重点政策の展開

重点となる6分野の政策展開について申し上げます。
 

1 持続する地域経済の確立へ

 本町の豊かな自然環境を生かした内発的産業の育成に努め、農業、観光業、商工業の連携と地域に賦存するエネルギーの利活用と経済の域内循環を推進します。また、まちづくりの理念を共有し、共感できる企業、大学、研究機関などとの多様な連携により、地域経済の自立に向けた取り組みを進めます。
 観光振興では、「町観光振興ビジョン」に基づき、観光のSDGsと言われるGSTC(持続可能な観光地域づくり)の取り組み、国連世界観光機関(UNWTO)のベストツーリズムビレッジなどとの連携を進めていきます。 
また、「町中小企業等振興条例」に基づく商工業の振興を町商工会と連携し進めていきます。

(1)農業と畜産業の振興

 不安定な国際情勢により原油、飼料、肥料、資材の高騰化などに加え、国内の気候変動、自然災害などが頻発し、農業者にとっての経営環境は一段と厳しさを増しております。このような状況から、国は、食料・農業・農村基本法の改正により、食料安全保障に対する取組みを進めるとともに、環境政策を軸とした農業への転換を求めています。

 本町では、「循環型クリーン農業」の取組みを継続し、農業者には、土づくりを基礎とした農業の確立へ向けた取組みや、経営リスクを分散できるように計画的な営農を進めてもらうため、関係機関と協力しながら、本町に適した農業生産の確立に努めてまいります。
 また、本町がリゾート地を有する特性を活かし、多品目生産や多様な販路の拡充に配意し、本町農業の持続発展を図るとともに、農業人材の確保に努めてまいります。

 農業基盤の整備については、国営緊急農地再編整備事業の令和9年度の事業完了を目指すとともに、引き続き、優良農地の保全と農地の利用集積を進めていきます。また、イエスクリーン米栽培支援制度の継続とともに、完熟堆肥助成、緑肥作物の奨励などの土づくり対策、6次産業化、新たな作物や栽培技術の導入支援などに引き続き支援するとともに、本年から酒造好適米への支援を拡充してまいります。
 また、有害鳥獣被害が拡大の一途をたどっていることから、これら対策の拡充を図ります。

(2)観光の振興

 令和6年度は、本町に国内外から多くの観光客のみなさまにお越しいただき、特に、インバウンドの入込数は、冬季だけではなく、グリーンシーズンにおいても令和5年より増加となり、観光経済活動が活発となっています。一方で、ニセコ地域における物価が非常に高いという印象を植え付ける「ニセコ価格」という言葉がSNSやマスコミを通じて広がり、本町にとってマイナスのイメージが浸透したことから、一部、宿泊施設においては宿泊者数の減少をみています。このことから、ニセコ地域全体が物価高騰しているという印象を払拭させるために、本町の物価の実態を伝える取り組みを行います。

 また、これまでグリーンディスティネーションズから令和5年に世界のトップ100の観光地選定から、さらに上位の「シルバーアワード」を受賞する栄誉を頂きましたが、本年度は更新年であることから世界標準の観光地としての価値を確認するため申請を行うこととしています。こうした各機関との連携により、世界的に注目が高まりつつある「持続可能な観光地」として、国内外での認知度を高め、今後もニセコ町が旅行先として選ばれ続け、ニセコ町民にとって誇れるリゾート地となるよう取り組んでまいります。
 また、昨年11月に導入した「宿泊税」を活用しながら、「ニセコ町観光振興ビジョン」に基づき、持続可能な観光地としての環境を整える取組みも進めていきます。

 これまで国に要望をしてきた「デジタルノマド・ビザ」は、昨年4月から制度が開始されておりますが、引き続き、国に対し、制度の拡充や滞在期間の延長などの提言を行っていきます。
 ニセコ観光圏においては、関係する倶知安町、蘭越町とともに、広域課題に連携して取り組んでいきます。
 また、町内の各種団体が行う地域振興イベントへの支援、環境省から「国民保養温泉地」の指定を受けている「温泉」の魅力発信や自転車、フットパス、ラフティングなど夏季の魅力アップ事業に民間組織と連携しながら取り組んでまいります。

