まちづくり

景観詳細

羊蹄山麓広域景観づくり指針

羊蹄山麓広域景観づくり指針

 (北海道美しい景観のくにづくり条例第17条第1項に基づく指針)

  はじめに 私たちが暮らす羊蹄山麓地域(蘭越町、ニセコ町、真狩村、留寿都村、喜茂別町、京極町、倶知安町)は、四季折々に表情を変える豊かな自然に恵まれ、羊蹄山をはじめとする自然と田園景観が織りなす様は、他では見ることのできない魅力的なものとなっています。

 しかし、近年、地域を取り巻く社会経済状況の変化等により、廃屋や荒れた農地、不法投棄等、地域の美しい景観を損なう事象が目立つようになってきました。

 行政界を越えて広域に広がっているこの景観は、私たちの貴重な財産であるとともに大切な地域資源であり、共に協力して守り育て、未来の世代へ引き継いでいく責任があります。

 私たちは、地域への誇りと愛着を持ち、一人一人が景観づくりの担い手であることを自覚し、快適で魅力ある地域を創造していくため、この指針を策定します。

1.広域景観づくりの目標

①私たちは、日々の暮らしに、潤いと豊かさをもたらしてくれるような、美しい郷土をめざします。
②私たちは、「食」と「観光」を中心に、農業をはじめとする地域のさまざまな産業がより元気になることをめざします。
③私たちは、住民同士が交流を深め、協力して活気に満ちたふるさとづくりをめざします。

2.私たちが大切に思い、守り・育てたい景観

 この地域は、日本書紀に出てくる後方羊蹄ではないかとも言われる、いにしえのロマン香る所であり、それが羊蹄山の語源ともなっています。また、ニセコアンヌプリなどアイヌの人たちの生活に関わりのある多くの地名も残っています。鬱蒼とした一面の原生林であったこの地に開拓の手が入ったのは、明治も中頃になってからですが、わずか100年余りの間に、美しい自然と豊かな田園景観あふれる、北海道を代表する観光地に発展してきました。私たちはこのような景観を守り育てていきたいと思います。

①羊蹄山と周囲の山並の景観
 私たちは、ひときわ高くそびえ立つ羊蹄山、日本海に向かってたおやかに連なるニセコ連峰、さらに昆布岳、尻別岳といった豊かな山並に囲まれて暮らしています。山々が春夏秋冬に創り出す景観は美しく、また、山の麓から湧き出る水を求めて多くの人が訪れています。

②清流尻別川の景観
 何度も清流日本一になっている尻別川は、そのきれいな水に、絶滅危惧種となっているイトウをはじめ、ヤマメ、アユなどが生息し、多くの釣り人が訪れています。また、春から秋まで、ラフティングやカヌーなどを楽しむ人々の歓声が響いています。豊かな河畔林に包まれ、緩やかに蛇行しながら流れる川の中には、別世界のような緑と水の景観が展開しています。

③山並と樹林を背景にした田園景観
 農業を中心に発展してきたこの地域の丘陵地では、ジャガイモをはじめ、甜菜、小  麦、ユリ、蕎麦などの畑がモザイク状に広がり、所々にある牧草地では牛がのんびり草をはみ、尻別川沿いには水田も見られるなど、多種多様で豊かな農業が展開されています。これらの田園景観が、羊蹄山の頂きと山裾に広がる樹林を背景に四季折々に表情を変える様は、他では見ることのできない魅力的なものです。

④自然や気候・風土と調和した市街地景観
 市街地では、いたるところで花が植えられ、どこからでも羊蹄山をはじめとした美しい山並を望むことができ、また、近くを尻別川などの清流が流れるなど、身近なところで豊かな自然と接することができます。また、豪雪と向き合った暮らしの中で、通りや建物にも地域らしさが見られるなど、自然や気候・風土に調和した街並となっています。

