重点政策の展開

重点となる6分野の政策展開について申し上げます。

1 コロナ禍に対応しつつ、持続する地域経済の確立へ

 ニセコ町の豊かな自然環境を活かした内発的産業の育成に努め、農業・観光業・商工業の連携ならびに、地域に賦存するエネルギーの利活用と経済の域内循環を推進します。また、まちづくりの理念を共有し、共感できる企業、大学、研究機関等との多様な連携により、地域経済の自律に向けて取り組みを進めます。
 

(1)農業と畜産業の振興

 農畜産業を取り巻く環境は、TPP11をはじめとする国際貿易協定の締結により日本の農畜産業の先行きが見通せないこと、さらには地球温暖化や国内での自然災害による影響、加えて、一昨年来の新型コロナウイルス感染拡大による飲食産業の需要の低迷、国際輸送の混乱による原油・資材等の高騰などにより、農業を取り巻く状況は大変厳しいものとなっています。

 国の農政においては、「食料・農業・農村基本計画(令和2年、2020年策定)」による「食料の安定供給の確保」、「農業の持続的な発展」、「農村の振興」の3本の柱とともに、国の「カーボンニュートラル宣言(2050年目標年)」を受け、令和3年(2021年)に「みどりの食糧システム戦略」が決定されました。この戦略では、2050年までに国内の農林水産業の「1.CO2ゼロエミッション化、2.化学農薬の使用量を50%低減、3.化学肥料の使用量を30%低減との環境負荷軽減」に向けた取り組みが進められています。

 ニセコ町においては、こうした国の農業政策を見極め、これまで築いてきたクリーン農業と土づくりを基礎とした輪作体系の確立による循環型農業および、天候の影響による経営リスクの分散に加えて、本町農業の特徴でもある多品目生産が可能な技術力と、観光消費地を有する強みを活かした消費流通のネットワークの拡充に取り組んでいきます。
 また、あわせて、不足している農業従事者の確保対策や農作業の軽減、効率化機械の導入が急務となっており、国の制度を活用しつつ、農業者自らが将来を見通した農業経営をすることができるよう環境整備を進めてまいります。

 令和4年度も、現在進められている国営緊急農地再編整備事業の円滑な実施、優良農地の保全に努め、環境に調和した安全で安心な「クリーン農業」の推進、農地の利用集積、農業基盤の整備、収益性の高い営農の促進、担い手育成対策、6次産業化の推進など、本町農畜産業が将来にわたって多様性を持った基幹産業として持続発展できるよう取り組みを進めます。
 

(2)林業の振興

 環境モデル都市の本町が「ゼロカーボン」を達成するためには、町有林、民有林をはじめとする森林資源の活用、豊かな森林の再生に早急に取り組まなければなりません。

 本年は、令和3年度(2021年)に策定した「森林ビジョン」を推進する中核組織として、現在検討中の制度設計が固まり次第、地域林業商社を設立し、森を育て、森に親しみ、木材を域内で活用する「ニセコ共生循環の森林づくり」に着手をする予定です。

 また、森林の保全および資源活用の支障となっている「所有者不明土地」については、希望する自治体に所有権を移転する法制度の創設を国に対して引き続き要請していきます。
 

(3)観光の振興 

 ニセコ町での令和2年度(2020年度)の入込客数は約94万人(前年度比約54%)、延べ宿泊数は30万人泊(前年度比約64%)で、このうち訪日外国人は、200人を下回る結果となっています。令和3年度(2021年度)は、2度の緊急事態宣言と4度のまん延防止措置により、観光関連事業者はさらに厳しい状況におかれているところです。
 今後は、新型コロナウイルス感染および収束状況を見据えながら、町内観光関連事業者や関係団体・事業所ならびに国や北海道と連携し適宜取り組みを進めます。