 ニセコエリアが、スキーやスノーボード愛好者にとって安心できるスノーリゾート地であり続けるため、雪崩事故防止対策である「ニセコルール」の運用をエリア内のスキー場運営者や国立防災科学技術研究所などの関係機関と連携して実施していきます。特に、ニセコのパウダーが世界に認知される役割りを担われた「ニセコルール」推進の中核組織である「ニセコ雪崩調査所」への支援を倶知安町や各スキー場、関係機関などと引き続き実施していきます。
 また、国土交通省において事業決定いただいた高速道路の整備促進に連携して取り組むとともに、インターチェンジなどと密接に関連する「道の駅ニセコビュープラザ」の再整備については、国道・道道における防災重要拠点としての機能向上を図り進めることとし、さらに立地場所も含めて検討してまいります。

(3)商工業の振興と労働対策

 昨年、本町での人材不足を補う一助とするため、スキマバイトサービスの「タイミー社」と連携協定を締結しましたが、さらに、人材不足解消策として、「特定地域づくり事業協同組合制度」の導入に向けた検討をしてきました。この結果、同制度を本年度から導入をすることで地域経済の基盤整備や持続的な地域の発展に資するよう、当組合に対して支援することしております。
 また、昨年度から町内事業者が従業員確保を目的に行う取組みに対して、1事業者最大200万円の補助を行う「ニセコ町人財確保緊急対策モデル事業補助」を引き続き今年度も実施し、従業員の確保に向けた取組みを支援していきます。

 商工業振興の中核組織であるニセコ町商工会の会員数は、令和7年1月末日現在で231事業者となり、過去最高の会員数を記録しています。商工会会員のみなさまの活動が本町の活性化の大きな要因であることから、引き続き、小規模事業者等への支援をしてまいります。
 本年度も、引き続き「優良な企業」の誘致活動を積極的に実施し、町内経済基盤の拡充強化に努めます。 また、商店振興に大変重要な「綺羅カード会」の支援を拡充継続するとともに、全町型地域通貨の拡充に努め、e旅納税の普及啓発とリゾート地などにおける町民割引制度の確立による、町民の経済負担の軽減策を検討してまいります。

 消費者対策では、本町を含む近隣7町村で設置している「ようてい地域消費生活相談窓口」の機能がより発揮されるよう、相談者活動の拡充と啓発活動を推進していきます。

2 誰もが健やかに笑顔で暮らせるまちづくり

 町民のみなさまが、相互に助けあい、健康で心豊かに生活できる社会を創るため、保健、医療、福祉、子育て、教育などの諸課題の解決に向けて、総合的に検討しながら、安心して暮らすことができるよう取り組みを進めます。

(1)子育て支援

 子育ての環境においては、18歳までの全ての子どもの医療費の無料化を継続します。また、伴走型相談支援と妊娠時と出産時に、それぞれに対し5万円の給付を行うとともに、産後ケアの拡充を行い、妊婦や子育て家庭が安心して、出産や子育てができる環境づくりに努めます。そのほか、子どもの健康診断や母子保健事業、未熟児医療などについても、引き続き支援をしてまいります。
 

(2)高齢者、障がい者の福祉

 高齢者や身体などに障がいをお持ちの人が、住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう、「介護保険事業計画・高齢者保健福祉計画・障がい者基本計画・障がい福祉計画」に基づき、福祉の充実に努めます。また、ニセコ福祉会が運営する「高齢者グループホーム」とケアプラン(介護支援計画)の作成などを行う「居宅介護支援事業所」の運営費の一部と介護サービス維持事業に対して支援します。
 なお、社会福祉法人ニセコ福祉会の経営安定に向け、昨年度まで近隣町村を含めた介護認定者の将来推計や各自治体による介護施設の運営情報の収集、現状分析のほか、同会の経営状況のモニタリングを行ってきました。新年度においては、町の将来の高齢者支援体制のあり方について、どのような形が良いかを広域的な運営の可能性も含めて検討を進めてまいります。

