一般会計の状況

1 地域循環型経済の確立

(1)農業と畜産業の振興(農政関係)

1.環境と調和した安全で安心な農業の推進
 本町の農業は地域の良質な食料の安定的な生産、供給をはじめ、国土や環境保全、美しい農村景観の形成などに取り組み、町民の健全な暮らしを支えるとともに、食品加工や観光など幅広い産業と結び付きつつ、基幹産業として重要な役割を果たしています。

 町では、地域と共生した多様性のある持続可能な農業を推進するため、消費者に安心をもたらす農業の実現を目指すには、土づくりを基本と考え、地域有機物を活用した「クリーン農業総合推進事業(イエスクリーン栽培補助)」、「完熟堆肥流通促進事業」、「緑肥作物奨励事業」、「土壌診断事業」を継続して実施します。さらに、環境負荷軽減への取り組みを進めるため、本年度より、「生分解性マルチ導入促進事業」を始めます。

 また、環境保全営農活動を実践されている生産者団体についても、「環境保全型農業推進交付金」の事業を継続し、活動を支援していきます。
中山間地域などにおける農業生産条件の不利を補正するため、農業生産活動を継続して行う農業者に交付される「中山間地域等直接支払交付金」や農地の維持と地域資源の質的向上を図る共同活動に交付される「多面的機能支払交付金」の事業を継続します。

2.収益性の高い地域農業の確立と農業と観光の連携
 高収益作物の導入やクリーン農業や有機農業の実践による高付加価値化、農産加工、直接販売による6次産業化や商工観光業と連携した地産地消戦略など、創意工夫を生かした多様な取組みを行いつつ、安定的な経営の確保を図ります。
 酒造会社から産地指定での要望の多いニセコ町産の酒造好適米のさらなる産地化に向けた支援を行います。また、「蔵人衆」、「蝦夷富士」などのニセコ町産米酒の継続的なPRに加え、ニセコ町産米の販売促進を進めます。幼児から高校生まで、幅広い世代で生産体験などを行い、地産地消や食育の推進を図ります。

 畑作では、土づくりを基本にした適正輪作を進め、計画的な作付けと安定生産に務め、重点作物の選定や新規導入作物の産地化を推進します。
 また、国内でトップブランドである「ようてい産ゆり根」の継続生産を図るため、ゆり根種子の購入に対しての助成を始めます。
 酪農では、飼料高騰などの外的不安要素を減らすため、草地畜産基盤整備事業を行い、持続的な自給飼料生産の基盤安定化を進めるともに、個体の育成、良質な生乳の生産や家畜改良の促進などによる乳用牛の資質の向上を図り、畜産クラスター事業の推進をはじめ、酪農ヘルパー制度の運営、乳牛資質向上対策の支援、家畜伝染病対策などを引き続いて実施し、良好な畜産環境の維持に努めます。
堆肥センターは、JAようていが指定管理者となり、運営をしていますが、各維持経費の経費上昇や施設の老朽化による修繕により、厳しい経営を強いられており、施設維持のための作業機械の更新の検討を継続して進めます。
 
 今後も安定した生産へ向けて、経営や適正な施設管理を行うための環境整備も含め施設の将来見通しや経営内容の見直しを行いつつ、引き続き町の土づくりの根幹となる良質完熟堆肥の供給を維持します。
町集約草地は、採草地牧区の飼料生産性の向上のため、昨年に引き続き草地更新を実施するほか、補修などを行い、維持管理に努めます。

3.多様でゆとりある地域農業の確立と人材活用
 基幹作物の安定生産と重点振興作物の定着による収益性の高い地域農業の確立を目指し、国営緊急農地再編整備事業を推進します。農業生産基盤の近代化を推進するとともに、農地中間管理機構を通じて認定農業者や新規就農者への農地の利用集積を行い、計画的な農地保全の取組みを支援します。
 町、JAなどの関係機関で構成する地域農業再生協議会では、米や畑作物、水田活用等各種直接支払交付金の申請などの経営所得安定対策を担っています。農業経営の体質強化の取り組みにおいては、企業的な思考の経営管理能力を高めるため、認定農業者による先進的な経営展開や法人化を支援します。

4.地域ぐるみの担い手確保
 農業従事者不足や高齢化の進行に伴い、耕作放棄地化する恐れのある農地が存在しています。令和7年(2025年)3月を目途に、現在の「人・農地プラン」を基に「ニセコ町地域計画」の策定を進めます。地域の中心経営体となる担い手への農地集積を加速化させるため、農地の規模拡大に取り組む農業者や農地集積に協力する農業者を支援します。あわせて、青年の就農意欲の喚起と就農後の定着を図るため、新規就農予定者や青年経営継承者を対象とした給付金事業を実施し、就農しやすい環境を構築し、地域農業を担う優れた人材の育成確保に努めます。

 町独自の施策として、新規就農資金への支援などを実施し、能力を発揮し、活動できる環境づくりに努めます。
 また、国営緊急農地再編整備事業の実施に合わせて、町、農業委員会や農地中間管理機構が連携して、耕作放棄地の解消や意欲ある担い手への農地集積が円滑に進むよう、取り組みを推進します。

5. 農業と観光・商業が連携した地域産業の創造
 農業、商工業、観光業は、常に密接な関係であり、より円滑に観光事業者と商工事業者と連携し、地場産品を幅広く提供していきながら、地域ブランド化へ向けた取組みを積極的に推進します。また、緑肥作物の栽培による景観形成を今年度も積極的に支援します。
 地産地消、食育、食文化交流などの取り組みを推進し、農業者と多様な事業者が連携し、商品開発、販路開拓や新たなビジネスモデルの構築などが進められるよう、農畜産物の高付加価値化や6次産業化に必要な機械、施設の整備やソフト事業を支援し、地域と共生する多様性のある持続可能なニセコの農業を推進します。
 
