教育行政執行施策

　乳幼児期の育ちは、家庭を基盤としながら、成長に応じた子どもたち同士の関わりやさまざまな人たちとの交流を通して培われていきます。この時期に、親子がしっかりと向き合い、豊かな子育てが出来るよう、本センターは地域子育て支援センターとして、交流の場や子育てについての情報提供、保健師や栄養師による相談、助言などの取組を充実させ、子どもの健やかな育ちを支援していきます。
　また、一時保育や休日保育、子育てに役立つ講座や保護者がリフレッシュできる講座等内容を充実し、来訪しやすい環境づくりや、親子が気軽に集い、楽しく、安心して子育てが出来る場の提供を進めます。
幼児教育・保育、子育て支援の充実を図るため、子育て中の家庭支援、学童保育、放課後子ども教室、幼児センターの運営など、子育て施策を一元的に対応する体制を整備します。
 

　乳幼児期は生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要な時期です。幼児教育及び保育の両面を担う幼児センターでは、遊びや生活を通して、たくさんの学びや発達を促していけるよう、運動機能や情緒的・知的な面、社会性などを育んでいきます。また、戸外や自然の中で伸び伸びと遊べる場や環境を大切にした保育、家庭・地域との連携を図るコミュニティ・スクールの取組のほか、継続して外部講師による職員の資質能力の向上を目指した園内研修を継続的に実施し、教育及び保育の一層の充実に努めます。
　また、幼児期の終わりまでに育って欲しい姿を大切に、子どもの発達や小学校への接続、中学・高校、大学等との連携や交流の推進、充実に努め、子ども同士、教職員同士の交流を進めます。
 

　学齢期における子どもの豊かな心や人間性の育成に努めます。有島武郎が残した相互扶助理念の定着のほか、平和で民主的な社会や人権、多様性を尊重し、他者を思いやる心を育てる取組を進めます。
　小、中学校では道徳教育及び健康教育の充実に努めます。また、学校保健体制の充実や栄養教諭による食育指導、運動部活動への支援などとともに、法令に基づく児童生徒の健康診断を行います。
 

　学校給食については、地域の食料生産や食文化等に対する理解を深めるため、地場産品を活用した給食の提供に努めるとともに、施設や配送の衛生管理に留意するなど、安全で安心な給食運営に努めます。また、学校給食を通じて望ましい食習慣や生活習慣の定着、食の大切さに対する心を育てる食育指導を進めます。
　給食費については、食材価格は値上がりの傾向ですが、保護者の負担軽減を考慮し、献立の工夫や生産者、納入事業者などとの連携を図り、本年度も第3子以降の免除制度や公費負担による値上げ抑制を引き続き行います。
　また、今後の児童生徒数や学級数の増加に対応するため、給食センターの設備等の充実を計画的に行っていきます。アレルギー対応については、保護者や児童生徒、学校と連携をして、個別に対応していくとともに、今後のアレルギー対応に係る検討を進めていきます。
 

　子どもの健やかな成長には、家庭内の教育力向上と融和が不可欠です。
　家庭と学校の連携による家庭教育学級などを通して、子育てに不安や悩みを抱える保護者間の共通理解を深め、明るく楽しい家庭生活を送るための取組に対し支援を行います。
 

　地域社会の構成者として子どもの社会性を養うため、まちづくり基本条例に基づく子ども議会活動のほか、学校を中心に体験学習などの取組を一層進めます。新型コロナウイルス感染症予防に対処した職場体験や現場実習による生き方（キャリア）教育、外部人材による特別授業などをコミュニティ・スクールと連携し、子どもの社会参画につながる学習機会の提供、学習支援に努めます。
 

　「ニセコスタイルの教育」は、小中学校9年間の連続性のある教育を見据えた教育方針や目標に基づく教育であり、幼児センターやニセコ高等学校の教育との連続性も考慮した「4校種が連続した一つの学園体」と捉え、発達段階に応じた連続性のある教育を展開します。
　新学習指導要領においては、令和2年度から小学校外国語科・外国語活動が、令和3年度からは中学校英語が実施されます。これらの実施にあたり、ニセコ町では「ニセコ町英語教育推進プラン」を策定し取り組んできました。新たなステージに入る今年度は本プランの見直しを行い、英語教育の推進充実を図ります。
　また、ニセコ町の事柄を探究する「ふるさと学習」についても、各学校の活動内容をそれぞれに共有し、有機的に学び続けることを重視して展開します。そしてその基礎となるニセコ町の歴史や伝統文化、景勝地など基礎的な知識を学ぶ「ニセコ学」を大切にし、発達段階に応じた「ニセコ学検定」に取り組み、子どもたちの意欲の向上を図ります。
 