 「地域包括支援センター」では、関係機関との連携を密にし、課題を抱える高齢者への支援を行うとともに、健康維持のための予防事業を実施します。また、年々増加する認知症患者の対応を担う「認知症初期集中支援チーム」においては、認知症専門医の指導の下、認知症の人やその家族に対し、包括的に、そして集中的に初期時に支援を行い、自立生活へ向けたサポートを継続します。
 障がいをお持ちで、日中活動が困難な人をサポートするための中核的な役割を担う地域活動支援センター「ニセコ生活の家」に対し、地域の支えやコミュニティによる「地域生活支援事業」が円滑に進むよう運営費の一部を支援します。併せて令和6年度に建築している障がい者グループホームの運営が円滑に進むようサポートを行います。

 ニセコ町社会福祉協議会が担う地域福祉の増進と高齢者福祉サービスの提供、増加傾向にある成年後見制度の相談を担う「町生活サポートセンター」業務に対し運営費を補助します。

(3)健康づくり

 健康づくりについては、「健康づくり計画」に基づき、食生活、運動、こころの健康、歯の健康や生活習慣病に関する事業を中心に実施していきます。
 予防接種事業では、子ども向け定期予防接種を継続し、大人向け接種ではインフルエンザや新型コロナウイルスなど引き続き接種費用の扶助を行うほか、帯状疱疹の予防接種についても、費用の助成範囲を拡充してまいります。
 健康診断事業については、今年度も特定健診や各種がん検診を受診した人への綺羅カードのポイントの付与を継続し、受診率の向上に努めます。また、町民のみなさまのご協力を得て実施しているエキノコックス駆除対策も継続して行います。

(4)国民健康保険事業、医療制度

 国民健康保険は、全道の医療費の推計などを基に、北海道から本町で必要とされる国民健康保険税の総額と税率が示されます。町では、この推計を基に保険税率を決定しています。令和7年度の税率は、所得割が0.37%減、均等割と平等割は、令和6年度と同額となり、賦課限度額は、国の制度に合わせ3万円の増額となります。
 また、町の独自の政策として、新たに子育て世帯への経済的負担軽減のため、18歳未満の子どもに係る保険料の均等割額については、全額免除を行います。
 国の制度改正により昨年12月から紙の保険証の新規発行が停止となりました。本町では、紙の保険証を昨年7月に更新しており、今年の7月31日まで使用可能となっています。その後は、マイナ保険証が基本となりますが、マイナンバーカードを所有していない人などに対し、資格確認証を交付するなど国保加入者の利便性を損なうことのないよう努めていきます。

(5)地域医療の確保

 地域医療、精神医療、救急医療などを担う「ニセコ羊蹄広域倶知安厚生病院」の赤字を補填するため、病院所在地である倶知安町を中心に羊蹄山麓町村とともに運営費の支援を行います。あわせて、新棟が完成した同厚生病院の改築整備についても関係町村と連携して整備費用の負担を行います。
 町民のホームドクターとして重要な役割を担っていただいているニセコ医院については、平成25年度に導入したCT装置とX線装置の保守点検費用の一部を協定に基づき支援します。

3 環境に優しいニセコの創造

 本町の美しい自然環境を大切にし、自然に調和した暮らしを維持するため、ニセコ町環境基本計画、町地球温暖化対策実行計画などに基づき、「水環境のまちニセコ」の実現に向けた取組みを進めます。
 本町の主産業である農業や観光も、水環境をはじめとする環境の良さによって成り立ち、より信頼を高めていくものであると考えています。ゼロカーボン宣言をして、世界首長誓約日本にも署名し、「コンプライアントバッチ」を取得している自治体として、「気候変動対策」と「地球環境負荷の低減」を目指すとともに、あわせて「地域経済循環型社会形成」との両立に努めていきます。