6.農業委員会の取り組み
 国の方針の下、町では、人と農地の問題解決に向けて、令和7年(2025年)3月までに「ニセコ町地域計画」を策定するなどの取り組みを進めていますが、農業委員会として、そのサポートを的確に果たしていくことが求められています。
 現在、町では「足腰の強い農業の実現」を目指し、農地の基盤整備やスマート農業の導入による農作業の効率化、負担の軽減や人手の確保などの施策を進めており、農業委員会としても、農地の保有、利用の状況、農地所有者の利用の意向などを的確に把握し、「優良な農地の保全と適正な利用の調整」を図ります。

(2)観光の振興(税務・商工観光関係)

1.宿泊税の導入
 宿泊税は、持続可能な国際リゾート地としてのブランド価値向上、環境モデル都市やSDGs未来都市づくりのための取り組みを推進する財源として活用を検討します。宿泊税をどのような事業に振り分けていくか、宿泊事業者や観光関連機関との意見調整を行いながら、使途を検討、事業を実施していきます。

2.世界に「選ばれる」持続可能な観光地づくり
 新型コロナウイルス感染症が第5類に緩和され、ようやくコロナ禍からの脱却が見えてきた中ですが、コロナ禍前からの課題であった観光産業の人手不足が、コロナの感染拡大の影響もあり、深刻さは増している状況です。本町では、令和3年度(2021年度)に策定した「観光振興ビジョン」に基づき、観光版SDGsといわれるGSTC(持続可能な観光地づくり)の取り組みを進めてきました。これまでと同様に、その推進役としてニセコリゾート観光協会の体制強化や人材の集積を継続して行うとともに、国の制度を活用し、民間企業からの人材を派遣していただき、より専門的なノウハウの蓄積を推進します。ニセコエリアの広域で機能するニセコ観光圏協議会、DMO(ニセコプロモーションボード)と連携し、ニセコ地域の観光が持続するものとなるよう取り進めます。

3.観光需要の回復と観光客誘致
 新型コロナウイルス感染が世界に広まり、ニセコ地域でも訪日外国人客の来訪が大幅に減少しましたが、昨年度新型コロナウイルスが第5類に移行され、インバウンドの回復の傾向は顕著になっています。観光リゾート地として需要の回復に取組みつつ、より安全性の高い国際リゾート地であるという情報提供に努めます。

 MICE、着地型旅行整備や教育旅行の受入も引き続き取り組みを進めます。カーシェアのタイムズ社との連携の下、昨年、町内(JRニセコ駅、ニセコ町民センター)に3台の自動車を置き(夏季間)、その利用状況の実証実験を行いました。また、2月からは、タイムズ社が冬期間の実証実験も行い、年間の利用状況の把握に努めています。
 今年度も夏季間の実証実験を継続し、観光客のみならず、町民のみなさまの足としての利用状況を把握していきます。

4.観光案内、情報発信の充実
 観光案内は、ニセコに訪れる観光客のみなさまとの初めの接点となります。観光客のみなさまの意向をしっかりと聞き、的確な情報提供をすることがニセコのイメージの向上にもつながると考えます。町の玄関口でもある「ニセコ駅」や「道の駅ニセコビュープラザ」に観光案内所を設置し、多くの人にニセコ地域を楽しんでもらえるような観光案内機能の向上を進めます。
 また、ホームページ、SNSなどのメディアを駆使したプロモーション動画配信など、より効果的な情報発信を行います。観光パンフレットやマップについては、デジタル化を進めながら、環境にも配慮した、より現代の要請に合った効果的な方法により情報発信を行うことを検討します。
 
5.雪山の安全確保
 ニセコ地域では、スキー場コース外の新雪を楽しむ人たちが多いため、行政やスキー場など関係機関が連携して「ニセコアンヌプリ地区なだれ事故防止対策協議会」を設置し、この協議会を中心にスキー場の安全対策を進めています。 
 協議会では、全国初となる「ニセコルール」を制定し、冬山の雪崩事故防止対策に取り組んでいます。町では、引き続き「ニセコルール」を持続可能なルールとするため、ニセコ雪崩調査所の運営や人材育成に対し支援していきます。また、関係団体などと連携し、安全確保のための課題整理や必要な制度の整備へ向けて検討を行います。
 平成31年(2019年)に防災科学研究所と締結した連携協定に基づき、倶知安町と共に防災科学研究所が令和6年(2024年)から行うニセコエリアでの調査研究の支援を行い、雪山の安全対策に力を注ぎます。

6.観光施設の適切な維持管理と再整備の推進
 ニセコ駅前温泉「綺羅乃湯」は、経年劣化による設備の更新などが必要となっており、指定管理者と連携を密にしながら、町民や観光客のみなさまへの影響を最小限に抑えられるよう、計画的な設備更新や施設改修を行います。今年度は、館内にエアコンを設置するほか、サウナ室木部張替や腐食防止工事を行うなど、利用者が快適に利用できるように施設改修を行います。
 また、五色温泉インフォメーションセンターなどの観光関連施設においても適切な管理、運営に努めます。
 「道の駅ニセコビュープラザ」の再整備では、基本設計策定後に高規格道路(倶知安~蘭越間)が計画段階評価に移行され、その後、昨年12月に全区間で自動車専用道と決定、本年3月には「ニセコインターチェンジ」までが事業区間とされたことから、今後、ルートやインターチェンジの位置を見極めてから具体の事業に着手することとしています。
 