 こうした厳しい観光の状況下の中、本町では、令和3年度(2021年度)からグローバルサスティナブルツーリズム協会(GSTC)基準への達成を目指した取り組みに本格的に着手をしています。
 また、昨年度は「グローバル・トップ100」に、国内では京都市などとともに2年連続で選定され、さらに、国連世界観光機関(UNWTO)から“世界における観光地の優良事例”として「ベスト・ツーリズムビレッジ」を受賞することができました。世界的に注目が高まりつつある“持続可能な観光地”として、今後ニセコ町が旅行先に選ばれるよう、令和3年度(2021年度)に策定した「観光振興ビジョン」に基づき、取り組みを進めます。加えて、持続可能な観光地として成長させるための財源として、年度内に「宿泊税」の導入のための条例を取りまとめることとしています。

 広域観光では、5町連携の「ニセコ山系観光連絡協議会」活動を継続するとともに、倶知安町、蘭越町と共に広域で取り組んでいる「ニセコ観光圏」についても、地域内交通の将来像の検討や温泉地の活用などについて連携をして事業を推進していきます。

 今や世界からパウダースノーの聖地と称される大きな要因となった雪崩事故防止対策の「ニセコルール」の運用については、ニセコアンヌプリ地区なだれ事故防止対策協議会を通じて、倶知安町や各スキー場と連携し、将来に向けて持続発展するよう支援を強化していきます。

 昨年度に基本計画を策定した「道の駅ニセコビュープラザ」の再整備については、今年度から基本設計に着手します。また、綺羅乃湯、五色温泉インフォメーションセンターなどの観光関連施設の適正管理、運営の充実に努めます。
 

(4)商工業の振興と労働対策

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、地域経済が疲弊し、雇用の維持が難しくなってきている状況も見受けられます。

 町ではこれらの厳しい状況も踏まえ、雇用維持へ向けた支援や移住促進について、国などの関係機関と連携しながら取り組みます。また、小樽商科大学の支援を受け商工会が主催する「ビジネスセミナー」や起業相談窓口を継続して支援し、地域内で不足するサービスの確保や域内経済基盤の拡充を目指します。さらに、中小企業振興条例(仮称)を早期に取りまとめるとともに、綺羅カード会が実施する「キッズカード事業」や「綺羅カードポイント還元事業」に支援を行います。

 また、不当な勧誘などにより町民のみなさまが苦しむことがないよう、ニセコ町を含む近隣7町村で「ようてい地域消費生活相談窓口」を設置(倶知安町は単独)しており、引き続き関係町村と連携して取り組みを進めます。

2 誰もが健やかに笑顔で暮らせるまちづくり

 町民のみなさまが、相互に助けあい、健康で心豊かに生活できる社会を創るため、保健、医療、福祉、子育て、教育の諸課題を総合的に勘案しながら、安心して暮らすことができるよう取り組みます。

(1)子育て支援

 ニセコ町は令和3年(2021年)12月に公益財団法人日本ユニセフ協会と「子どもにやさしいまちづくり事業実践自治体」としての覚書を締結しており、将来にわたって、子どもの人権が守られる「子どもにやさしいまち」を目指した取り組みを進めます。

 子育て環境の整備では、「第2期子ども・子育て支援事業計画(2020年策定)」に基づき、教育委員会と連携しながら、次代を担う子どもたちと、子育てをする家庭が、安心して遊び子育てができる環境づくりに努めます。また、子どもの医療と健康を守るため、18歳までの医療費の無料化については、所得制限を設けず継続します。

 健康診断では、新生児の聴覚異常の早期発見と早期治療につなげる「新生児聴覚検査」の助成を実施するほか、妊婦や乳幼児の健康診査、新生児訪問指導、保健指導等の母子保健、不妊・不育症治療の助成や産婦人科医師の確保対策を継続して実施します。

 また、助産師による訪問産後ケア事業についても利用者の要望に応じて実施していきます。そのほか、インフルエンザなどの任意予防接種の全額公費負担や5歳児健診の継続など、子どもの健康づくりの推進と保護者の経済的な負担軽減を図るほか、未熟児や障がい児の医療費給付事業を継続します。
 