 また、2年の歳月をかけ平成14年(2002年)3月に策定した第1次のニセコ町環境基本計画の策定にあたっては、日本経済や町を取り巻く経済も大変厳しいときでありましたが、「ニセコ町を乱開発させないこと、投資による資本の草刈り場にはしないようにすること、ニセコ町の美し環境と優れた環境を未来の子ども達に残そう」との町民のみなさんの強い決意の基、この目標タイトルが「水環境のまちニセコ」、そして、サブタイトルが「良い環境を子どもたちに残したい」となったものです。「水環境」としたのは、水が私たちの命を育むものであり、森や川、生態系を育む根源であること。弱者である赤ちゃんやご高齢のみなさんも良質な水とともに暮らせるニセコ町であり続けられること、との議論の総まとめとして決まったものでございます。

 ニセコ町まちづくり基本条例に続いての、この「環境基本計画」の理念に基づき、「ニセコ町環境基本条例」や敢えて数値規制を入れない住民参加を主体とした「景観条例」が制度設計されていったことを、この執行方針の中で共有し、再確認させて頂ければありがたく存じます。

(1)自然環境の保全と環境対策

 ニセコアンヌプリ山麓周辺をはじめとする地域では、幾つかの開発が計画されており、これらの開発とニセコの美しい自然や風景との調和が重要です。本町の貴重な財産を守り育てるため、国定公園法や準都市計画、景観条例、建築ガイドライン、地下水保全条例などの制度を運用し、「秩序ある開発」への誘導を図っていきます。

 廃棄物処理対策では、羊蹄山麓7町村が連携して可燃ごみの固形燃料化処理を倶知安町の民間事業者に業務委託しています。昨年度は、観光客の入込数が回復し、それに伴いごみの量が増加しております。町では、引き続き、分別排出の周知をこまめに行うとともに、資源回収を目指した使用済小型家電の収集を実施します。事業系ごみ処理に関しては、ごみ処理料金の見直しや処理体制、方式等についての情報収集と検討を開始します。

 し尿処理については、羊蹄山麓環境衛生組合羊蹄衛生センターにおいて処理をしていますが、現在の施設は築50年が過ぎ、施設の損傷が激しいことから、新施設の稼働を目指して検討を進めてきましたが、昨年新たに提示された全体費用の額が、2.5倍と高額提示となっていることから、再度見直し、検討を進めることとしております。こうしたことから本町としても、環境に配意した最先端の処理方式などの情報収集に努めてまいります。

(2)自立型省資源社会への転換

 町では、「環境モデル都市」、「SDGs未来都市」の指定を受け、環境負荷の低減と地域の活性化の両立を目指し、将来にわたり持続可能な暮らしやまちづくりに向けた取組みを進めてきました。1.平成30年には「世界首長誓約日本」に署名し、2.令和2年には、「気候非常事態宣言」を発し、3.令和3年には、「再生可能エネルギー事業の適正な促進に関する条例」と「自転車の適切な利用を促進する条例」の制定、4.令和6年は「気候変動対策推進条例」を制定しております。
 令和7年度は、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする目標に向けて、町有施設における再生可能エネルギーの効果的な活用を行うため、太陽光発電設備の導入事業を進めます。
 なお、市街地区での再生可能エネルギーの利用の可能性を図るため、本年、経済産業省の認定を受けた場合は、市街地区における地熱、地中熱利用の可能性調査、設計を実施(補助10/10)したいと考えております。

(3)「株式会社ニセコまち」との連携

 平成30年に内閣府からSDGs未来都市として選定され、その中核事業であるNISEKO生活・モデル地区「ニセコミライ」の取組みを進めております。これまでに、超省エネや高性能の木造集合住宅として、分譲住宅2棟13戸、賃貸住宅1棟10戸が完成し、本年度は、分譲住宅2棟15戸、賃貸住宅1棟10戸の建築工事が行われる予定です。光熱費を抑え、除雪や管理の負担が少なく、健康で暮らしやすい快適な生活環境の実現に向けた(株)ニセコまちの取り組みを支援していきます。
 また、環境を基軸とした多様な連携を促進し、脱炭素や地域活性化の推進を図り、持続可能なまちづくりを(株)ニセコまちとともに進めます。