3.羊蹄山麓広域景観づくりにあたっての基本的な考え方

 景観づくりを進めるにあたって、私たちは次のような考え方を大切にしたいと思います。

①7町村の協働による広域的な景観づくり
 景観は行政界を越えて広がっており、一つの阻害要因が地域全体の景観イメージの低下につながっていきます。そのようなことから、私たちは、『景観を共有する共同体』として協働で美しい景観づくりに取り組みます。

②私たちの生業や暮らしそのものが景観づくり
 羊蹄山麓の広域景観は、農業をはじめ、林業、観光産業など、この地域で行われている全ての産業と私たちが暮らしている生活環境によって形づくられています。このようなことから、私たちの生業や暮らしそのものが景観づくりと認識し、地域経済の発展や豊かな暮らしとのバランスの取れた景観づくりに取り組みます。 

③地域らしさを大切にする景観づくり
 景観は地域の自然・生態系や歴史・文化が色濃く反映されます。豊かな自然とそこに生きる多様な動植物の生態系を保全し、地域の歴史を語り継ぐアイヌ語地名やサイロ、石造り倉庫などを地域の文化として大切にする景観づくりに取り組みます。

④地域全体での息の長い景観づくり
 景観づくりは、子供からお年寄りまで地域全体で、世代を超えて息長く取り組むことが大事です。このため、住民・民間・行政が適切な役割分担と連携を図るとともに、羊蹄山麓地域らしい景観を守り育てることについて、積極的な普及啓発を図ります。特に、地域の将来を担う子供たちの理解が深まるように努めます。

⑤段階的・継続的な景観づくり
 「シンボル羊蹄山の眺望」や「尻別川の清流」を守る取り組みなどの目標を共有し、できることから始めて、段階的、継続的に積み上げて着実に成果をあげる方式で取り組みます。

4.羊蹄山麓広域景観づくりの基本方針

 魅力あふれる美しいまちや村をつくるため、私たちは次のような景観づくりをめざします。 また、地域のシンボルである羊蹄山の眺望を大切にした景観づくり、建物などの規模・高さ・素材・形態・色彩などの基準づくり、広域景観づくりの普及啓発などについては、全体に共通する課題として取り組みを進めます。

 ①山並景観
・羊蹄山・ニセコ連峰・昆布岳・尻別岳と周囲の山並のスカイラインを損なうことのないように努めるとともに、森林の開発についても周囲の景観との連続性に配慮し、美しい森林景観の保全に努めます。
・林業経営の安定をめざしながら良好な森林の育成を進めるとともに、美しい森林景観と豊かな山並をより楽しむことができるよう、散策・ハイキングコースの整備を進めます。

②水辺景観
・水質の向上、河畔林の保全、回遊路の確保といった魚類の生息環境改善などにより、尻別川とその支流が持つ固有の生態系の保全・回復とともに、緑豊かな水辺景観づくりを進めます。
・釣り、ラフティング、カヌーなど多くの河川利用者が、共に良好な水辺景観を楽しむことができるよう、ゴミを捨てない、水を汚さないなどのマナーの普及を図るとともに、尻別川利用についてのルールづくりを進めます。

③田園景観
・羊蹄山麓の素晴らしい景観と清らかな環境の中で生産される安全・安心な農作物としてブランド力の向上を図り、農業経営の安定をめざしながら、自然と調和した田園景観の維持・向上に努めます。
・羊蹄山麓ならではの景観作物※1の導入や農家における花壇の普及など、新たな田園景観の創出を図るとともに、荒廃した休耕地、廃屋の適切な管理に努めます。

④沿道景観
・多くの景観が沿道の景観として意識されることから、ゴミ、のび放題の雑草、さまざまな道路工作物、廃車、廃屋などが、景観阻害要素にならないように努めるとともに、ビューポイント、食事・休憩施設、案内標識など景観を楽しむための施設整備にも努めます。

⑤市街地景観
 ・恵まれた自然景観にふさわしい市街地となるよう、通りを花で飾ったり、ゴミを拾うな ど、身近な暮らしの中で取り組みを進めます。また、通りや建物についても、豪雪の地ならではの工夫に一層取り組み、自然や気候・風土に合った街並づくりを進めます。