7.広域観光連携の推進
 ニセコ町、倶知安町、蘭越町の3町が、平成26年(2014年)に国から「ニセコ観光圏」の認定を受け、地域の魅力づくりに取り組んできました。
 本年度から、新たに策定された「ニセコ観光圏整備計画 2024~2028」に基づき、国内外からの観光客の増加を図るとともに、受入れ環境の整備向上に努めます。

(3)商工業の振興と労働対策

1.商工業の振興による地域経済の活性化
 「ニセコ町中小企業等振興条例」に基づき、持続的な中小企業等の支援をはじめ商工業の振興に努めます。ニセコ町商工会は、町内の経済活動を支える中心的な役割を担っており、町では商工業振興事業補助により総合的に活動を継続支援します。
 また、「にぎわいづくり起業者等サポート事業補助制度」をより活用しやすくできるよう見直しを行い、継続していくとともに、複数の町内事業者が連携協力して行う「ニセコ町商工観光魅力アップ事業」で、地域の多様な連携を通じて地域の魅力向上につながる取組みを支援していきます。一方で、町全体の課題である慢性的な人材不足対策として、昨年から検討してまいりました「特定地域づくり事業協同組合制度」の具体的な活用を進め、雇用促進施策と連携した人材確保の仕組みづくりを進めます。
 綺羅カード会に対しては、子育て支援事業をはじめとして、引き続き綺羅カード事業を支援します。七夕の夕べ花火大会、綺羅キラ市など、商工事業者や地域の有志が主体となって実施する事業を支援し、地域経済の活性化、賑わい再生に努めます。
 
2.新たなビジネス、起業の支援
 新型コロナウイルス感染症の第5類の移行により、民間企業による事業拡大や新規事業など、観光事業のみならず、さまざまな業種において投資や経済循環のさらなる活発化が見込まれます。特に、小規模ビジネスは、転業や起業が行いやすく、地域ニーズへの対応や地域の魅力向上に貢献しています。町では、ニセコ町商工会と連携して、引き続きワンストップ相談窓口を設置し、積極的に起業支援を行います。

3.企業等の誘致
 近年、開発や企業進出などの相談がありますが、これまで進めてきましたまちづくりに共感していただける企業に対して、秩序ある開発計画を誘致していきます。なお、本町では、「地域未来投資促進法に基づく基本計画」及び「中小企業等経営強化法に基づく導入促進基本計画」を策定し、町の特性を活かした投資等を後押しする環境を整えています。

4.人手不足の解消
 新型コロナウイルス感染症の影響により、以前より課題であった人手不足がさらに進んでいます。昨年度から、スキマバイトサービスの「タイミー社」と連携協定を締結し、人手不足解消の一助となるよう取り組みを進めてきました。
 今年度も連携協定の下タイミー社との連携を進めるとともに、国の制度である「特定地域づくり事業協同組合制度」の導入を目指します。
 さらに、今年度は町内事業者が従業員確保を目的に行う取り組みについて支援を行い、従業員・事業所人材の確保を後押しします。

5.消費生活対策
 悪質商法や消費生活のさまざまなトラブルから消費者を守るため、本町を含む近隣7町村で設置する「ようてい地域消費生活相談窓口」をニセコ町役場内に配置しています。今年度も潜在化する消費者トラブルへの対応や消費者トラブルに巻き込まれ苦しんでいる人が早い段階で解決できるよう、相談員の研修機会の確保などを行い、適切な活動ができるよう、体制の充実に努めます。

2 誰もが健やかに笑顔で暮らせるまちづくり

(1)子育て支援(保健福祉関係)

1.子育て支援事業
 出産子育て応援交付金による子育て世帯への支援は、昨年同様に行うほか、子どもの健康についても、法律に基づいた定期予防接種を引き続き実施します。また、おたふくかぜとインフルエンザ予防接種の任意予防接種は、全額公費負担とします。
 子どもの医療については、18歳までの医療費無料化と未熟児養育医療費、育成医療費の給付を引き続き実施します。
 児童手当の給付については、今年10月支給分から支給額や要件などが改正されます。詳細は随時お知らせしていきます。

2.母子保健事業
 子どもの健康診断では、母子保健法に基づく乳幼児健診のほか、5歳児健診、歯科健診、新生児聴覚検査、中学2年生を対象としたピロリ菌検査など引き続き実施します。
 また、妊婦を対象とした健康診査のほか、不育治療と新たに先進医療による不妊治療の費用について一部を助成します。妊婦と父親を対象とした「両親学級」や、出産後の母親に対する助産師の産後ケア訪問は、今年度も利用者の要望に応じて実施します。

(2)高齢者、障がい者の福祉(保健福祉関係)

1.高齢者福祉対策
 ニセコ町社会福祉協議会が実施している在宅高齢者の介護サービスや移送サービス事業は、引き続き支援を行います。また、配食サービス事業では町内の業者と連携し、高齢者への見守りもあわせて実施します。
「ニセコ町生活サポートセンター」では、認知症などにより、判断能力が十分でない人の必要度に応じて成年後見制度を利用していきます。
  高齢者が安全で安心して在宅生活ができるよう「福祉灯油扶助」や「除雪サービス事業」、「ニセコ駅前温泉入館料扶助」、「住宅改修費助成」、「緊急通報システム事業」などを継続して実施します。

2.障がい者福祉対策
 障がいを持ち、一般の就労に関わることのできない人たちの就労作業の場づくりについて、近隣の町村や事業所などと連携し、障がい者の就労機会の確保に努めます。
 法に基づく「障害者支援事業」をはじめ、障害者福祉団体への補助、「通院や通所福祉手当」、「タクシー料金扶助」、「ニセコ駅前温泉入館料扶助」、「住宅改修扶助」、「重度障害者医療給付」、「地域活動支援センター運営費補助」なども継続して実施します。