(4)林業の振興

 森林は、町の基盤である自然環境や景観を構成する大切な地域資源であり、町民のみなさんの暮らしに豊かさをもたらしてくれる存在です。美しい景観を維持し、未来につないでいくためにも、計画的に整備することが必要であり、木材に付加価値をつけ、経済を循環させ、地域ぐるみで森林づくりに取組む必要があります。 
これらの取組みを着実に進めるため、「(株)ニセコ雪森考舎」を支援し、町の豊かな自然環境を町民が享受できるよう、森林資源の活用、人材育成や木育の取組みに努めていきます。
 また、ニセコ町森林整備計画やそのほかの施策と調整を図り、森林の持つ多面的機能が持続的に発揮されるよう林業振興の取組みを進めます。加えて、国や北海道、町独自の補助制度を活用した民有林整備の促進と町有林での着実な整備など適正な管理に努めます。

4 豊かな心と個性ある文化を育む

 令和6年度からスタートした本町の第6次総合計画のテーマは「こども未来共創都市」で、次世代を担う子どもをみんなで育てることを基軸としています。引き続き、教育委員会との連携を密にしながら、子どもが健やかに成長できる教育環境づくりを進め、多様な文化、スポーツ活動が、町民のみなさまの主体的な行動によって展開されるよう、支援に努めます。

(1)教育環境の充実

 教育については、「第6次町総合計画」、「町教育大綱」、「町教育振興基本計画」に沿って、教育委員会が取り組む事業を支援していきます。

(2)文化とスポーツの振興

 誰もが気軽に文化活動への参加やスポーツに親しむことができるよう「社会教育中期計画」に沿って、社会教育と社会体育、生涯スポーツの諸活動を支援していきます。

(3)コミュニティ活動と国際交流の推進

 集落の自治を推進する核となる「地域コミュニティセンター」の多様な活用が図られるよう指定管理者との協議を進めます。また、町民センターは引き続き商工会に管理を委託し、西富地区町民センターでは、西部地区の防災拠点、またまちづくり活動の拠点としての多面的な利用の拡大に努めます。

 中央倉庫群では、旧でんぷん倉庫を核として町民や来訪者などが交流し、気軽にくつろげる居場所としての活用が図られるよう指定管理者との協議を進めます。また、利用の少ない1号倉庫は、本町のまちづくりに共感し、ともに本町の産業の発展に資する事業者への貸し付けを行う予定としています。

 国際交流員(CIR)による交流事業では、町民やニセコ高校生との文化交流事業の推進、町の広報媒体の多言語化、外国人住民のサポート業務を担うなど幅広い国際交流活動を行っており、本年度も一般財団法人自治体国際化協会(CLAIR)の支援を受け、多文化共生の理解促進と国際交流に取り組みます。

5 安全で安心な暮らしを支える

 町民のみなさまが安心して暮らすことができるよう、防災対策の充実強化や生活基盤・社会基盤の総合的な整備に取り組みます。

(1)防災・危機管理対策

 本町では、「ニセコ町地域防災計画」、「町強靭化地域計画」、「町事業継続計画(BCP計画)」などに基づき、自治体としての危機管理体制を確保しつつ、防災関連備品の整備、減災対応機能の向上に努めています。今後も、防災訓練の実施や自主防災組織づくりへの取組みを進め、自然災害へ向けた備えの強化を図ってまいります。
 原子力防災対策では、「地域防災計画・原子力防災計画編」に基づき、国、北海道、関係自治体などと緊密に連携し、引続き町民のみなさまへの情報の提供に努めつつ、泊原子力発電所の稼働を見据えて、北海道電力株式会社との情報共有を進めます。
 また、防災センター機能を有する役場庁舎は、防災対策の拠点として、町民のみなさまの安心と安全な暮らしに貢献していくとともに、町民のみなさまが気軽に利用することができる親しみやすい庁舎となるよう配意します。
 消防業務については、羊蹄山ろく消防組合と連携を図りながら消防力の強化に引き続き務めるとともに、ニセコ消防庁舎の完成に向けて取り組みます。
 

