますが、これまで進めてきました、まちづくりに共感していただける企業に対して、秩序ある開発計画を誘致していきます。なお、ニセコ町では、「地域未来投資促進法に基づく基本計画」を策定し、町の特性を活かした投資等を後押しする環境を整えています。
 
4.消費生活対策
 悪質商法や消費生活のさまざまなトラブルから消費者を守るため、ニセコ町を含む7町村で設置する「ようてい地域消費生活相談窓口」をニセコ町役場内に配置し、今年度も潜在化する消費者トラブルへの対応や消費者トラブルに巻き込まれ苦しんでいる人が早い段階で解決できるよう、活動の充実に努めます。また、構成町村内で実施する消費者への啓発活動などを支援しつつ、窓口の存在を広くPRしていきます。

2 誰もが健やかに笑顔で暮らせるまちづくり

(1)子育て支援(保健福祉関係)

1.子育て支援事業
 伴走型相談支援事業では、妊娠届時、妊娠8か月頃、赤ちゃん訪問時にそれぞれ面談やアンケートを実施し、一貫した身近な相談先として子育てに対する孤立感や不安感などを解消します。あわせて、妊娠時と出産時にそれぞれ5万円を給付し、経済的支援を行います。

 子どもの健康については、法律に基づいた定期予防接種を実施します。おたふくかぜとインフルエンザ予防接種の任意予防接種は全額公費負担とします。

 子どもの医療については、18歳までの医療費無料化、未熟児養育医療費、育成医療費の給付を引き続き実施します。

 児童手当の給付については、今年度も国のルールに基づき実施します。
 
2.母子保健事業
 子どもの健康診断では、希望する中学生2年生と3年生を対象にピロリ菌検査を新規に実施します。新生児聴覚検査の助成、5歳児健診、不育症治療の助成、産婦人科医師の確保対策を継続して実施します。また、3歳児健診では新たに視力検査機器を導入し、弱視等の早期発見に努めます。

 妊婦と父親を対象としたセミナーは、対面形式のほかにオンラインも活用した「両親学級」として事業所へ委託し、開催します。

 出産後の母親に対する助産師の産後ケア訪問は、今年度も利用者の要望に応じて実施します。

(2)高齢者、障がい者の福祉(保健福祉関係)

1.高齢者福祉対策
 ニセコ町社会福祉協議会が実施している在宅高齢者の介護サービスや移送サービス事業について、引き続き支援を行います。また、配食サービス事業では町内の業者と連携を図り、高齢者への見守りもあわせて実施します。

 「ニセコ町生活サポートセンター」では認知症などにより、判断能力が十分でない人の必要度に応じて成年後見制度を利用していきます。
 高齢者が安全で安心して在宅生活ができるよう「福祉灯油扶助」や「除雪サービス事業」、「ニセコ駅前温泉入館料扶助」、「住宅改修費助成」、「緊急通報システム事業」なども継続して実施します。

 ニセコ福祉会経営改善の取組みについては、地域包括ケアの課題を共有するワークショップの開催、福祉会においてはデイサービス機能の再構築、事業所の生産性向上に係るICTの検討や施設の稼働率を上げるプロセス管理を行う予定です。
 
2.障がい者福祉対策
 障がいを持ち、一般の就労に関わることのできない人たちの就労作業の場づくりについては、近隣の町村や事業所などと連携し、障がい者の就労機会の確保に努めます。
 法に基づく「障害者支援事業」をはじめ、障害者福祉団体への補助、「通院や通所福祉手当」、「タクシー料金扶助」、「ニセコ駅前温泉入館料扶助」、「住宅改修扶助」、「重度障害者医療給付」、「地域活動支援センター運営費補助」なども継続して実施します。
 
3.介護保険、介護予防事業
 介護予防事業では、将来、介護が必要にならないようにしようと「すこやか健康教室」や「貯筋教室」を継続して開催していきます。また、在宅での生活を支援する「声かけ訪問」を引き続き行います。
 町の単独事業として実施する「生きがい活動支援通所事業」や「軽度生活援助事業」を引き続き行います。

 ニセコ町社会福祉協議会が行う健康づくり事業へ補助金の支援を行います。
介護保険料は、後志広域連合16町村で統一した保険料ですが、高齢者が可能な限り、住み慣れた地域で能力に応じて自立した日常生活を営むことができるよう、高齢者のニーズにより医療、介護、予防、生活支援サービスを提供し、地域の包括的な支援やサービスの提供を行います。