(2)高齢者、障がい者の福祉

 高齢者や身体などに障がいをお持ちの人が、住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう、「第8期後志広域連合介護保険事業計画(令和3年、2021年開始)」や「第8期高齢者保健福祉計画」、「第6期障がい福祉計画」に基づき、福祉の充実を図っていきます。

 ニセコ福祉会が運営する特別養護老人ホーム「ニセコハイツ」、「デイサービスセンター」でのコロナ禍における感染対策を円滑に進めるための支援を行います。また、認知症の高齢者が安心して暮らせる場として開所している「グループホーム・きら里」への支援やケアプラン(介護支援計画)の作成を行う「居宅介護支援事業所」の運営費等の一部を補助します。

 「地域包括支援センター」では、関係機関と連携を図りつつ、課題を抱える高齢者への支援を行うとともに、健康維持のための各種予防事業を実施します。
 また、年々増加する認知症患者の対応を担う「認知症初期集中支援チーム」においては、認知症専門医の指導のもと、認知症の人やその家族に対し、初期の支援を包括的、集中的に行い、自立生活のサポートを継続していきます。

 地域活動支援センター「ニセコ生活の家」は、障がいをお持ちで、かつ、日中活動が困難な人をサポートするための中核的な役割を担う施設であり、地域の支えやコミュニティによる「地域生活支援事業」が円滑に進むよう、福祉関係機関との連携や調整を行うとともに、施設運営費の一部を支援します。

 ニセコ町社会福祉協議会については、地域福祉の増進、高齢者福祉サービスの提供、さらには増加傾向にある認知症の相談業務を担う「町生活サポートセンター」を開設するなど、本町福祉の中核組織として重要な活動を担っており、運営支援を継続します。
 
 このほか、一定の障がいのある65歳以上の人と75歳以上の人の特定健康診査の無料化を継続するほか、介護保険制度等に基づく住宅改修費の助成、重度障がい者の方へのタクシー利用扶助、除雪支援事業などを実施します。
 

(3)健康づくり

 健康づくりについては、「第3次健康づくり計画」(令和3年度、2021年度策定)に沿って、食生活、運動、こころの健康、歯の健康、生活習慣病に関する事業を中心に実施していきます。

 予防接種事業では、子どもへの定期ワクチンと任意ワクチンの接種、大人への接種、風しんの抗体検査などを引き続き実施するほか、新型コロナウイルスワクチン接種についても国の動向を確認しながら進めていきます。また、羊蹄山麓健康づくり協議会が検討しているワクチンの管理アプリについても、協議が整った時点で導入を進める予定としています。

 保健師や栄養士が実施する各種の教室や講座などは、前年同様に開催するほか、町民のみなさまのご協力を得て実施している「エキノコックス駆除対策」も継続していきます。
 

(4)国民健康保険事業、医療制度

 本町では、健康づくりや各種健診への受診勧奨、健康相談や訪問指導などを実施し、医療費の抑制に努めていますが、高度医療などでの医療費は年々増加傾向にあります。

 国民健康保険では、全道の医療費推計などを基に、北海道がニセコ町で必要とされる国民健康保険税の額を示し、ニセコ町でもこの額を基に「保険税率」を決定しています。令和4年度(2022年度)の税率については、資産割を廃止し、国の制度に合わせて賦課限度額を3万円に増額しています。

 このほか、国から交付される「保険者努力支援交付金」については、健康診断の受診率などに応じて交付金額が決定されるため、『受診率の向上』が喫緊の課題となっています。健康維持や疾病の早期発見・早期治療の観点からも、極力、健康診断を受診されるよう啓発を行います。

(5)地域医療の確保

 地域医療、救急医療の確保、医師の労働環境の改善や倶知安厚生病院の精神医療などの赤字を補填するため、病院所在地である倶知安町を中心に羊蹄山麓町村とともに、運営費等の支援を引き続き行います。
 また、倶知安厚生病院の改築整備については、関係町村と連携して整備費用を負担します。

 町民のホームドクターとして重要な役割を担っていただいているニセコ医院については、平成25年度(2013年度)に導入したCT装置とX線装置の保守点検費用の一部を協定に基づき、昨年度同様に支援します。
 