⑥観光地景観
・ニセコエリア、ルスツエリアといったスキー場・レジャー施設・別荘地・宿泊施設などが集積する場所では、土地の利用方法や施設づくり、屋外広告物などが、周囲の自然景観、田園景観と調和するように努めます。



5.羊蹄山麓広域景観づくりの推進に向けて

指針でめざす景観づくりを進めるため、私たちは行動計画(アクションプラン)を定め、役割分担をしながら取り組みます。

(1)推進のための行動計画(アクションプラン)の策定
  ・「羊蹄山麓広域景観づくり基本方針」の具体的推進のために、行動計画を策定し、広域景観づくりの取り組みを進めます。
  ・行動計画は、年度ごとに取り組みの成果を評価・確認し、見直しを行いながら進めます。

(2)推進のための体制
・広域景観づくりは、7町村で組織される羊蹄山麓広域景観づくり推進協議会(以下「協議会」という。)を中心として、国、道の諸機関、民間事業者、民間活動団体、町内会、個人など幅広い参加を得て推進します。
・広域景観づくりの情報を交換し、行動計画の地域合意を図るため、協議会のもとに民間と行政による懇談会を設置します。
  ・行動計画については、協議会のもとに設置された幹事会が調整役を担いながら、進行管理に努めます。
  ・協議会は、広域景観づくりの活動に対する幅広い助言を受けるため、関係する専門家にアドバイザーを委嘱します。
  ・協議会は、シーニックバイウェイ北海道※2などと連携し、広域景観づくりを推進します。

(3)推進のための役割分担

 ①行政の役割
◇町村の役割
  ・7町村は、羊蹄山麓地域を構成する自治体として協議会を組織し、道と共に行動計画の立案・実施の全体調整機能を担います。
  ・また、各町村における景観行政の主体として、景観条例の制定、意識啓発、各種行政施策・事業を住民との協働により進めます。
◇道の役割
  ・道は、広域的な調整役の立場から協議会に加わり、行動計画の立案・実施にあたって、7町村と共に全体調整機能の一翼を担います。
 ・行動計画についても、計画の立案、実施に積極的に関わるとともに、各種行政施策により、取り組みを進めます。

②地域住民の役割
  ・子供からお年寄りまで、一人一人が景観づくりの担い手であることを自覚し、日々の暮らしの中での、身近な景観づくりに取り組みます。
・地域でのさまざまな景観づくりの活動に積極的に参加、協力します。

③民間活動団体・町内会等の役割
・民間活動団体・町内会等によって、既にさまざまな景観づくりの活動が展開されており、今後についても、地域における景観づくりの牽引役としての役割を担います。
・行動計画の立案・実施に参加し、それぞれの関係する分野で活動を担います。

④事業者の役割
  ・建設業に携わる事業者は、より良い景観づくりのための技術力の向上など、地域の景観づくりに積極的に関わるように努めます。
・農業、林業及び水産業に携わる事業者は、生産の場が地域の景観を構成する重要な要素であることを認識し、日々の活動において、良好な景観づくり、保全に配慮します。
・商工関係の事業者は、商店、工場等が市街地の景観づくりに果たす役割の重要性を認識し、建物や屋外広告物などが周囲の景観と調和するように努めます。
  ・観光関係の事業者は、地域の景観が観光資源であることを認識し、土地の利用方法、施設などが周囲の景観と調和するように努めます。

おわりに

 私たちは、この指針にもとづき地域一体となった景観づくりに取り組みます。指針は完成したものではなく、さまざまな取り組みの中で見直しを行い、より良いものにしていきます。常に進化・成長する指針をめざします。

(注釈)
※1 景観作物
レンゲ、ヒマワリ、菜の花、ハーブなど、緑肥や雑草抑制、病害虫防除などに役立つとともに、農村の景観を豊かにする作物のこと

※2 シーニックバイウェイ北海道
  行政と地域が連携し、地域の景観、自然環境などの地域資源を保全・改善し、美しい景観づくり、活力ある地域づくり、魅力ある観光空間づくりを行うもの

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