(3)健康づくり(保健福祉関係)

1.健診・疾病予防対策
 ニセコ町が実施する健診事業は、例年どおりのスケジュールを予定しています。また、がん検診については、乳がん検診は40歳から60歳まで、子宮がん検診は20歳から40歳までの節目の年齢の人に無料クーポン券の配布を引き続き行います。

 疾病予防については、健康づくりの知識を町民に広く周知します。また、ニセコ町保健委員会で勉強会を行うなど啓発活動を進めます。

2.エキノコックス駆除対策
 エキノコックス駆除対策は、町民有志によるボランティアの協力を得て、平成21年度(2009年度)から実施しています。毎年5月から11月までの月1回、ベイト(虫下しを混ぜたキツネの餌)の散布を行っており、その成果を上げているところです。このベイト散布により、令和4年度(2022年度)の虫卵陽性率(キツネの糞に虫卵があった割合)は0%でした。

 今後、町では、羊蹄山麓町村長会議などを通じて近隣町村での駆除対策の実施を呼びかけるとともに、北海道に対して広域での実施を要望しながら、町民の健康を守るための事業として、継続して実施していきます。

3 環境に優しいニセコの創造

(1)自然環境の保全と環境対策(企画環境、町民生活、都市建設、上下水道関係)

1.自然環境、水資源の保全
 豊かな自然環境を保全するため、「ニセコ町環境基本条例」などに基づいた多様な取組みを推進するとともに、「環境基本計画」、「地球温暖化対策実行計画」、「第2次環境モデル都市アクションプラン」、「一般廃棄物処理基本計画」などに位置づける施策の実施と検証を通して、町の恵まれた自然環境を守り育てるとともに、これらの取組みを経済活動に結びつけるよう努めます。

 また、水道水源保護条例による水道水源地周辺の一定の開発を規制するとともに、引き続き良好な環境の維持を図ります。さらに、「地下水保全条例」のもと、地下水の大量採取による枯渇や地盤沈下などを防ぐために、適正な規制を継続して行い、地下水の保全に努めます。
 
2.景観づくりと秩序ある開発誘導
 都市計画法に基づく準都市計画及び景観条例により、これまで一定の面積を超える建築物や開発事業については、景観形成基準等により開発誘導を進め、ニセコらしい景観を守り続けてきました。近年の複雑化した建築などの開発事業の状況を踏まえ、昨年に続き建築ガイドラインの策定を行い、良好な景観づくりを進めます。

3.廃棄物対策
 町では、「一般廃棄物処理基本計画」(平成25年度から令和5年度)の計画期間が終了するため、新たに10年間(令和6年度から令和25年度)の計画を策定し、併せて災害時の廃棄物を迅速に処理するために必要な事項などを定める「災害廃棄物処理計画」を策定します。
 環境に配慮した新たな循環型社会の構築に向け、町では、ごみのリサイクルや減量化を積極的に取組みながら、廃棄物対策を進めます。

 羊蹄山麓7町村による「可燃ごみ」の固形燃料化処理については、平成27年(2015年)の本稼動から8年が経過しました。これまでは、分別ルールの見直しなど、大きな変更を行っていませんが、固形燃料化処理施設の運営が適切に行われるよう、関係町村と連携していきます。
 人口、世帯の増加や経済活動の活発化による町内のごみステーションの増設や移設などの要望などに適切に対応していきます。

 排出される不適ごみ対策については、各自治会などとの連携による対策の強化を図りつつ、転入者や民泊などの事業者に対して適正な排出に向けた説明を強化していきます。ごみの分別への理解とリサイクルの推進のため、「ごみ分別アプリサービス」の利用について周知していくとともに、不法廃棄物については、警察と連携した取組みを進めます。
燃やさないごみの減量化対策として、今年度も使用済小型家電の回収リサイクルを実施します。
 