　教育上特別な支援が必要な児童生徒の学習を支えるため、学ぶ環境の向上と教職員の指導力向上を目指します。特別支援学級の適切な運営のほか、教育支援委員会における情報共有と指導への反映、保護者相談や周知啓発などを行うとともに、学校職員が一体となった組織的かつ効果的な指導に取り組みます。
　また、特別支援講師を各小中学校に配置し、通常学級での学習支援の充実を図るとともに「ことばとまなびの教室」への通級指導支援などを引き続き進めます。
 

　学校と家庭、地域が課題や目標を共有し、地域とともにある学校づくりを目指すコミュニティ・スクールの活動を引き続き展開し、本町の自然環境や人材、まちづくりの取組など豊富な教育資源を用いながら、個性豊かでニセコを愛し、ニセコに誇りを持つ子どもを育む教育の充実に取り組みます。
　コミュニティ・スクール委員会の活動も4年が経過し、知見が蓄積されてきたことで、対象となる事業や課題などが明確になってきました。これらのことを踏まえ、委員会組織の見直しを行い、実効的で持続可能な活動を担保してまいります。また、コミュニティ・スクール委員会による学校支援ボランティアの運営がはじまっております。この取組の拡充を図り、教育活動への具体的な支援や地域と連携した事業の実施を図ります。
 

　ニセコ高等学校では、町立高校として地域との密接な連携のもと、農業と観光を融合した産業人の育成を目指し、地域資源を有効活用するとともに、関係各所との連携により「探究」の学びを充実させていきます。
　ニセコ高校においても、令和2年度に実施したICT整備により校内wifi環境が整い、全生徒にPC端末を配置することができました。令和3年度からはこの環境を生かし、各教科での利用を進めていきます。また、農業クラブや校内プロジェクトなど、生徒の主体的な活動を引き続き奨励します。
　令和4年度からの新学習指導要領実施に向けてカリキュラムの見直しを行い、円滑な移行が図られるようにするとともに、英語の拡充を行うため英語講師の配置を進めます。
　また、入学生徒の確保については、引き続き町内外の中学校への募集活動と連携を強化するとともに、さらなる学習環境改善や寄宿舎整備などの取組を進めていきます。
 

　いじめや不登校などの児童生徒をとりまく諸問題に対応するため、スクールカウンセラー等の外部人材やスクールコーディネーターの活用により、外部機関とも連携し、教育相談や生徒指導に係る学校の取組を支援します。
　また、「いじめ防止基本方針」に基づくいじめの早期発見と対応、未然防止に努めるほか、児童生徒の主体的な活動を中心とした「いじめを生まない教育土壌づくり」に努めます。このほか、携帯電話やインターネット上のトラブルや犯罪から児童生徒を守る取組をコミュニティ・スクールの活動と連動させ、継続します。
 

　教職員は児童生徒への教育、指導はもとより、本町が目指す教育の姿の実現に向けた取組を担う立場でもあることから、一人一人の資質・能力の向上を目指した研修の推進及び充実を図ります。本町の教育方針の共有を図る場として、町内の教育関係者が一堂に会する「ニセコスタイルの教育の日」を開催し「一つの学園体」としての各学校の連携を強化します。
　服務管理の面では、「ニセコ町立学校における『働き方改革』行動計画」や「ニセコ町立学校における部活動の在り方に関する方針」に基づき、勤務環境の整備に取り組みます。
 

　児童生徒の学校内外での安全を確保するため、自らの安全は自ら守ることを基本に、学校、家庭、地域や関係機関が連携し、交通安全や防犯、防災等の安全確保に係る教育を進めます。交通安全教室や通学路点検などの安全指導のほか、不審者対策として「子ども110番の家」防犯訓練などを行います。また、防災訓練実施のほか、気象災害などにも迅速に対処する危機管理体制の確立に努めます。
　スクールバスの運行は、児童生徒数や郊外居住者の増加などにより、経路や車両の調整が複雑化、困難化する傾向にあります。引き続き、安全第一の運行に努めるとともに、適切な路線設定による運行時間短縮に取り組みます。
 

　昨年から続いている新型コロナウイルス感染症については、文部科学省が作成した「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル～「学校の新しい生活様式」～」に基づき、感染予防対策を行います。また、感染者等が発生した場合は、対象者が誹謗中傷の対象とならないよう最大限の配慮を講じます。

　児童生徒が安心して学べる環境の維持、学校施設や設備の適切な管理、整備に取り組みます。近藤小学校については、児童数の増加に伴い教室が不足していることから校舎の改築を行います。
　また、老朽化しているニセコ高校の校舎西側壁面の改修についても安全確保のため実施します。
　このほかにも、小中学校で使用する校務支援システムの更新に着手し、新しい学校ICT環境の充実を図るとともに教職員の執務環境の整備も進めます。
 