3.介護保険、介護予防事業
 介護予防事業では、将来、介護が必要にならないようにしようと「すこやか健康教室」や「貯筋教室」を継続して開催します。また、在宅での生活を支援する「声かけ訪問」も引き続き行います。
 町単独事業の「生きがい活動支援通所事業」と「軽度生活援助事業」は、対象者の状況に応じ実施します。また、ニセコ町社会福祉協議会が行う健康づくり事業への支援を行います。
介護保険事業は、後志広域連合で保険料の賦課徴収やサービス給付費の支払いを行っており、町はこれらに事業に係る負担金を支出しています。
 また、紙の保険証は、制度改正により今年12月で新規発行が停止となりますが、7月に更新する保険証は1年間有効となる予定です。

(3)健康づくり(保健福祉関係)

1.健診・疾病予防対策
 本町が実施する健診事業は、例年どおりのスケジュールを予定しています。がん検診については、乳がん検診は40歳から60歳まで、子宮がん検診は20歳から40歳までの節目の年齢の人に無料クーポン券の配布を引き続き行います。
 そのほか、町内各地区の保健委員に参加いただき、疾病予防や健康づくりの勉強会を行い、啓発活動を進めます。
 
2.エキノコックス駆除対策
 エキノコックス駆除対策は、町民有志によるボランティアの協力を得て、平成21年度(2009年度)から実施しています。毎年5月から11月までの月1回、ベイト(虫下しを混ぜたキツネの餌)の散布を行っており、大きな成果を上げています。このベイト散布により、令和5年度(2023年度)の虫卵陽性率(キツネの糞に虫卵があった割合)は、0%となっています。

3 環境に優しいニセコの創造

(1)自然環境の保全と環境対策(企画環境、町民生活、都市建設、上下水道関係)

1.自然環境、水資源の保全
 豊かな自然環境を保全するため、「ニセコ町環境基本条例」などに基づいた多様な取り組みを推進するとともに、「環境基本計画」、「地球温暖化対策実行計画」、「ニセコ町脱炭素アクションプラン」、「一般廃棄物処理基本計画」などに位置づける施策の実施と検証を通して、町の恵まれた自然環境を守り育てるとともに、これらの取り組みを経済活動に結びつけるよう努めます。
 水道水源保護条例による水道水源地周辺の一定の開発を規制するとともに、引き続き良好な環境の維持を図ります。
 「地下水保全条例」の下、地下水の大量採取による枯渇や地盤沈下などを防ぐために、適正な規制を継続して行い、地下水の保全に努めます。

2.景観づくりと秩序ある開発誘導
 これまで、都市計画法に基づく準都市計画及び景観条例により、一定の面積を超える建築物や開発事業について、景観形成基準等により開発誘導を進め、ニセコらしい景観を守り続けてきました。近年の開発事業の状況を踏まえ、建築ガイドラインに基づき景観条例の一部を改正し、引き続き制度の適正化に努め、良好な景観づくりを進めます。

3.廃棄物対策
 町では、今後の廃棄物処理における長期的かつ総合的な指針となる「一般廃棄物処理基本計画」(令和6年度から令和15年度)を策定し、合わせて災害時の廃棄物を迅速に処理するために、必要な事項などを定める「災害廃棄物処理計画」を策定しました。
 環境に配慮した循環型社会の構築に向け、町では、ごみのリサイクル等を積極的に取組みながら、適切な廃棄物処理対策を進めます。
 現在、町が処理をしている事業系ごみについては、廃棄物処理法に基づき、排出事業者責任において適正な収集運搬と処理体制の構築が可能か、若しくは、料金改定による多大な町負担の軽減が可能かの検討を進めます。
 また、指定ごみ袋を使用しない処理負担料金は、適切な価格に変更します。羊蹄山麓7町村による「可燃ごみ」の固形燃料化処理については、平成27年(2015年)の本稼動から9年が経過しました。これまでは、分別ルールの見直しなど、大きな変更を行っていませんが、固形燃料化処理施設の運営が適切に行われるよう、関係町村と連携や協議をしていきます。
 人口、世帯の増加や経済活動の活発化による町内のごみステーションの増設や移設などの要望などに適切に対応していきます。
 排出される不適ごみ対策では、各ごみステーション利用者などとの連携による対策の強化を図りつつ、転入者や外国人、民泊などの事業者に対して適正な排出に向けた説明、周知を強化していきます。ごみの分別への理解とリサイクルの推進のため、「ごみ分別アプリサービス」の利用についてさらに周知していくとともに、悪質な不適ゴミや不法廃棄物は、排出者の特定をし、警察と連携して注意や指導などの取組みを進めます。
 また、新たにゴミの持ち込みができる施設が、令和5年(2023年)11月に設置され、利便性の向上が図られています。
 燃やさないごみの減量化対策として、今年度も使用済小型家電の回収リサイクルを実施します。

4.衛生対策
 ニセコ斎場では、火葬業務の円滑な運営と適切な維持管理を行います。さらなるサービスの向上を目指して、改善に努めます。
 し尿処理は、広域連携による羊蹄衛生センターの維持負担を継続するとともに、老朽化した羊蹄衛生センターの施設更新に向けて、「施設整備基本計画」策定の協議を構成町村などと行います。
 し尿と生活雑排水を処理する合併浄化槽の設置に対する助成事業は、くみ取りや単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換に対してのみへの助成に改め、国の交付金を活用しながら、補助金額を増額して、合併処理浄化槽への転換を推進し、生活環境の向上と水環境の保全を進めます。
 町が所管する墓地は、周辺環境に配慮した適正な管理に努めます。