4.衛生対策
 ニセコ斎場では、火葬業務の円滑な運営と適切な維持管理を行います。さらなるサービスの向上を目指して、改善に努めます。

 し尿処理については、広域連携による羊蹄衛生センターの維持負担を継続するとともに、老朽化した羊蹄衛生センターの施設更新に向けて、「施設整備基本計画」策定の協議を構成町村などと行います。
 本年7月から、し尿等処理手数料(汲取り料金)が10リットル当たり86円(税込み)から94円(税込み)に改定されます。
 し尿と生活雑排水を処理する合併浄化槽の設置に対する助成事業は、国の交付金を活用しながら継続し、汲み取りや単独浄化槽から合併処理浄化槽への転換を推し進め、生活環境の向上と水環境の保全に進めます。

 町が所管する墓地については、周辺環境に配慮した適正な管理に努めます。

(2)自立型省資源社会への転換(企画環境、都市建設関係)

1.環境モデル都市の推進
 「第2次環境モデル都市アクションプラン」では、経済活動の活性化と温室効果ガスの排出抑制の両立を基本目標とし、公共のみならず、観光、農業、小売業、交通、家庭などの分野に広く関わる計画です。温室効果ガスの排出抑制には、行政や町民のみならず、民間事業者との連携が不可欠です。関係団体と連携し、ゼロカーボンの実現に向けて、アクションプランに基づく取り組みを推進していきます。
 
2.温室効果ガス削減に向けた条例の制定と気候変動への適応
 町では、温室効果ガス削減を進めるため、太陽光発電など再生可能エネルギー事業を行う事業者に対し、事前届出と住民説明を義務付けた「再生可能エネルギー事業の適正な促進に関する条例」を制定し、令和4年(2022年)4月から運用を始めています。

 また、平均気温の上昇、短時間強雨の増加、災害の激甚化や新たな感染症の発生といった、気候変動の影響に適応していくため、「ニセコ町気候変動適応方針」を定め、町の取組みの方向性を明らかにしています。町内で排出する温室効果ガスの約7割が建物由来であることから、本年度は、建物を新築や改築する際に、省エネ性能の高い建物に誘導することを主な内容とする「ニセコ町気候変動対策推進条例(仮称)」の制定を目指すこととしています。これらの条例の施行により温室効果ガスの削減を推進します。
 
3.NISEKO生活・モデル地区構築事業とまちづくり会社の設立
 「SDGs未来都市計画」に位置づけたNISEKO生活・モデル地区構築事業「ニセコミライ」では、町の慢性的住宅不足や町民の住み替え意向に対応するため、温室効果ガス削減など、SDGsの視点に基づき、環境面に配慮した街区整備を行っています。
 
 今年度は、実施主体の「株式会社ニセコまち」による第一工区内の建築工事を始める予定となっていますが、道路、上下水道、防火水槽、街路灯などの生活に不可欠なインフラ整備は、町で行います。
 
4.住宅エコ改修への助成
 環境負荷低減を目的に、町内の家庭からの二酸化炭素排出量の削減と、より快適な住環境づくりを進めるため、住宅省エネルギー改修促進補助事業を実施しています。窓の断熱改修などの省エネルギー改修工事(30万円以上)を行う町民に対して、費用の一部を助成します。

(3)林業の振興(農政関係)

 「森林経営計画」に基づき、森林の多面的機能を重視した森林づくりを目指します。また、森林組合などと連携しながら、民有林の整備を行う「豊かな森づくり推進事業」に対し、支援を継続します。また、除間伐を促進するために、町独自の除間伐奨励事業も継続します。

 町有林については、峠地区で皆伐し、植栽事業を実施します。また、作業道の補修を行い、森林の持つ機能の保持に努めます。

 民有林の活用を含めた森林資源活用による循環型社会構築への協議を加速させていきます。
町内に小規模な地域資源を循環させる会社を設立し、町内外関係者との連携をしながら、町民への木育の推進、人材の育成、伐採林からの木製品の製作などの検討を行います。また、SDGs街区への木材の供給などに向けた検討も進めます。

4 豊かな心と個性ある文化を育む

 前年度の総合教育会議において、町長が教育委員会に提案、教育委員と意見交換した項目の主なものは下記のとおりです。
 教育費及び子育て委支援対策、ニセコ高校の今後について(あり方、寮の整備と活用方策)、インターナショナルスクールとの連携及び学校施設の有効活用、学校施設の有効利用、演劇等文化芸術と触れ合う機会の創設についての基本的な考え方などです。今後とも、教育委員会の取組みが円滑に進むよう連携を行っていきます。