3 環境に優しいニセコの創造

 豊かな自然や景観が、私たちの暮らしと経済基盤を支える本町にとって、自然と調和した、持続可能な社会を築くことが、ニセコ町の暮らしの価値を高め、自律したまちづくりにつながっていくものと考えています。
 農業と観光を主産業とする自然環境に恵まれたリゾート地を有する自治体として、地球環境負荷の低減を進め、地域循環共生社会を目指していきます。
 

(1)自然環境の保全と環境対策

 ニセコ町の美しい自然環境を大切にしつつ、自然に調和した暮らしを維持するため、第2次環境基本計画、地球温暖化対策実行計画などに基づき、「環境創造都市ニセコ」の実現に向けた取り組みを進めます。

 ニセコアンヌプリ山麓周辺をはじめとする地域では、今後も観光施設等の開発計画が予定されています。美しいニセコ町の自然や景観資源を守り育てるため、国定公園法や準都市計画、景観条例、地下水保全条例などの制度を運用し、「秩序ある開発」への誘導を図っていきます。

 廃棄物処理対策については、羊蹄山麓7町村が連携して可燃ごみの固形燃料化処理を倶知安町の民間事業者に委託し円滑に推移していることから、使用停止をしている一般廃棄物処分場の廃止と有効利用の検討を進めます。なお、昨年度も新型コロナウイルスの影響による観光客の入込者数の減少に伴い、ごみ量が減少となっていますが、観光客の回復に伴ってごみ量が増加することが予想されます。ごみの減量化と分別排出の徹底を図るため令和2年度(2020年)から導入している「ごみ分別アプリ」の利用率の向上を図るとともに、使用済小型家電の収集も継続して実施します。

 し尿処理については、羊蹄山麓環境衛生組合羊蹄衛生センターにおいて処理をしていますが、現在の施設は築50年が過ぎ、施設の損傷が激しいことから、令和10年(2028年)に新施設の稼働を目指して作業が進められています。これらの建設費については、投入量に応じて各町村の建設負担金が割り当てられることとなっており、環境負荷の低減効果とともに簡易水洗型トイレから合併浄化槽への切り替え促進による投入量の減量策についての検討を進めます。
 

(2)自律型省資源社会への転換

 町では、これまで「環境モデル都市」、「SDGs未来都市」として、環境負荷の低減と地域の活性化の両立を目指し、将来にわたり持続可能な暮らし、まちづくりに向けた取り組みを進めるため、平成30年(2018年)に「世界首長誓約/日本」に署名、令和2年(2020年)に「気候非常事態宣言」、令和3年(2021年)に「再生可能エネルギー事業の適正な促進に関する条例」と「自転車の適切な利用を促進する条例」を制定してきました。

 本年度は、本町においては、冬季間の灯油利用など建物で消費するエネルギーが大きいことから、省エネ性能の高い建物を普及させるための条例制定を目指していきます。
 

(3)「株式会社ニセコまち」との連携

 平成30年(2018年)に内閣府からSDGs未来都市として選定され、その中核事業である「NISEKO生活・モデル地区構築事業」の取り組みを進めています。

 今年度は、事業を主体的に担う「株式会社ニセコまち」が、第一工区の造成工事を開始する予定となっています。高効率な省エネ設計で光熱費を抑え、除雪や管理の負担も少なく、暮らしやすい快適な生活環境の実現に向けての取り組みを支援します。

 また、本町での地域課題の解決を図り、持続可能なまちづくりを進めるため、高性能住宅への誘導、建物の省エネ診断、地域エネルギーの利活用、子ども向け環境教育活動などについて、「株式会社ニセコまち」と連携のもと実施していきます。
 

(4)共生循環の森林づくり

 森林は、ニセコ町の基盤である自然環境や景観を構成する大切な地域資源であり、住民の暮らしに「豊かさ」をもたらしてくれる存在です。美しい景観を維持していき、未来につないでいくためにも森林を計画的に整備することが必要であり、木材に付加価値をつけて経済を循環させ、地域ぐるみで森林づくりに取組む必要があります。