(2)自立型省資源社会への転換(企画環境、都市建設関係)

1.環境モデル都市の推進
 ニセコ町脱炭素アクションプランは、経済活動の活性化と温室効果ガスの排出抑制の両立を基本目標とし、公共のみならず、観光、農業、小売業、交通、家庭などの分野に広く関わる計画です。温室効果ガスの排出抑制には、行政や町民のみならず、民間事業者との連携が不可欠です。
 関係団体と連携し、ゼロカーボンの実現に向けて、アクションプランに基づく取り組みを推進していきます。
 
2.温室効果ガス削減に向けた条例の制定と気候変動への適応
 町では、温室効果ガス削減を進めるため、太陽光発電など再生可能エネルギー事業を行う事業者に対し、事前届出と住民説明を義務付けた「再生可能エネルギー事業の適正な促進に関する条例」を制定し、令和4年(2022年)4月から運用を始めています。
 また、平均気温の上昇、短時間強雨の増加、災害の激甚化や新たな感染症の発生といった、気候変動の影響に適応していくため、「ニセコ町気候変動適応方針」を定め、町の取り組みの方向性を明らかにしています。
 町内で排出する温室効果ガスの約7割が建物由来であることから、本年度は、建物を新築する際に、省エネ性能の高い建物に誘導することを主な内容とする「ニセコ町気候変動対策推進条例」の制定を目指すこととしており、これらの条例の施行によって、温室効果ガスのさらなる削減を推進していきます。また、「自転車の適切な利用を促進する条例」推進の一助として、町産のカラマツ材を活用した木製の自転車スタンドの設置を進めます。
 
3.NISEKO生活・モデル地区構築事業とまちづくり会社の設立
 「SDGs未来都市計画」に位置づけたNISEKO生活・モデル地区構築事業「ニセコミライ」では、町の慢性的住宅不足や町民の住み替え意向に対応するため、温室効果ガス削減など、SDGsの視点に基づき、環境面に配慮した街区整備を行っています。
 今年度は、実施主体の「株式会社ニセコまち」による第一工区内の建築工事を引き続き進める予定となっており、道路、上下水道、防火水槽、街路灯などの生活に不可欠なインフラ整備は、町で行います。
また、高性能化や脱炭素化を担保したまま住宅価格や家賃の低廉化を図るための実証事業への支援を行います。

4.住宅エコ改修への助成
 町内における環境負荷低減を目的に、家庭からの二酸化炭素排出量の削減とより快適な住環境づくりを進めるため、住宅省エネルギー改修促進補助事業を実施しています。窓の断熱改修などの省エネルギー改修工事(50万円以上)の費用の一部を助成します。

(3)林業の振興(農政関係)

 「森林経営計画」に基づき、森林の持つ多面的機能を重視した森林づくりを目指します。
 また、森林組合などと連携しながら、民有林において、計画的な植林に対して「豊かな森づくり推進事業」による支援や、除間伐を促進するために、町独自の除間伐奨励事業による支援を継続します。
 昨年設立した「株式会社ニセコ雪森考舎」と協力し、町内外関係者との連携をしながら、地域の森林資源を循環的に利用するため、町民への木育の推進、人材の育成を行うほか、町産材による木製品の製作やSDGs街区などへの木材の供給などを進めます。

 町有林については、峠地区で、間伐を行うほか、昨年度植栽したクリーンラーチの下刈りなどを行います。また、新たに北海道が事業主体となって行う桂台地区の林業専用道ニセコ桂台線(4,900m)の開設に係る事業費の一部を負担し、森林の持つ多面的機能の維持や増進に努めます。
民有林の活用を含めた森林資源利用による循環型社会構築への協議を加速させていきます。
 

4 豊かな心と個性ある文化を育む

 前年度の総合教育会議において、町長が教育委員会に提案、教育委員と意見交換した項目の主なものは、下記のとおりです。
 教育委員会制度、教育関係予算、子どもの居場所づくり、ニセコ高校の今後のあり方、高校寮の整備、学校施設の利活用、文化芸術と触れ合う機会の創設についての基本的な考え方などです。
 今後とも、教育委員会の取り組みが円滑に進むよう連携を行っていきます。

(1)教育環境の充実、文化とスポーツの振興(教育関係)

教育行政執行方針による。

(2)コミュニティ活動と国際交流の推進(町民生活、企画環境関係)

1.ニセコ町民センター、コミュニティ施設の利活用
 町民活動の拠点となるニセコ町民センターを良好に運営するため、適正な維持管理を行いつつ、利用者の利便性の向上を図ります。また、西富地区町民センターは、西富周辺地区におけるコミュニティ活動の推進や防災時の拠点としての活用を進めます。地域のコミュニティ施設も、多様な地域活動の拠点として、有効利用が図られるよう、適正な維持管理に努めます。
 中央倉庫群は、指定管理者制度により運営され、町民のみなさまの憩いの場として活用されています。特に、子育て世代の交流の場を提供する施設として活用されることに加え、地域おこし協力隊の活動に対する支援調整施設となっています。移住、定住窓口の機能やテレワーク施設としての機能も合わせ持っており、今後も町民のみなさまに親しまれる施設として、引き続き施設機能の充実を進めていきます。