(1)教育環境の充実、文化とスポーツの振興(教育関係)

教育行政執行方針による。

(2)コミュニティ活動と国際交流の推進(町民生活、企画環境関係)

1.ニセコ町民センター、コミュニティ施設の利活用
 町民活動の拠点となるニセコ町民センターを良好に運営するため、適正な維持管理を行いつつ、利用者の利便性の向上を図ります。また、西富地区町民センターについては、西富周辺地区におけるコミュニティ活動の推進や防災時の拠点としての活用を進めます。
 地域のコミュニティ施設についても、多様な地域活動の拠点として有効利用が図られるよう、適正な維持管理に努めます。

 中央倉庫群は、指定管理者制度にて運営され、町民の憩いの場として活用されています。特に、子育て世代の交流の場を提供する施設として活用されることに加え、地域おこし協力隊の活動に対する支援調整施設となっています。
 また、移住、定住窓口の機能やテレワーク施設としての機能も合わせ持っています。今後も、町民のみなさまに親しまれる施設として、引き続き施設機能の充実を進めていきます。
 
2.まちづくり、地域づくり活動の推進及び支援
 町では、自治会活動など、地域コミュニティの役割は極めて重要と考えており、住民自らが考え行動する自立した地域社会の構築へ向けて、地域自治振興交付金制度の運用などにより、引き続き自治会活動や地域コミュニティの形成を支援します。

 集落再編により指定管理者制度で運営、管理している地域コミュニティセンターについては、施設と設備の改修や駐車場の除雪などを支援し、施設の利便性の向上を図りつつ、指定管理者の負担軽減策を講じていきます。
 
3.国際交流の推進
 町の国際化に対応し、海外に向けて町の情報発信を積極的に進めるため、日本語の語学能力の高い海外青年国際交流員(CIR)を引き続き5人配置し、町の国際化と多文化共生を推進します。地域のみなさまの協力の下、今後も国際交流員がやりがいを持ちながら活動を継続し、国際交流の機会が町内で広がるようその活動を支援していきます。
 

5 安全で安心な暮らしを支える

(1)防災対策の強化(総務、消防関係)

1.防災体制の強化
 近年、自然災害が頻発化し、全国各地で甚大な被害が発生していますが、町では、「ニセコ町地域防災計画」、「町強靭化地域計画」や「町事業継続計画(BCP計画)」などに基づき、自治体としての危機管理体制を構築しています。また、防災関連備品の整備など、防災、減災対応機能の向上を図りつつ、防災訓練の実施や自治会の協力を得た自主防災組織づくりなどの取り組みを進めます。

 原子力防災対策については、「ニセコ町地域防災計画・原子力防災計画編」に基づき、国、北海道、関係自治体などと緊密に連携し、町民みなさまに引き続き情報の提供に努めます。
 防災センター機能を有する役場庁舎は、防災対策の拠点として、町民のみなさまの安心で安全な暮らしに貢献するとともに、町民のみなさまが気軽に利用することができる親しみやすい庁舎となるように心がけます。

 消防力の強化では、平成24年度からスタートした「消防力整備10年プラン」を基本に、引き続き住民のための消防力を高めるために救急・消防力の向上を目指します。今年度は、消防庁舎に耐震性がないことから、役場旧庁舎跡地に新たな消防庁舎を建設することとし、実施設計を行います。
 
2.災害対策本部等の拠点
 非常時に対応できるように、役場庁舎には非常食などを保管している防災備蓄庫、電気、ガス、灯油などに多元化した空調熱源や非常用発電機などを備えています。防災機能を十分に備えた役場庁舎は、安心で安全な暮らしを守る防災拠点として、その機能を十分に発揮できるよう、引き続き防災に備えた体制などを整備していきます。

 今年度は、旧庁舎の跡地にニセコ消防庁舎、防災備蓄倉庫や防災車の駐車場などの建設を検討するため「実施設計」を実施します。
 
3.原子力防災対策
 町では、福島第一原子力発電所事故対策の検証に注目し、原子力災害の特殊性や重大性を考え、実効性ある原子力防災計画の確立に努めます。
 町民の生命、身体、財産を守るために、適切な防災準備を行い、原子力災害時の避難に伴う周知や啓発を行います。