 ニセコ町の森林づくりの基本理念と方向性を示すため、昨年度に「森林ビジョン」を策定し、『ニセコ共生循環の森林づくり』をテーマに、1.森林環境の整備・保全、2.森林資源の利活用、3.事業者の育成、4.森林空間の活用、5.情報の発信と参加の5項目を基本方針と定め、将来世代へ引き継ぐための森づくりに取り組んでいきます。

 この森林ビジョンに基づく取り組みを進めるため、本年度内に森林所有者、林業事業者などと連携した組織(地域林業商社)の設立をする予定としています。
 また、昨年度から森林ビジョン推進の一翼を担う人材として、地域おこし協力隊を採用して人材育成に努めており、町森林計画やその他森林振興施策との調整を図り、地球温暖化防止、国土保全や水源涵養など、森林の持つ多面的機能が持続的に発揮されるよう取り組みを進めます。
 

4 豊かな心と個性ある文化を育む

 教育委員会や関係機関との連携を密にしながら、子どもが健やかに成長できる教育環境づくりを進め、多様な文化、スポーツ活動が、町民みなさまの主体的な行動によって展開されるよう支援に努めます。
 

(1)教育環境の充実

 教育は、「第5次町総合計画」、「町教育大綱」、「町教育振興基本計画(後期施策)」に沿って、教育委員会が取り組む事業を支援していきます。
 

(2)文化とスポーツの振興

 誰もが気軽に文化活動への参加やスポーツに親しむことができるよう、「第7期社会教育中期計画」に沿って、社会教育、社会体育の諸事業を支援していきます。
 また、「冬季北海道札幌オリンピック・パラリンピック」招致活動については、北海道ならびに札幌市(MICE協定締結)の要請に基づいて協力をしていきます

(3)コミュニティ活動と国際交流の推進

 中央倉庫群は、町民や観光客・来訪者などが交流し、気軽にくつろげる施設として、また、町の地域振興と産業の活性化に資する施設として、指定管理者事業者と連携を図り、適正な施設運用に努めていきます。

 集落再編により整備した地域コミュニティセンターについては、指定管理者の維持経費を軽減するため、新電力会社の協力による電気料の軽減策を今年度も実施する予定です。

 国際交流員(CIR)による交流事業は、これまで現役を含め18人のCIRが活躍し、町民との文化交流、外国人向けの観光案内や誘客、町の広報媒体の多言語化のサポート業務を担うなど、幅の広い国際交流活動を行っています。
 本年度は、一般財団法人自治体国際化協会(CLAIR)の支援を受け、国際交流員5人(継続3人、新任2人)を配置し、多文化共生への理解の促進と、各種の国際交流事業に対し支援していきます。
 

5 安全で安心な暮らしを支える

 町民のみなさまが、安心して暮らすことができるよう、防災対策の充実強化、生活基盤、社会基盤の総合的な整備に引き続き取り組みます。
 

(1)防災・危機管理対策

 近年、地震や自然災害が、全国各地で発生しています。本町では、「ニセコ町地域防災計画」、「強靭化地域計画」、「事業継続計画(BCP計画)」などに基づき、自治体としての危機管理体制を確保しつつ、防災関連備品の整備をはじめとする防災、減災対応機能の向上対策を継続して行います。
 また、今年度も引き続きコロナ禍の状況に配慮しつつ、防災訓練の実施や自治会の協力を得て自主防災組織づくりに取り組みます。

 原子力防災対策については、「町地域防災計画・原子力防災計画編」に基づき、国、北海道、関係自治体などと緊密に連携し、引き続き町民みなさんへの情報の提供に努めます。
 また、昨年度は、4か年の歳月をかけて、防災センター機能を有する新役場庁舎の完成に至ることができました。災害時には、防災対策の拠点として、町民のみなさまの安心・安全な暮らしに貢献するとともに、町民のみなさまが気軽に利用することができる親しみやすい新庁舎となるよう配意していきます。