 

　合議制とレイマンコントロールの仕組みを基本とする教育委員会運営について、持続的安定性の確保と活動内容の充実に努めます。近年、町内では子どもの人数が増加し、それに伴う独自の課題をはじめ、各般に渡り教育をとりまく課題が増えています。教育委員による学校・教育施設への訪問や教育行事への参加、教育委員会議における審議や教育委員研修、事務局組織体制の強化などを通じ、教育委員会として諸課題への着実な対応及び対応能力の向上に努めます。
　また、就学援助費の支給や新入学児童生徒学用品費等の入学前支給などを継続して行い、その適切な運営に努めます。
 

　第7期社会教育中期計画（令和2年度～令和6年度：5ヵ年2年次目）に基づき、町と教育委員会、学校、家庭、地域や関係機関・団体などとの連携を強化し、子育て支援体制の充実、多文化交流機会の充実、地域を知る機会の充実及び高齢者の健康の4項目を柱とする各種施策を引き続き推進します。
　子育て支援体制の充実では、子どもが安全で安心して学び・遊べる場を提供するため、引き続き放課後子ども教室を開設し、子どもの自主性や協調性、創造性を育みます。

　多文化交流機会の充実では、職種や年代、国籍を問わず、誰もが取り組める事業の実施や支援、国際的な視点での多文化理解の場となるスポーツの機会や芸術・文化活動を提供するための工夫に努めます。
地域を知る機会の充実では、ニセコの恵まれた自然環境とその保全や歴史をより深く理解し、郷土愛を育む機会の提供に努めます。
　高齢者の健康では、寿大学での学習会や交流会などを通して、知識と教養を高め、健康で明るく文化的な生活を送るための取組を行います。

　このほか、北海道日本ハムファイターズや元・現役アスリート等との連携によるスポーツ教室の開催、文化まつりでの芸能発表及び作品展示、児童生徒の作品展など、学習の機会や成果を多くの方に広める場の提供に努めます。
　魅力的な少年教育事業を展開するため、ニセコの子どもたちがふるさとの人や文化、自然などの身近な教育資源にふれ、「集い・学び・遊び・感じる」ことを目的とした「ニセコみらいラボ」を引き続き開設し、講座の内容を充実・発展させます。
 

　スポーツは明るく豊かで活力に満ちた社会の形成や、個々人の心身の健全な発達に寄与することから、本年度もニセコの自然や人材などの教育資源を生かしたスポーツ活動の充実に取り組みます。

　幼児や児童生徒を対象とした事業では、幼児用スキーの貸出事業やこどもスキーフェスティバル兼全町児童生徒スキー大会の開催、初心者の子どもためのスキー教室や夜間スキー・スノーボード講習会を行います。
　これらのウインタースポーツをより身近に親しむための支援として、町内スキー事業所の協力を得ながら、スキーリフト券助成事業を行います。
　また、小学校低学年を対象に、スポーツ推進委員の主催により、さまざまなスポーツを体験する中からスポーツへの関心と自分に合ったスポーツを見つける機会とする「夕方スポーツクラブ」を引き続き実施します。

　このほか、夏休み期間中の町民ラジオ体操会を継続します。
　町民の健康増進と親睦を目的として定着している、運動公園開幕スポーツ大会をはじめ、ふれあい町民運動会などの大会を継続して開催するほか、スポーツ競技振興のため各種団体が主催する町長杯スポーツ大会の開催を支援します。
　第39回目を迎えるニセコマラソンフェスティバルについては、本年度も安全面の確保や運営面の改善に配慮しながら、実行委員会による運営を支援します。
　町の少年スポーツ、健康スポーツ、競技スポーツの各分野で中心的な役割を担う体育協会に所属する競技団体やスポーツ少年団の活動への支援を行い、地域に根ざしたスポーツ活動の推進並びに指導者の育成及び確保に努めます。

　また、大学等と連携し、スポーツと健康に関する専門知識・技能を学び体験する機会の創出についての検討を進めます。
　町として、現在取組を進めている冬季北海道・札幌オリンピック・パラリンピック招致活動への協力を通して、未来を見据えた「ウインタースポーツの文化」、「オリンピックレガシー」を掲げて、子どもたちの夢や希望を育むとともに、町の発展に繋がる活動を目指します。
 

　所管する各施設においては、安全かつ快適に、誰もが利用しやすい、生涯学習・文化・スポーツ施設とするため、長期的な整備計画が必要であると考えています。
　学習交流センター（あそぶっく）においては、蔵書の数や内容に配慮し、図書館機能を充実させるとともに、施設の適切な維持管理による環境改善に努めます。
　有島記念館においては、経年による老朽化が課題となっていることから、長期的な展望にたった施設の運営方針に基づき、計画的な改修と適切な維持管理に努めます。
　また、有島記念公園などの施設周辺につきましても文化・芸術施設にふさわしい環境の維持を基本としながら、その活用について引き続き検討を進めます。
　体育施設においては、建設から40年が経過する総合体育館の具体的な整備検討のための診断調査を実施するとともに、全ての体育施設の適切な維持管理と適時補修に努めます。
 