 原子力防災訓練については、より実践的な訓練項目を取り入れながら、国、北海道、関係自治体と共催し、継続して実施していきます。

 泊発電所の安全対策や地域の防災体制の強化に向けて、国、北海道、近隣町村などの関係機関とともに、緊急時に適切な対応が行えるよう、原子力防災対策に取り組みます。

(2)情報基盤の充実(企画環境、総務関係)

1.広報広聴活動の充実、コミュニティFMの推進
 まちづくり基本条例の基本理念である情報の共有を進めるため、広報紙、町公式ホームページ、フェイスブック、ツイッターやLINEなどの情報提供手段の充実に努めてきました。令和4年度には、新たにSNS「note(ノート)」の活用を始めました。

 まちづくり懇談会、まちづくりトーク、こんにちは(おばんです)町長室などの事業を継続しつつ、広報広聴検討会議での意見を取り入れながら、多様な広報広聴活動を展開します。
  
 町民参加による地域密着型の放送局である「ラジオニセコ」は、放送体制の充実を図るために、社員研修の実施や放送設備の更新など持続可能な運営体制を確立すべく、町としても継続して支援を行います。また、災害時における被災情報を確実に提供するため、予備送信所の設置に向けた実施設計を行います。
 
2.社会保障・税番号制度導入への取組み
 マイナンバー制度は、社会保障・税制度の効率性を高め、国民にとって利便性の高い社会を実現するための社会基盤となります。引き続き、国、北海道などの関係機関と連携しながら、必要とする事務手続きを行い、適切な制度運用を行います。
 
3.情報セキュリティの強化
 国(総務省)が求める自治体情報セキュリティ強靭化対策に対応するため、平成29年(2017年)2月から完全分離した、個人番号利用事務系ネットワーク、LGWAN接続系ネットワーク、インターネット接続系ネットワークの運用を行っています。今後もセキュリティ強化のため機器の保守や更新等を計画的に行います。

(3)住環境の整備と定住促進(都市建設、企画環境関係)

1.移住・定住促進
 国立社会保障・人口問題研究所のデータを参考にした人口推計では、ニセコ町においても令和12年(2030年)以降は、人口減少へ転じることが見込まれています。より効果的な移住、定住対策を推進するため、首都圏に主眼を置いた情報発信などの施策を進めます。
 まちづくり基本条例第50条に、「町外の人々の知恵や意見をまちづくりに活用するよう努める。」と定めており、従来から、ニセコ町に関心のある町外の人たちとの連携を進めてきました。今後も「関係人口」の拡大を図るとともに、「ふるさと住民票」の登録者との交流を深め、新たな視点によるまちづくりへとつなげていきます。

 地域おこし協力隊を引き続き採用し、地域課題の解決に向けて積極的に実践ができる人材を求めることとしています。採用後は関係施設などに主体的に応援派遣しながら、隊員の卒業後の自立や地域課題解決に向けた取組みについても主体的な活動へと移行できるよう、支援していきます。
 
2.住宅確保のための政策
 町内では、民間による住宅整備が進んでいますが、それを上回る人口と世帯数が増加しているため、未だに充分な住宅が供給されていない状況です。住宅のミスマッチや住宅不足の解消のため、民間集合住宅を促進する賃貸住宅への補助制度を継続して実施します。

 公営住宅等については、「ニセコ町長寿命化計画」や「ニセコ町住生活基本計画」に基づき、中央団地5号棟の長寿命化型複合改善工事などを実施します。

(4)道路交通網の整備(都市建設、町民生活関係)

1.道路の整備
 町道の整備については、「町道元町四線通改良舗装工事」(L=480m) や「町道役場前通実施設計」(L=300m)の委託業務を実施します。

 橋梁では、昨年に続き「橋梁長寿命化点検委託業務」(12か所)のほか、新たに「町道真狩川沿線小川橋補修工事」を実施します。
 また、前年度に引き続き林道小花井線の法面補修工事を実施します。
 
2.道路の維持管理
 「ニセコ町道路維持個別施設計画」に基づき、財源となる起債等の活用を図りながら、適正な道路維持管理に努めます。また、道路の草刈、側溝の清掃、砂利道の補修や冬期間の除雪では、民間事業者に委託し、実施します。