 消防業務については、羊蹄山ろく消防組合と連携を図りながら消防力の強化に努めるとともに、ニセコ支署消防庁舎の整備に向けて取り組みます。
 

(2)情報基盤の充実

 コミュニティFM「ラジオニセコ」は、災害時における情報提供の手段として大きな役割を果たしています。
 また、平常時は行政情報をはじめ、町内の各種団体、観光イベント、ニセコルールにおける雪崩事故防止情報など、町民のみなさんの生活や観光客のニーズに根ざした、さまざまな情報発信を行っており、地域にとっては欠くことのできない情報源となっています。

 現在、ラジオの難聴対策(災害対策)ため、送信所(現ニセコヘリポート)の移設について検討中であり、実現可能性が見通せた段階で移転経費予算の提案をさせていただくこととしています。
 

(3)住環境の整備と定住促進

 本町の長年の地域課題である慢性的住宅不足を緩和するため、SDGs街区事業を(株)ニセコまちが進めており、連携して今後の町営住宅、教職員住宅および道営住宅の整備の可能性などについての検討を進めます。
 また、これまで実施してきた民間高性能賃貸住宅に対する建設費への補助、省エネ住宅改修や耐震改修への補助は継続し、今年度は、ニセコ町住生活基本計画の見直しを行うほか、国の補助制度を活用し、本通A団地4号棟の長寿命化型改善工事を実施します。

 ニセコ町の地域課題の解決と活性化、定住の促進のため、地域おこし協力隊の採用を継続し、自治創生を推進する担い手の確保を図ります。
 また、中央倉庫群の運営主体である指定管理者の協力により、テレワーク機能の充実や交流拠点、移住・定住の相談窓口としての機能の充実を図り、引き続き定住促進に努めてまいります。
 
 

(4)道路交通網の整備

 町道の整備後、数十年以上経過している路線が多く、舗装の劣化や防護柵等の破損が進んでいるため、「町道路維持個別施設計画」に基づき、財源となる起債等の活用を図りながら、適正な維持管理に努めています。  
 また、今年度の町道の整備については、「町道中学校通延伸工事」の着手や「町道駅前西三号線歩道整備工事」の完成を目指します。また、橋梁では、昨年に続き「橋梁長寿命化点検委託業務」や新たに「町道真狩川沿線小川橋」、「町道三号線林橋」の実施設計を行います。また、「町道温泉藻岩連絡線モイワ橋補修工事」、「町道黒川旧国道第一号橋補修工事」、林道の「法面補修工事」などの維持補修を行うほか、道路側溝、ガードケーブルの設置などの工事も進めます。

 冬期間の除雪については、町民のみなさまの協力を得ながら、冬道の安全確保に努めます。
 

(5)地域交通の確保

 町内の交通手段の最適化のため平成31年度(2019年度)から実施してきた「助け合い交通」への支援や「ニセコ周遊バス」の運行試験については、コロナ禍における影響を踏まえ、事業内容を拡充して継続します。

 北海道新幹線の開業に伴い北海道旅客鉄道株式会社から経営分離される函館線沿線の地域交通の確保対策については、2月3日に開催された第12回北海道新幹線並行在来線対策協議会後志ブロック会議で、長万部と余市間の各沿線自治体(余市町と小樽市を除く)においては、「バス転換もやむを得ない」との確認がなされました。
 今年度は、バスを活用した持続可能な公共交通を構築するための協議を重ねていく予定となっています。

 また、高速道については、計画段階評価が行われている北海道横断自動車道の「蘭越―倶知安間」および残された「黒松内~蘭越間」の調査の促進を国に要望していきます。
 

(6)空き家対策 

 空き家等対策推進に関する特別措置法に基づき、町では「空き家等対策計画」を策定していますが、この冬も除雪がなされない空き家が発生し、危険防止のため町道を一時閉鎖するなどの対応をしています。

 今後とも、管理不全となる建物の増加を抑制し、別荘や空き家の利活用が進むようニセコ不動産業協会と連携して建物の適正な管理に努めます。
 
 