(2)情報基盤の充実

 本町の情報発信の拠点であるコミュニティFM「ラジオニセコ」は、災害時における情報提供の手段として大きな役割を果たしていますが、今後も行政情報をはじめ、町内の各種団体、観光イベント、ニセコルールにおける雪崩事故防止情報など、町民のみなさまの生活や観光客のニーズに根ざした情報を提供できるよう支援をします。

(3)住環境の整備と定住促進

 これまで、民間賃貸住宅に対する建設費への補助や省エネ住宅改修や耐震改修への補助、公営住宅の長寿命化などに取り組み、住環境の整備に努めてきました。今年度は、国の補助制度を活用し新団地(モック)2号棟の建設を行います。

(4)道路交通網の整備

 整備されてから年数が経過し舗装の劣化や防護柵等の破損が進んでいる町道が多いことから、「道路維持個別施設計画」に基づき、財源となる起債などの活用を図りながら、適正な維持管理に努めます。 
 新たな町道の整備として、町道ニセコミライ通新設工事、中学校通歩道整備工事などを実施し、橋梁では、昨年に続き「橋梁長寿命化点検委託業務」を行うとともに、ガードケーブルなどの補修を進めてまいります。また、冬期間の除雪については、町民のみなさまの協力を得ながら、冬道の安全確保に努めていきます。

(5)地域交通の確保

 地域交通については、昨年3月に策定した「地域公共交通計画」に基づき、住民の生活や観光客の移動の手段や利便性を確保する対策として、「ニセコ周遊バス」の運行や、タクシー不足解消に向けた事業「ニセコモデル」、「にこっとバス」の運行を継続します。
 北海道新幹線の札幌延伸に向けては、並行在来線の廃止後の長万部ー小樽の区間について、北海道新幹線並行在来線対策協議会後志ブロック会議(令和4年3月)において、バス転換方式とするとの方針の確認が行われ、北海道が沿線バス会社との協議を進めております。今後もこれらの状況について注意を払い、国、北海道、関係自治体との協議を進めます。
 また、高速道路の延伸においては、北海道開発局との連携を図るほか、引き続き、後志総合開発期成会と連携して、黒松内までの調査、事業化を国に要望してまいります。

(6)空き家対策

 平成29年度に策定した「空き家等対策計画」を基本に放置された管理不全建物の解消に努めるとともに、ニセコ町不動産業協会と連携して別荘や空き家の適正な管理に努めます。

(7)公営企業(上下水道)

 水道事業おいて、本年は市街地区で新たに水量、配水施設の拡張を行うための配水池新設工事と導水管新設工事を昨年度に引き続き実施します。
 下水道事業では、施設の適切な更新と維持管理を行うため、「下水道事業ストックマネジメント計画」と「農業集落排水施設最適整備構想」に基づき、国の補助事業を活用した下水道施設機械電気設備などの更新工事を進めます。

6 未来を見据えた行財政の基盤づくり

 「ニセコ町総合計画」、「自治創生総合戦略」、「SDGs未来都市計画」、「脱炭素アクションプラン」を着実に推進するとともに、町が保有する行政財産と資源の有効活用を図り、効率的、効果的な行財政運営に努めます。
 

(1)総合計画によるまちづくりと行財政運営

 本町の最上位計画である「第6次ニセコ町総合計画」(令和6年度~令和17年度の12年間)に基づき、「こども未来共創都市ニセコ」の実現を目指してまちづくりを進めていきます。

(2)まちへの共感、関係人口の拡大(ふるさと納税)

 自治創生総合戦略に掲げた関係人口の拡大を図るため、「ふるさと住民票」の活用をさらに広く周知するとともに、寄付者の想いが地域へとつながり、魅力あるまちづくりへと展開ができるよう、情報の発信と交流に努めていきます。
 また、令和4年11月から開始した「旅行者向けふるさと納税= e旅納税」については、町内の加盟店の拡大を図り、共感地域通貨「NISEKO eumo(ニセコユーモ)」の利用拡大と各施設の利用における町民割引制度の導入に向けての検討を行います。
 「地域循環型社会形成」のまちづくり推進には、SNSなどを活用し、まちの取組みに共感してくれる関係人口や企業のみなさまの拡大を進める必要があり、引き続き「ふるさと納税」や「企業版ふるさと納税」の拡充、強化に努めてまいります。