 生活道路(私道)への除雪補助と除雪機械等運転免許取得支援事業の継続的支援を行います。
 
3.交通安全・防犯対策
 交通事故や犯罪のない生活を送ることは、町民すべての願いです。安心で安全なまちづくりを目指し、警察などの関係機関をはじめ、各団体、学校、家庭などと幅広く連携し、交通安全活動の推進と防犯意識の高揚に努めます。特に、児童生徒の通学路などの道路の安全対策については、交通安全指導員などによる街頭指導に加え、標識、信号機などの交通安全施設の整備に向けて、関係機関との協議を進めます。
交通安全灯や防犯灯においては、環境に配慮した街路灯を整備するとともに、各自治会で設置するための経費や電気料への助成を継続して行います。
 防犯対策として、防犯意識の向上を促す啓発運動などを実施し、犯罪のないまちづくりを推進します。

(5)地域交通の確保(企画環境、教育委員会関係)

 バスドライバー不足や路線バスの利用低迷などにより、路線バスの運行維持が難しくなっている状況にあります。地域住民や来訪者の公共交通利用の促進を図るため、北海道新幹線札幌開業後を見据えた「ニセコ町公共交通計画」を策定し、公共交通の維持と確保を目指します。

 北海道旅客鉄道株式会社から経営分離される函館本線沿線における地域交通の確保対策については、北海道と沿線自治体で組織された「北海道新幹線並行在来線対策協議会」で協議を進めてきましたが、北海道から提供のあった調査結果では、第三セクターによる鉄路を運営した場合、巨額の赤字が見込まれることから自治体での財政負担は困難であるとして、バス転換の方法による公共交通の運営をすることが確認されました。バスを活用した持続可能な公共交通を構築するため、今後の運営方法など、北海道、沿線自治体と協議を進めます。

 高規格道路ネットワークの形成では、圏域間交流連携の強化、地域医療の充実に加え、企業進出や観光客の増加など、産業面、観光面のストック効果をさらに高める上で重要な課題となっています。ニセコエリアにおいては、後志自動車道「蘭越町と倶知安町間」の計画段階評価の調査が進んでおり、有識者や専門家などによる「北海道地方小委員会」で協議をしています。今後、早期事業化に向けて、国への要望活動を進めていきます。

 福井地区における助け合い交通、スキー場利用者の利便性向上を図る「スキーバス」と観光客向けの冬季周遊バスを統合した「ニセコ周遊バス」の運行を継続して実施します。

(6)都市計画(都市建設関係)

 ニセコ綺羅街道は、2002年(平成14年度)に整備され、統一感のある街なみが形成されました。この街なみを維持するため、商店を営む人などに対し「突き出し看板」の製作費を補助します。

 今後、高齢化が進み、空き家等が放置され、管理不全となる建物が増加することが予想されます。町内の景観を阻害している廃屋や空き家の撤去、別荘空き家の利活用など、空き家対策の検討と強化に向け予防対策を進めていきます。
 

6 未来を見据えた行財政の基盤づくり

(1)自治創生の推進(企画環境関係)

 人口減少社会を迎えるにあたり、直面する課題に対応するため、「まち・ひと・しごと創生法」に基づき、重点的に取り組むべき具体的な施策をまとめた「ニセコ町自治創生総合戦略」を策定しています。地域資源を生かした産業の育成と多様な働き方を実現できる環境や安心して住み続けることのできる生活環境の整備、交流人口や関係人口の拡大などを進めます。

 また、持続可能なまちづくりを進めるため、株式会社ニセコまちとの多様な連携事業を継続し、企業版ふるさと納税などにより関係人口を拡大させることや再生可能エネルギーの導入などの方策について検討を進めます。

(2)総合計画によるまちづくりと戦略的な行財政運営(企画環境、総務、税務、町民生活、都市建設関係)

1.新たな総合計画の実施
 「環境創造都市ニセコ」を掲げる第5次ニセコ町総合計画は、12年間の長期計画として策定しました。計画に掲げた「環境創造都市ニセコ」の実現に向け、「自治創生総合戦略」、「SDGs未来都市計画」、「環境モデル都市第2次アクションプラン」や「ニセコ町強靭化地域計画」など、重要な計画との関連を考慮しつつ、総合的視点で計画を着実に実行しています。
 なお、現行の総合計画書が令和5年度で終了となることから、令和4年度に実施した町民アンケートの結果を踏まえ、「第6次総合計画策定」を策定します。
 