(7)上下水道

 水道事業では、令和2年度(2020年度)から施設の老朽化対策として水道管路施設の更新事業を進めており、今年度は、曽我地区の配水管更新工事と市街地区の配水管更新工事に着手します。
 市街地区では、新たに水量、配水施設の拡張を行うための調査設計を行います。

 下水道事業については、施設の適切な更新と維持管理を行うため、「下水道事業ストックマネジメント計画」に基づき、今年度から令和7年度(2025年度)にかけて、国の補助事業により下水道施設機械電気設備の更新工事を進めます。

 SDGs街区においては、道路および水道工事などに先行し、街区の一部で下水道管渠新設工事を進めていきます。
 また、現在特別会計で行っている簡易水道事業、下水道事業、農業集落排水事業については、令和5年度末(2023年度末)までに特別会計から公営企業会計へ移行することを国から求められており、昨年度に引き続き「公営企業会計」への移行事務を進めます。
 
 

6 未来を見据えた行財政の基盤づくり

 「町総合計画」、「自治創生総合戦略」などの諸計画を推進するとともに、町が保有する行政財産、資源の有効活用を図り、効率的で、効果的な行財政運営に努めます。
 

(1)総合計画によるまちづくりと行財政運営

 平成24年(2012年)に策定した「第5次総合計画」に基づき、「環境創造都市ニセコ」を目指して各種の事業を進めてきましたが、計画期間の終了まで、残り2年となり、新しい計画づくりに向けて、今年度から各種事務事業の検証と住民ニーズ調査などを行い、必要な基礎資料を作成します。

 ふるさとづくり寄付制度については、自治創生総合戦略に掲げた関係人口の拡大という視点から、「ふるさと住民票」の活用をさらに広く周知していくとともに、寄付者の想いが地域へとつながり、魅力あるまちづくりへと展開ができるよう、情報の発信と交流に努めていきます。
 また、スマートフォンを活用した滞在時限定のふるさと納税や地域通貨との連動を可能とするシステムの導入についての検討を進めており、実施可能となった段階で予算の追加提案をさせていただく予定です。
 
 

(2)自治創生の推進

 「まち・ひと・しごと創生法」に基づき、令和2年(2020年)3月に「第2期自治創生総合戦略」を策定し、各種事業を進めています。

 現在のところ、想定規模の人口で推移しつつありますが、今後、社会情勢の変化への対応や関係する計画との整合性を踏まえつつ、人口減少対策と地域経済循環の強化に向けた取り組みを進めていきます。
 また、企業とのパートナーシップを大切にする中で、企業版ふるさと納税の活用による財源確保や人的ネットワークの拡大に努めます。

(3)計画的な公共施設管理

 昨年度見直した「公共施設等総合管理計画」や「個別施設計画」に基づき、計画的な維持修繕、長寿命化、施設管理の見直しや廃止の検討など、適切なマネジメントの実施に努めます。

 また、町が保有する資産については、売却や貸付等の有効活用を検討し、町の財政の健全性の保持に努めます。
 施設の整備あたっては、「ライフサイクルコスト」を重視し、施設のコンパクト化や統合なども含め、国の諸支援制度を最大限活用しつつ、将来を見据えて社会基盤の整備を進めていきます。
 
 

(4)広域行政の推進

 広域行政については、税の滞納整理、国民健康保険、介護保険、行政不服審査会に関する事務の実施をしている後志広域連合の機能がより発揮されるよう検討を進めていきます。

 また、羊蹄山ろく消防組合や羊蹄山麓環境衛生組合においては、共通経費などの負担内容の見える化や運営経費の増加抑制および効率化について、構成町村との協議を継続します。











以上、令和4年度(2022年度)の町政執行に関する基本的な方針を申し上げましたが、私の基本姿勢である「公正、スピード、思いやり」の行動原則を柱に、次代を担うこどもたちへの投資、子育てしやすい環境の拡充を図り、「1.資源の循環、2.エネルギーの循環、3.地域経済の循環」という、ニセコ町が将来にわたって自律していくための3つの循環による「子どもの笑顔が輝く元気なニセコづくり」に努めてまいります。

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