　文化・芸術は心豊かな社会の形成に寄与することから、関係団体や行政が役割を分担・連携しながら、文化協会主催による町民向けコンサートの開催など文化芸術施策を展開していきます。子どもたちの豊かな創造力や思考力などを養うため、小中高校生を対象とした青少年芸術鑑賞会や児童生徒作品展を開催します。
また、ニセコ町民センターや学習交流センター「あそぶっく」、有島記念館などの施設を活用し、音楽鑑賞など芸術にふれる機会の確保に努めます。

　中央地区に所在する中央倉庫群、SL9643号及びニセコエクスプレスなどの旧鉄道車両、JRニセコ駅周辺を本町の歴史的文化財「ニセコ鉄道遺産群」として保存し、日本の鉄道事業の礎を築いた有島武や曽我祐準など本町とゆかりのある人物の功績などを伝承していきます。
　本事業を発展的に展開するにあたっては、ニセコ鉄道遺産群整備計画に基づきニセコ町鉄道文化協会との連携のもと、本町に存在する鉄道文化遺産の認知度を町内外に広め、理解と愛着を深めるための取組として、鉄道車両を公開するイベントの開催及び広報活動の強化やオリジナル商品の販売などを行います。
　なお、鉄道文化遺産の保管及び展示にあたっては、安全管理並びに環境整備に十分配慮します。
　このほか、郷土資料については、ニセコ町に関する貴重な歴史的文化財の収集・展示事業に加えて、保管設備の設置や資料のデジタル化など収蔵・保全の充実化を進め、有島記念館の郷土資料館としての機能充実に取り組みます。
 

　第2次子どもの読書活動推進計画（平成30年度～令和4年度）に基づき、学習交流センター「あそぶっく」を活動拠点として活動する指定管理者「NPO法人あそぶっくの会」に対して、日常的に楽しく身近に読書ができる環境づくりのための支援を行います。
　また、学校を通じた児童生徒の読書活動の推進として、あそぶっくの会の協力による学校図書館支援員を配置して、学校図書館の環境整備や有効活用、選書の充実に取り組みます。
 

　有島記念館は、大正期を代表する作家有島武郎の文学、農場解放の軌跡などを紹介・伝承する施設です。文学、郷土史、美術品に関する企画展のほか、コンサートやギャラリートークなどの普及事業の開催により、有島記念館の来館者数は増加傾向にありますが、さらに有島武郎の認知度と理解を得るため、有島本人や本町を紹介する企画展などを姉妹・友好提携館などと連携して開催します。
　また、貼り絵作家の藤倉英幸氏からの受贈作品を有効に活用した企画展を開催します。
　有島記念館の認知度を更に高めるためには、同館の学芸レベルを一層向上させ、新たな事業の企画立案とその実行の迅速性が必要と考えています。これまでの運営体制の見直しを行い、対外的にも文学・芸術・歴史資料館としての評価と信頼を得るため、常勤の学芸員である専任館長を配置します。
 

　本町は、国内外から移住した人も多く、価値観が多様化しています。ニセコ町教育振興基本計画に掲げる多文化共生の社会づくりには、文化や習慣の違いなどを認め合い、互いによく理解、尊重し、助け合って生活していくことが必要です。そのため、こうした観点から、町民誰もが参加、交流できる文化・スポーツ等の事業を実施、支援します。

　多文化理解の視点では、英会話をより身近にするため、国際交流員による小学生を対象とした放課後子ども教室での英会話交流や高齢者を対象とした寿大学学習会など、幼年者から高齢者まで幅広い年代の方が多文化にふれる機会を提供します。
　また、町の国際交流推進協議会が行う英会話教室や文化イベント等の事業との連携のほか、北海道インターナショナルスクールニセコ校児童とのふれあいなど交流の場を検討します。
　多様な交流機会確保の視点では、子どもたちが異なる町の文化やコミュニケーションに触れることで、視野を広げ、新しい発見から「自分の町を振り返り理解する」機会を引き続き提供します。
　本年度は鹿児島県薩摩川内市への訪問「少年の翼セミナー」並びに滋賀県高島市の児童生徒受入などの少年交流事業を実施します。
 





　令和3年度においても、教育委員会運営の一層の充実を図りながら、教育を取り巻く諸課題に積極的に対処していく所存です。
　町民の皆様、町議会議員の皆様の教育行政へのご理解とご支援をお願い申し上げます。