(3)自治創生の推進

 自治創生については、「第3期ニセコ町自治創生総合戦略(令和7年)」を基にして各種事業を進めてまいります。人口においては想定の範囲で推移しつつありますが、今後、社会情勢の変化への対応、「ニセコ町総合計画」をはじめ関係する計画との整合性、人口推移を踏まえた住みよいまちづくりと「地域経済循環の強化」に向けた取組みを進めていきます。
 まちづくりの担い手として、「地域おこし協力隊員」や「集落支援員」を引き続き配置し、地域づくりを担う人材育成に努めてまいります。
 持続可能なまちづくりを進めるため、株式会社ニセコまち、株式会社ニセコ雪森考舎、株式会社ニセコリゾート観光協会、株式会社キラットニセコとの連携の基、企業版ふるさと納税の拡大、地域づくり企業人などの制度の活用による関係人口と協力企業の拡大に努めます。

(4)計画的な公共施設管理

 町が保有する資産は、売却や貸付などの有効活用を検討し、地域経済に貢献できるようその活用を進めるとともに、町財政の健全性の保持に努めます。また、計画的な維持修繕、類似施設の統廃合、長寿命化、施設管理の見直しや廃止の検討など、「公共施設等総合管理計画」や「個別施設計画」に基づき、適切な管理運営と将来に引き継げるように適切な施設の除却なども行います。
 施設整備では、「ライフサイクルコスト」を重視し、性能発注制度の導入と、「コストとロス」を見極め、国の諸支援制度を最大限活用しつつ、施設の改修を適切に行い、持続可能な社会基盤の整備を進めます。

(5)広域行政の推進

 広域行政については「後志広域連合(16町村)」と連携し、税の滞納整理、国民健康保険、介護保険などの事務を推進していくとともに、後志広域連合の機能がより発揮されるよう、将来の事務事業の共同実施など他の構成自治体とも検討を進めていきます。
 また、北海道町村会の呼びかけでスタートした「北海道自治体情報システム協議会(北海道町村会情報センター)」においては、会員自治体等と連携し、共同開発・共同利用により、効率的で安価な利活用が図られるよう協議を進めます。
 「羊蹄山ろく消防組合」や「羊蹄山麓環境衛生組合」においては、共通経費などの負担が増加しており、負担の増加や恒常化をしないよう協議を進めます。また、羊蹄山麓衛生センターにおいては、改築コストの急増に鑑み、さらなる検討を行うこととしています。

 予算の執行にあたってのまとめとしては、昨年からスタートした「第6次ニセコ町総合計画」の基本理念「こども未来共創都市~ニセコ町の美しい景観と自然を未来の子どもたちへ~」に込めた想いを基本に、
基本目標1「ニセコの自然を守る」
基本目標2「みんなで学び合い、未来につなぐ」
基本目標3「ニセコの経済を循環させる」
基本目標4「安心・安全な暮らしやすさを高める」
基本目標5「相互扶助のまちをつくる」
の5つの基本目標が具現化するニセコ町を目指して町政を進めていきます。
 






 今年度もこれまでと同様、私の基本姿勢である「公正、スピード、思いやり」の行動原則を柱に、次代を担うこどもたちへの投資や子育てしやすい環境の拡充を図り、「1.資源の循環、2.エネルギーの循環、3.地域経済の循環」という、本町が将来にわたって自律していくための3つの循環による「子どもの笑顔が輝く元気なニセコづくり」に努めていきます。
 私は、就任以来一貫して日本国憲法の理念を暮らしに生かすこと、そして、ニセコ町まちづくり基本条例に基づいてまちづくりを進めることを基本に、ニセコ町にお住まいのみなさまが、住むことが誇りに思える相互扶助のまちづくりを目指し、そして、予算の編成・執行においては自治体経営の視点で町政を担ってまいりましたことを付け加えさせていただきます。

このページの情報に関するお問い合わせ先

ニセコ町役場
TEL:0136-44-2121
FAX:0136-44-3500