守りの経済から攻めの経済へ

 地域経済の活性化を図るため、本町の豊かな自然環境を生かした産業の育成に努め、農業・観光業・商工業の連携による内発的経済の振興と事業所の誘致、創設支援など、新たな雇用の場の拡充に努めます。

(1)農業と畜産業の振興

TPP11及び日EU・EPAが発効され、日本の営農環境が大きく損なわれる可能性を有する転換期を向かえ、ニセコ町や北海道の農業全体への影響は、なお不透明な状況となっています。また、さらなる外圧ともなる米国との二国間貿易協議や米国のTPP復帰の可能性などを考慮すると、日本の農業の行く末がより厳しくなるものと想定されます。一方、地球温暖化による気象の変化や、日本で大災害が続いている状況など大きな気候変動は、営農環境に少しずつ影響を及ぼす事態となっており、ニセコ町においても昨年6月の長雨による農作物の収量の減少など、その影響は多大であります。これら変動する気象条件への対応も喫緊の課題として取り組んでいかなければならないものと考えております。今後は、農業経営体の体質改善のみならず、環境に適した農業経営や多様な販売など、様々なリスクへの対応が不可欠となっています。

 国では、平成29年11月24日に決定した「総合的なTPP関連政策大綱」により「輸出促進によるグローバル大国」、「国内産業の競争力強化」、「農政新時代」という柱を立て、農産物の輸出促進、TPP等を通じた国内産業の競争力強化、体質強化対策などの取り組みを進めようとしています。この方針により、日本の農業者に営農の変革を求め、成長産業としての農業への転換を推進しているところです。

 本町においても、国の制度を適切に活用しつつ、農業の経営環境の整備や経営の体質強化など、農業者自らが将来の自らの農業を見通すことができ、ニセコらしさを失わない、未来ある農業に転換していくことが重要と考え、町としても、積極的な支援をしていきます。特に、本町農業の特徴である農産物の多品目生産性を活かし、一大消費地でもあるリゾート地を有する強みを活かした農業経営への転換も重要だと考えております。

 さらに、しっかりとした輪作体系の確立と、天候不順などの経営リスクが分散できるような営農計画の作成も重要と考えており、関係機関と協力しながら対策を講じていきます。
 また、農業分野での人材不足が顕著となっており、人材育成や人材確保への取り組みも不可欠となっており、出入国管理法の改正に伴う農業分野への外国人労働者の受け入れなども注視しながら、どのような方法による改善が望ましいのかを見極めながら、関係機関と連携を図り、農業人材の確保へ向けた取り組みを検討していきます。

 6年目を迎えた国営緊急農地再編整備事業については、引き続き予算の確保と円滑な事業の推進を最重点施策に据え、通年施工促進の農業経営高度化促進事業などの事業制度の活用を図り、農業経営の効率化、大規模化により、農業経営そのものの体質を強化するとともに、土壌診断によるバランスのとれた土づくりを目指すなど、ニセコ町の特色を生かした農業経営ができるよう取り組みを進めます。

 また、引続き優良農地の保全に努め、ニセコ町らしい農業づくりを進めていくため、平成31年度も、国の農業支援制度を活用しつつ、時流に翻弄されない力強い農業、環境に調和した安全で安心な「クリーン農業」、農地の利用集積や農業基盤の整備、収益性の高い営農の促進、担い手育成対策、6次産業化の推進など、農家所得向上への取り組みを進めます。
 
 また、イエスクリーン米栽培支援制度の継続とともに、完熟堆肥助成や緑肥作物の奨励、土づくり対策、観光と連携した地場産品の地域ブランド化対策、6次産業化支援、新たな栽培技術の導入支援などを引き続き実施します。

(2)観光の振興

昨年9月に発生した北海道胆振東部地震では、本町においても丸1日間の停電が発生し、住民のみならず観光客も大きな困難に直面することとなりました。9月は秋の観光シーズンであり、前年を上回る入り込みが見込まれていましたが、多くのキャンセルを受け、関係事業者は大きな打撃を受けております。
 しかしながら、その後直ちにニセコエリアでPRビデオを作成し、メッセージを発信するなど、関係団体、各事業所の積極的な行動や北海道ふっこう割などが実施されたことにより、落ち込みを最小限に留めることができました。

 入込客数については、ここ数年横ばいが続いており、平成29年の総数は167万人、延べ宿泊数は63万泊。うち訪日外国人客数は1万3千人、延べ宿泊数は21万8千泊になっています。日本政府観光局の統計によると平成30年の訪日外客数は3,119万人を越えており、今後の目標値として平成32年には4,000万人、平成42年には6,000万人としており、引き続き観光客の受け入れ環境の整備は急務となっています。
 
 倶知安町、蘭越町と共に広域で取り組んでいる「ニセコ観光圏」は、当初計画の5年を経過し、人材育成やプロモーションなどエリアでの連携は進みましたが、地域内交通の充実などの課題は未解決となっています。3町では引き続き連携を維持しながらDMC(Destination Management Company:デスティネーション・マネージメント・カンパニー)、DMO(Destination Management Organization:デスティネーション・マネージメント・オーガニゼーション)機能の整備強化に取り組み、課題解消に努めてまいります。
本町の昆布温泉・モイワ地域は、国から国民保養温泉地に指定されており、地域の重要観光資源である温泉の活用や、自転車を活用した夏季の魅力アップについても、エリア全体で連携しながら取り組みを進めます。

 この他にも、各団体等が主催するニセコハロウィンなどのイベント実施や、観光振興に資する各種事業の支援を行うとともに、雪崩事故防止対策としてまた、冬のニセコ観光を支えている大変重要な「ニセコルール」の運用についても関係機関と連携をして取り組んでいきます。
 さらに、道の駅「ニセコビュープラザ」の改修等について検討を進めるとともに、ニセコ駅前温泉「綺羅乃湯」、「ニセコ町五色温泉インフォメーションセンター」などの観光関連施設の適正管理に努めます。

(3)商工業の振興と労働対策

近年、ニセコエリアでの投資は、観光事業のみならず商業施設にも及び、その経済波及効果は広がりを見せつつあります。また、事業所の増加に伴い、働き手の不足や住宅の不足が顕著となっています。
 町ではこれらの状況を踏まえ、U・Iターンなどの移住促進と併せ、関係機関と連携しながら働き手の確保PRに取り組むこととしています。
 また、商工会、国や金融機関などと連携したビジネスセミナーの開催や起業相談窓口の運用などの小規模起業への取り組みを継続して支援し、事業者の多様性と地域の魅力アップを図るとともに、引き続き企業誘致に取り組み、地域内で不足するサービスの確保や域内経済基盤の拡充を図ります。

 この他にも、ニセコ商工会では新たに「まちゼミ」を実施し、商店と客とのコミュニケーションを活性化させることで、顧客の取り込み強化を図ることとしており、町としても支援をしていきます。また、引き続き綺羅カード会が実施する「キッズカード事業」への支援を行うなど、地域商店と消費者、観光事業者との接点を増やし地域内消費拡大にも取り組んでまいります。

 さらに、不当な勧誘等によって住民のみなさまが苦しむことがないよう、消費者行政活性化基金を活用して羊蹄山麓7町村で設置した「ようてい地域消費生活相談窓口」については、消費者が抱える個別具体の案件を解決することに大きな効果を発揮しています。本年も引き続き関係町村と連携して、消費相談窓口の一層の活動PRと相談業務の充実を図ります。

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ニセコ町役場
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