2.戦略的な行財政運営
 国の「地方財政計画」や「町行政改革計画」に基づき、より戦略的な行財政運営を進めます。限られた財源の中で最も効率的で効果的な事業の検討や実施が必要であり、業務の洗い出しを行い、事務事業の効率化を進めるため、事業評のあり方を再検討し、効率的で、かつ、透明性の高い行政運営に努めます。
自主財源の確保も極めて重要な課題であることから、観光振興や環境対策に充当する新たな目的税として、宿泊税の導入を進めます。

 ふるさとづくり寄付においては、令和3年度からポータルサイトの契約数を増やし、地域産品の一層の充実強化を図ってきました。企業版ふるさと納税の活用を図り、事業財源の確保とニセコ町のまちづくりに共感する企業との多様な連携と協力関係の構築に努めます。
 
3.町税等収納対策の強化
 確実な収納が求められる町税や使用料等は、高い収納率を維持するだけでなく、納期内納付をはじめとした早期完納への対策を進めます。

 町では、収納対策において、納付しやすい環境を整えることが最も効果的な取組みと考えています。今後も、スマートフォンアプリ、インターネット銀行など新しい納税手法への対応に努め、納付環境の充実を進めます。

 滞納者への対策では、税を納付できる力を早期に見極める取組みを今後も推進します。これにより、生活に困窮していると判断した納税者には、税の減免や猶予を働きかけ、生活の再建に注力してもらうよう、支援を行います。また、納税を負担できる力があっても納税に応じない滞納者には、年度内から差し押さえなどの滞納処分の執行を行い、納期内納税への意識を高めます。これらの取組みを推進する上で、税務調査の能力向上を今後も組織全体で進めます。
 近年の収納対策により町税の滞納額は大幅に圧縮されていますが、今後も高い収納率を維持するため、職場内でのノウハウ継承を進め、組織として高いレベルの税務行政を持続できるように努めます。加えて、課税と徴収において、デジタルトランスフォーメーションをはじめとした税環境の大きな変化に対応できるよう、組織力の強化と知見向上に努めます。
 
4.戸籍住民票事務
 戸籍、住所、印鑑の登録などの届出とその証明、個人番号カード(マイナンバーカード)に係る事務については、関係法令に基づき適正な処理を行いつつ、個人情報の保護に努めます。
 転入時の手続きの簡素化のため、令和3年(2021年)3月から導入した「異動受付支援システム」を活用し、来庁者の利便性を向上させるとともに、コロナ禍における庁舎滞在時間の短縮を図ります。また、マイナンバーカードを利用したコンビニでの住民票、印鑑証明書の交付など住民の利便性の向上に努めています。

 人権擁護の取組みでは、日本国憲法の基本理念である基本的人権を尊重する立場から、法務大臣から委嘱された人権擁護委員が主体となって、小学校において人権教室の開催などの活動を行っています。新型コロナウイルスへの感染による差別など、多様化する社会情勢に対応しながら、命の大切さと人権擁護の啓発に努めます。

 国民年金事務では、被保険者や年金受給者の申請、各種届出書類について、年金事務所と連携しながら、円滑な事務の執行に努めます。
 

(3)計画的な公共施設管理(総務関係、全庁共通)

 過去に建設された公共施設などが、これから更新時期を迎える一方で、地方公共団体を取り巻く財政環境は依然として厳しい状況にあります。

 令和4年度(2022年度)に新たな「公共施設等総合管理計画」に基づき、引き続き計画的な公共施設の更新、維持管理を行い、財政負担の平準・軽減化を進めます。

 計画の推進にあたっては、コスト削減とともに、環境への負荷の低減という視点も検討し、実行します。このため、第4次ニセコ町地球温暖化対策実行計画(事務事業編)を基に、CO2排出量の削減に向け各課一丸となって、継続的に公共施設の管理を進めていきます。

(4)今後の町のあり方(総務、企画環境関係)

 後志広域連合では、税の滞納整理、国民健康保険、介護保険、行政不服審査会の事務が行われています。
令和4年度(2022年度)から5年を計画期間とする第4次後志広域連合広域計画が策定されており、ニセコ町としても関係町村との連携し、広域事務処理の円滑実施と効率化を進めます。
 

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ニセコ町役場
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