2.まちづくり、地域づくり活動の推進及び支援
 町では、自治会活動など、地域コミュニティの役割は極めて重要と考えており、住民自らが考え行動する自立した地域社会の構築へ向けて、地域自治振興交付金制度(本年度増額)の運用などにより、引き続き自治会活動や地域コミュニティの形成を支援します。
 集落再編により指定管理者制度で運営、管理している地域コミュニティセンターは、施設と設備の改修や駐車場の除雪などを支援し、施設の利便性の向上を図りつつ、指定管理者の負担軽減策を講じていきます。
 
3.国際交流の推進
 町内におけるグローバル化に対応し、国内外に向けて町の情報発信を積極的に進めるため、日本文化に詳しくかつ日本語能力の高い海外青年国際交流員(CIR)を引き続き5人配置(人数増も検討)し、町内グローバル化と多文化共生を、町民のみなさまの協力の下で進めていきます。
 また、国際交流員がやりがいを持ちながら活動を継続できるよう、それぞれの意向や個性を考慮し、国際交流の機会が町内で広がるよう、その環境づくりをサポートしていきます。なお、これまで本町の国際化を支援頂いてきた国際交流員の派遣元となる自治体国際化協会に対して、新年度から職員を1名派遣することとしています。

5 安全で安心な暮らしを支える

(1)防災対策の強化(総務、消防関係)

1.防災体制の強化
 本町は、「ニセコ町地域防災計画」に基づき、町民の生命と財産を守るための「防災・減災・国土強靭化」対策を継続して推進します。
 近年、能登半島地震をはじめとして、全国各地で過去に経験の無い大規模な自然災害が頻発し、甚大な被害をもたらしています。本町においても緊急時における災害対応体制を整備し、町民のみなさまへの情報伝達、避難措置などを迅速かつ確実に行うため、防災訓練や研修会などに職員が参加し、災害対策の実務能力を一層高めていきます。
 
 町内の各自治会などによる自主防災活動の基盤づくりのため、防災に関する研修、実技訓練などを企画し、地域に根ざした自発的な防災対策の醸成に努め、行政と町民の協力による地域防災力の向上を目指します。あわせて、災害発生時に必要となる防災資機材の備蓄も引き続き進めます。
防災センター機能を有する役場庁舎は、防災対策の拠点として、町民のみなさまの安心で安全な暮らしに貢献するとともに、町民のみなさまが気軽に利用することができるよう、親しみやすい庁舎となるように心がけます。
 消防力の強化では、平成24年度からスタートした「消防力整備10年プラン」を基本に、引き続き住民のための消防力を高めるために救急・消防力の向上を目指します。

2.災害対策本部等の拠点
 役場庁舎は、非常時に対応できるよう防災備蓄庫の整備や空調熱源を電気、ガス、灯油などに多元化し、非常用発電機を設置するなど、防災機能を十分に備えた、安心と安全、暮らしを守る防災拠点として、その機能を十分に発揮できるよう、引き続き体制などを整備していきます。
 今年度は、旧庁舎の跡地にニセコ消防庁舎、防災備蓄倉庫や防災車の駐車場などの建設を検討するため、実施設計を実施し、庁舎の建設に着手します。

3.原子力防災対策
 福島第一原子力発電所事故対策の検証に注視し、原子力災害の特殊性や重大性に鑑み、実効性ある原子力防災計画の確立に努めます。町民のみなさまの生命、身体、財産を守るために適切な準備を行い、原子力災害時の避難に伴う周知や啓発に努めます。
 原子力防災訓練では、より実践的な訓練項目を取り入れながら、国、北海道、関係自治体と共催し、継続して実施していきます。
 泊発電所の安全対策や地域の防災体制の強化に国、北海道、近隣町村などの関係機関とともに、緊急時に適切な対応が行えるよう、原子力防災対策に取り組みます。

(2)情報基盤の充実(企画環境、総務関係)

1.広報広聴活動の充実、コミュニティFMの推進
  まちづくり基本条例の基本理念である情報の共有を進めるため、広報誌、町公式ホームページ、フェイスブック、ツイッター、noteやLINEなどの情報提供手段の充実に努めてきました。令和5年度(2023年度)には、新たにSNS「インスタグラム」の活用を始めました。

 まちづくり懇談会、まちづくりトーク、こんにちは(おばんです)町長室などの事業を継続しつつ、広報広聴検討会議での意見を取り入れながら、多様な広報広聴活動を展開します。

 町民参加による地域密着型の放送局である「ラジオニセコ」は、放送体制の充実を図るために、社員研修の実施や放送設備の更新など、持続可能な運営体制を確立すべく、町としても継続して支援を行います。
災害時における被災情報を確実に提供するため、役場屋上に予備送信所の設置工事を行います。

2.社会保障・税番号制度導入への取り組み
 マイナンバー制度は、社会保障・税制度の効率性を高め、国民にとって利便性の高い社会を実現するための社会基盤となります。引き続き、国、北海道などの関係機関と連携しながら、必要とする事務手続きを行い、適切な制度運用を行います。

3.情報セキュリティの強化
 国(総務省)が求める自治体情報セキュリティ強靭化対策に対応するため、平成29年(2017年)2月から完全分離した、個人番号利用事務系ネットワーク、LGWAN接続系ネットワーク、インターネット接続系ネットワークの運用を行っています。
 今後もセキュリティ強化のため機器の保守や更新などを計画的に行います。

(3)住環境の整備と定住促進(都市建設、企画環境関係)

1.移住・定住促進
 国立社会保障・人口問題研究所のデータを参考にした人口推計では、本町においても令和12年(2030年)以降は、人口減少へ転じることが見込まれています。より効果的な移住、定住対策を推進するため、首都圏に主眼を置いた情報発信などの施策を進めます。

 まちづくり基本条例第50条に、「町外の人々の知恵や意見をまちづくりに活用するよう努める。」と定めており、従来から、本町に関心のある町外の人たちとの連携を進めてきました。今後も「関係人口」の拡大を図るとともに、「ふるさと住民票」の登録者との交流を深め、新たな視点によるまちづくりへとつなげていきます。

 地域おこし協力隊を引き続き採用し、地域課題の解決に向けて積極的に実践ができる人材を求めることとしています。採用後は関係施設などに派遣しながら、隊員の卒業後の自立や地域課題解決に向けた取組みを主体的な活動へと移行できるよう、支援していきます。また、集落支援員も配置し、まちづくりの課題解決に向けての取り組みを進めます。

2.住宅確保のための政策
 町内では、民間による住宅整備が進んでいますが、それを上回る人口と世帯数が増加しているため、未だに充分な住宅が供給されていない状況です。住宅のミスマッチや住宅不足の解消のため、民間集合住宅を促進する賃貸住宅への補助制度を継続して実施します。また、これらを支える水道供給能力の向上にも早急に取り組みます。
 公営住宅では、「ニセコ町長寿命化計画」や「ニセコ町住生活基本計画」に基づき、中央団地5号棟の長寿命化型複合改善工事などを実施します。

(4)道路交通網の整備(都市建設、町民生活関係)

1.道路の整備
 町道の整備は、「町道元町四線通改良舗装工事」(L=480m) や「町道役場前通実施設計(L=300m)の委託業務を実施します。
 橋梁では、昨年に続き「橋梁長寿命化点検委託業務」(12か所)のほか、新たに「町道真狩川沿線小川橋補修工事」を実施します。
 また、前年度に引き続き、林道小花井線の法面補修工事を実施します。

2.道路の維持管理
 「ニセコ町道路維持個別施設計画」に基づき、財源となる起債等の活用を図りながら、適正な道路維持管理に努めます。また、道路の草刈、側溝の清掃、砂利道の補修や冬期間の除雪では、民間事業者に委託し、実施します。
 生活道路(私道)への除雪補助と除雪機械等運転免許取得支援事業の継続的支援を行います。

3.交通安全・防犯対策
 交通事故や犯罪のない生活を送ることは、町民すべての願いです。安心で安全なまちづくりを目指し、警察などの関係機関をはじめ、各団体、学校、家庭などと幅広く連携し、交通安全活動の推進と防犯意識の高揚に努めます。特に、児童生徒の通学路などの道路の安全対策は、交通安全指導員などによる街頭指導に加え、標識、信号機などの交通安全施設の整備に向けて、関係機関との協議を進めます。
 交通安全灯や防犯灯の設置では、環境に配慮した街路灯を整備するとともに、各自治会で設置するための経費や電気料(本年度補助率の増)への助成を継続して行います。
 防犯対策として、防犯意識の向上を促す啓発運動などを実施し、犯罪のないまちづくりを推進します。

(5)地域交通の確保(企画環境、教育委員会関係)

 ニセコ町内の持続可能な交通体系を構築するため、令和6年(2024年)3月に交通政策のマスタープランとなる「ニセコ町地域公共交通計画」を策定しました。この計画の基本理念は、「移動の自由を未来へ」で、町内で生活する町民は勿論のこと、町を訪れた観光客や関係者のみなさまが、極力自由に移動できる環境の構築を目指すものです。
 この計画に基づき、令和6年度は町内のデマンドバス交通のシステムを見直し、DX(デジタルトランスフォーメーション)・AIを活用した新たなデジタルデマンドシステムの導入を図るとともに、増便の検討を行い、町民や観光客の利便性を高めます。また、倶知安町と連携して路線バス運賃(ニセコバス)におけるキャッシュレス化を推進します。

 昨今話題となっている国が進めるライドシェアにおいては、町内の福井地区で既に実践しているニセコ町版ライドシェア(福井地区の助け合い交通)での導入の可能性についての検討を行います。
 令和5年度(2023年度)の冬季期間に実施したタクシー不足解消事業、通称「ニセコモデル」では、実証結果からその有効性が明らかとなり、令和6年度(2024年度)でも、事業の継続と拡大を進めていきます。

 北海道新幹線札幌開業に向けて、並行在来線廃止後の「長万部~小樽間」の区間は、令和4年(2022年)3月の北海道新幹線並行在来線対策協議会後志ブロック会議で「バス転換方式」とする方針を確認し、現在民間バス事業者と検討を進めているところです。
 今後は、将来的な広域交通体系の変更に適応した地域交通を確保するため、国や北海道、沿線自治体で協議を進めていきます。
 高速道路は、昨年、北海道横断自動車道の「蘭越と倶知安間」が計画段階評価が行われ、本年3月ニセコインターチェンジまでの事業化が決定しました。今後は引き続き「黒松内と蘭越間」の調査の促進を国に要望していきます。

(6)都市計画(都市建設関係)

 ニセコ綺羅街道は、2002年度(平成14年度)に整備され、統一感のある街なみが形成されました。この街なみを維持するため、商店を営む人などに対し「突き出し看板」の製作費を補助します。
 今後、高齢化が進み、空き家等が放置され、管理不全となる建物が増加することが予想されます。町内の景観を阻害している廃屋や空き家の撤去、別荘空き家の利活用など、空き家対策の検討と強化に向け予防対策を進めていきます。
 

6 未来を見据えた行財政の基盤づくり

(1)自治創生の推進(企画環境関係)

 人口減少社会を迎えるにあたり、直面する課題に対応するため、「まち・ひと・しごと創生法」に基づき、重点的に取り組むべき具体的な施策をまとめた「ニセコ町自治創生総合戦略」を策定しています。
 地域資源を生かした産業の育成と多様な働き方を実現できる環境や安心して住み続けることのできる生活環境の整備、交流人口や関係人口の拡大などを進めます。また、持続可能なまちづくりを進めるため、株式会社ニセコまちとの多様な連携事業を継続し、企業版ふるさと納税などにより関係人口を拡大させるとともに、再生可能エネルギーの普及拡大などの方策の検討を進めます。

(2)総合計画によるまちづくりと戦略的な行財政運営(企画環境、総務、税務、町民生活、都市建設関係)

1.新たな総合計画の運用
 「環境創造都市ニセコ」を掲げる第5次ニセコ町総合計画は、12年間の長期計画として策定し、令和5年度で終了しました。
 新しい第6次総合計画はニセコ町の最上位計画として、今年4月から同じ12年間でスタートします。計画の基本理念は「こども未来共創都市ニセコ」で、次の5つの基本目標を定め実装していきます。1つ目に「ニセコの自然環境を守る」、2つ目に「みんなで学びあい、未来につなぐ」、3つ目に「ニセコの経済を循環させる」、4つ目に「安心・安全の暮らしやすさを高める」、5つ目に「相互扶助のまちをつくる」です。これらの基本目標の達成を目指し、町のさまざまな個別計画と連動しながら、計画を進行させていきます。

2.戦略的な行財政運営
 国の「地方財政計画」や町の「財政計画」に基づき、適切な行財政運営を進めます。地域経済を支えるため、積極的な行財政運営を考慮しつつ、限られた財源の中で最も効率的で効果的な事業の検討や実施が必要となっています。事務事業の効率化を進めるため、随時業務の洗い出しを行いながら、効率的な業務改善に努めます。また、自主財源の確保も極めて重要な課題であることから、観光振興や環境対策に充当する目的税として、令和6年度(2024年度)11月に宿泊税の導入を目指します。

 ふるさとづくり寄付では、令和3年度からポータルサイトの契約数を増やし、地域産品の一層の充実強化を図ってきました。また、企業版ふるさと納税の活用を図り、事業財源の確保とニセコ町のまちづくりに共感する企業との多様な連携と協力関係の構築に努めます。

3.町税等収納対策の強化
 本町ではここ数年来、町税収納対策の推進や職員の人材育成、スマートフォンアプリをはじめとした納付環境の充実などにより、高い町税収納率を維持する体制を整えることができました。このほか、税の賦課徴収事務を通して、生活に困っている可能性がある世帯を早期に見極め、福祉部門などをはじめとした関係部署との連携を図る視点や対応も積み重ねてきました。
 今後は、税の収納対策で培った知見をさらに向上させるとともに、使用料や料金など、税以外の公金にも収納に関するノウハウを継承し、将来的に全ての公金を一元管理する可能性への検討を始めます。

 また、デジタルトランスフォーメーションをはじめとした世の中の仕組みの変化は、行政の中でも特に公金を取り扱う部署は迅速な対応が求められます。このことから、将来を見据えて情報を機敏に収集して対応できるよう、組織力の強化と知見向上に努めます。
 このほか、令和6年11月からの導入を目指している宿泊税においても、特別徴収義務者となる宿泊事業者のみなさんが円滑な対応ができるよう、徴収や申告納入の手続きなどをきめ細やかに周知するとともに、導入前までに事業者の不安を極力取り除けるよう対応していきます。

4.戸籍住民票事務
 戸籍、住所、印鑑の登録などの届出とその証明、個人番号カード(マイナンバーカード)に係る事務では、関係法令に基づき適正な処理を行いつつ、個人情報の保護に努めます。
 転入時の手続きの簡素化のため、令和3年(2021年)3月から導入した「異動受付支援システム」を活用し、庁舎滞在時間の短縮を図ります。また、マイナンバーカードを利用したコンビニでの住民票、印鑑証明書の交付や戸籍証明等を最寄りの市町村窓口で請求することができるなど、住民の利便性の向上に努めています。

 人権擁護の取り組みでは、日本国憲法の基本理念である基本的人権を尊重する立場から、法務大臣から委嘱された人権擁護委員が主体となって、小学校において人権教室の開催などの活動を行っています。新型コロナウイルスへの感染などによる差別など、多様化、日々変化する社会情勢に対応しながら、命の大切さと人権擁護の啓発に努めます。

 国民年金事務では、被保険者や年金受給者の申請、各種届出書類の提出について、年金事務所と連携しながら、円滑な事務の執行に努めます。

(3)計画的な公共施設管理(総務関係、全庁共通)

 過去に建設された公共施設などが、これから更新時期を迎える一方で、地方公共団体を取り巻く財政環境は依然として厳しい状況にあります。令和4年度(2022年度)に新たな「公共施設等総合管理計画」を策定し、本計画に基づき、引き続き公共施設の更新、維持管理を行い、財政負担の軽減に努めます。
 なお、計画の推進にあたっては、ライフサイクルコストの削減とともに、環境への負荷の低減という視点も考慮します。このため、「第4次ニセコ町地球温暖化対策実行計画(事務事業編)」を基に、CO2排出量の削減に向け各課一丸となって、継続的に公共施設の管理を進めていきます。

(4)今後の町のあり方(総務、企画環境関係)

 後志広域連合では、税の滞納整理、国民健康保険、介護保険、行政不服審査会の事務が行われています。また、令和4年度(2022年度)から5年を計画期間とする第4次後志広域連合広域計画が策定されており、本町としても関係町村との連携し、広域事務処理の円滑実施と効率化を進めます。

このページの情報に関するお問い合わせ先

ニセコ町役場
TEL:0136-44-2121
FAX:0136-44-3500